溝手顕正の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○溝手顕正君 私は、自由民主党を代表して、安倍内閣総理大臣の施政方針演説を始めとする政府四演説について、安倍総理に質問をいたします。
 総理は施政方針で、経済成長、地方創生、一億総活躍、より良い世界への挑戦という四つの柱を述べられましたので、本日はその柱に沿って質問をさせていただきたいと思います。
 初めに、先日行われました大相撲初場所において、大関の琴奨菊関が日本出身力士として十年ぶりの優勝を果たされたことに対し、心よりお祝いを申し上げたいと思います。横綱三人を倒しての見事な優勝は、国民にやればできるという勇気を与えてくれた快挙であります。
 また、同じ二十四日に行われた沖縄県の宜野湾選挙においても、自民党、公明党が推薦した佐喜眞淳氏が市長を再選されました。これも大きな勝利であり、心より祝意を表します。来月七日、京都市長選挙、四月の衆議院北海道五区補欠選挙、さらには七月の参議院選挙に向けて大きな弾みになる勝利であります。
 この勝利は、普天間の返還を必ず実現するという総理の信念が沖縄の方々に支持された結果だと思います。総理におかれては、普天間の返還が実現する日まで、引き続き信念を貫いていただくことを強くお願い申し上げます。
 では、質問に移ります。まず、経済成長のための政策から質問します。
 施政方針演説でも触れられていましたが、今年に入ってから世界経済の不透明感が増しています。原油価格がリーマン・ショックのときを下回る水準まで下落し、それに伴い産油国のオイルマネーが世界のマーケットから引き揚げられ、株価が大幅に落ち込んでおります。また、中国を始めとする新興国の経済に対する不安も根強くあります。
 先日、イランへの制裁解除が発表されたことにより、原油安は更に続くとの見方も出ております。デフレからの脱却を目指す我が国にとって難しい局面でありますが、原油輸入国でもある我が国にとっては、原油安はもちろん大きなメリットもあります。メリットを生かしつつ、デメリットにうまく対応していくことが求められております。
 このように、出だしから波乱含みの展開となっている今年の経済状況でありますが、日本経済及び世界経済の状況と我が国が取るべき道について、基本的なお考えを伺います。
 また、世界経済の中でも中長期的には大きなインパクトを持っているのが中国経済であります。GDPで我が国を抜き、世界第二位となった中国ですが、生産年齢人口の減少が始まり、世界の工場と呼ばれた製造中心の成長からの転換が課題となっております。
 昨年のGDP成長率が先日発表され、六・九%増と二十五年ぶりの低水準となりました。実態は更に低いのではないかという見方もあります。少なくとも、これまでのような高度成長がいつまでも続くことはなく、このままソフトランディングできるか懸念されている状況であります。
 昨年は中国からの観光客の爆買いが大きなニュースになりました。しかしながら、中国経済が減速すると、観光に限らずあらゆる分野で中国経済とつながっている我が国も大きな影響を受けます。
 中国の高度成長の終了と安定成長に対応した我が国の経済政策についてのお考えを伺います。
 次に、経済状況に関連して、消費税率引上げについても伺います。
 総理は、来年四月の消費税率引上げについて、リーマン・ショックのような事態にならない限り実施すると表明されております。
 しかし、万が一の話ではありますが、中国経済が本当に悪化した場合は、リーマン・ショック並みの、あるいはそれを上回るようなインパクトをもたらす可能性もないとは言い切れません。こうした最悪の事態がもし起きた場合に、消費税の引上げを延期するという決断もあり得るのでしょうか、御見解を伺います。
 もちろんこれは最悪の想定ですので、そうならないのにこしたことはありません。こうした事態にならず、予定どおり消費税率の引上げが行われる場合には、食品と新聞に軽減税率が導入される方針となっています。これに関して約一兆円の財源が必要となりますが、政府は来年度末までに財源を確保するとしています。
 当然ながら、軽減税率のために社会保障を削るというのでは本末転倒であり、総理もそれはしないとおっしゃっています。では、どのように一兆円の財源を見付けていくお考えなのでしょうか。軽減税率の導入と社会保障の財源確保についてお伺いいたします。
 施政方針の二番目の柱である地方創生について質問いたします。
 総理は演説の中で、TPPの誕生が日本の農業にとって大きなチャンスであるとおっしゃいました。昨年十月に妥結したTPPは、これから各国で締結作業に入ります。日米両国が締結しなければ発効しない仕組みになっていますが、米国議会での締結は簡単ではないと見られています。議会審議は十一月の大統領選挙後になるとも言われますが、民主党、共和党の有力候補は、いずれもTPPには慎重姿勢であると伝えられています。
 まさか米国が手のひらを返すことはないと思いますが、土壇場で締結しないとか、締結の条件として新たな要求をしてくるなどということがあってはなりません。そうしたことはないと総理に確認しておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 TPPに関して、政府は昨年末、約十四兆円の経済効果があり、農業への影響は軽微であるとの試算を出しています。これは、試算というよりも我々との約束であると捉えています。全国の農業者、中小零細企業を始め、全ての国民が安心できるよう、万全の対策を講じることをお約束していただきたいと思います。TPPに関する総合的な対策について、お考えを伺います。
 地方創生に関して、地方の税収確保についても伺います。
 地方創生は、本来、国からの補助金や交付金に頼るものではなく、それぞれの地方が自らの財源で行うことが理想です。そうでなければ持続的な活動にはなりません。しかし、そのために、地方自治体の安定財源の拡充が不可欠となります。
 来年度税制改正大綱には、地方創生の応援税制として、企業版ふるさと納税の創設が挙げられています。しかし、私は、今回着目したのはそこではありません。法人税の実効税率の引下げと併せて行われる法人事業税の外形標準課税の拡大であります。これは、企業の収益に左右されない、地方税収の安定に大きな役割を果たすものであり、ひいては地方創生に資するものであります。
 今後とも、地方財源の安定化という目的を明確に意識しながら骨太な税制改正を進めていくべきだと考えますが、今回の外形標準課税拡大の目的と効果についてお考えを伺います。
 次に、施政方針演説の三本目の柱である一億総活躍に向けた取組について質問いたします。
 総理は演説で、介護離職ゼロ、希望出生率一・八という二つの的を射抜くためにも、また、その安定的な基礎の上に戦後最大のGDP六百兆円というもう一つの的を掲げ、新しい三本の矢を放つとおっしゃいました。
 来年度の予算案では、希望出生率一・八と介護離職ゼロに向けた政策が重点課題となっております。これは、今まで継続的に取り組んできたGDP六百兆円に向けた対策と比べると、他の二つはまだ十分でないので重点的に取り組むという趣旨だと受け止めております。
 しかし、総理も施政方針で触れられたように、今年に入ってからの世界経済の不透明感が増しています。特に、中国経済への不安などにより、今年に入ってから世界の株価が大幅に下落しております。こうした状況の中、経済政策を着実に進めていかなければなりません。
 来年度の予算案においても、GDP六百兆円に向け、正面から取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか、御見解を伺います。
 次に、新三本の矢と一億総活躍社会という理念の関係について伺います。
 人口一億人を維持し、老若男女全ての国民が自己実現を図ることができる社会が一億総活躍社会だと理解しておりますが、これと先ほどの新三本の矢との関係はどうなっているのでしょうか。
 GDPが六百兆円になり、希望出生率一・八が実現し、介護離職がゼロになった社会が一億総活躍社会なのかといえば、そうではないはずであります。これらに加えて、全ての人が活躍できるという理念に照らせば、格差の解消や多様性の尊重といった観点も必要になると考えますが、この点にはどう取り組んでいくお考えでしょうか、御見解をお聞かせください。
 次に、施政方針演説の最後の柱であります外交政策について伺います。
 まず、昨年末、韓国との間で慰安婦問題を最終的かつ不可逆的に解決する合意がなされたことは、総理の御英断であったと高く評価いたします。岸田外務大臣を始め関係者の皆さんの粘り強い御努力の結果、こうした歴史的合意が実現したことは、我が国の外交史上、特筆すべき成果であります。
 また、今回の施政方針演説で、韓国を戦略的利益を共有する最も重要な隣国と表現したことは、今後の我が国の東アジア戦略を考える上で基本認識として重要であり、大いに賛同いたします。今後は、今回の合意を双方で着実に実施しながら、更なる関係強化を進めていただきたいと思います。
 こうした中で、北朝鮮が今月六日に実施した核実験は、世界平和と安定のために大きな脅威であります。
 二日後の八日、我々衆参両院とも、断固として非難、抗議する旨の国会決議を行い、国内外に意思を示しております。そして、我が国は、安保理非常任理事国として、米国などとともに国連安保理での制裁決議の採択に向けて働きかけを行っていますが、中国などが慎重姿勢を見せているとされています。
 北朝鮮の核実験に関して、国連安保理での協議の見通しと我が国の対応方針を伺います。
 今月の十六日には台湾で総統選挙が行われ、民進党の蔡英文氏が圧勝いたしました。初の女性総統が誕生するとともに、同時に行われた議会選挙においても民進党が初の単独過半数を獲得しました。
 中国への接近を強めていたこれまでの国民党政権に対し、民意がストップを掛けた形となったわけであります。蔡氏は、独立志向でなく、現状維持を掲げており、台湾と中国との関係を必要以上に緊張させる意図はないと考えられますが、中国側の対応など、先行きには不確定な部分もあります。台湾と中国との関係の変化は、尖閣諸島をめぐる情勢なども含め、我が国にも影響を与えます。
 総理は、今回の台湾の政権交代が我が国と台湾との関係にどのような影響を与えるとお考えでしょうか。また、この状況を踏まえて、今後どのように日中台の関係を築いていくべきとお考えでしょうか、伺います。
 総理は、先月インドを訪問され、インドの高速鉄道への我が国の新幹線システムの採用や日印原子力協定の原則合意など、日印新時代を切り開く大きな成果を上げられました。
 インドは、中国に次ぐ世界第二位、十三億の人口を持ち、二〇一四年には年率七・三%の経済成長を遂げ、二十歳未満の人口割合が四〇%と、今後大きく発展が期待される国であります。また、民主主義という価値観を共有する大国であり、経済協力、安全保障、原子力などの分野で日印の関係強化を図っていくことは、我が国にとっても大きな意義を持つものであります。
 日印の今後の関係について、特に日本企業が進出の障害になっている道路等のインフラ整備についてどのような協力ができるか、お考えを伺います。
 ここまでアジアの外交について質問してきましたが、今年は我が国が国連安保理の非常任理事国にもなり、またサミットの開催国にもなります。我が国にとって、これまで以上にグローバルな課題における責任とリーダーシップを求められる年となります。
 その際、テロとの闘いや難民問題など、アジアに限られない世界的な問題についても我が国の明確な姿勢を示していくことが求められております。総理の言葉でいう世界の中心で輝く日本として、こうしたグローバルな課題にどう取り組んでいくお考えか、御見解を伺います。
 最後に、憲法改正について申し上げます。
 今年七月の参議院議員選挙は、我が党の党是であり、総理の宿願でもある憲法改正に向けて、大きな意味を持つ選挙となります。冒頭に申し上げたように、我々自民党としては、今後の地方選挙、補欠選挙に引き続き、必ず勝利しなければなりません。
 総理は、憲法改正などの課題として、緊急事態条項の創設などを挙げられております。我々参議院自民党としては、憲法改正を行う際には、参議院の在り方をしっかりと議論し、二院制における参議院の役割を憲法上明確に位置付けるべきだと考えております。
 具体的には、政権選択を行う院である衆議院に対し、多様な意見を反映する院である参議院は、様々な地方の意見や様々な職種、業種の意見を国政に届ける役割を果たさなくてはなりません。

発言情報

speech_id: 119015254X00620160127_007

発言者: 溝手顕正

speaker_id: 35041

日付: 2016-01-27

院: 参議院

会議名: 本会議