渡辺猛之の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○渡辺猛之君 自由民主党の渡辺猛之でございます。
私は、自由民主党を代表いたしまして、安倍総理の施政方針演説を始め政府四演説について質問いたします。
三年前、現在の安倍政権が誕生したとき、我が国が長引く円高・デフレ不況に苦しんでいたあのときの経済状況と現在の経済状況を比較すれば、恐らく多くの国民の皆様方があのときよりは景気は良くなっている、そう言っていただけるのではないでしょうか。一方で、地方や中小・小規模企業などにはまだまだアベノミクスの恩恵が行き届いていないという声があるのも事実です。
総理は、本施政方針演説でも挑戦というキーワードを私が数えたうちで二十回、チャレンジという言葉を入れれば二十二回使って、本年の安倍政権が目指す姿勢について力強く決意を述べられました。
高度経済成長期、右肩上がりの経済であれば、大企業が良くなればいつかは中小企業も、都市部が良くなればいつかは地方もと、ひたすら待ちの姿勢であっても景気好循環の波は届きました。しかしながら、リーマン・ショック以前の経済状況を振り返っても、経済のグローバル化や多様な消費者ニーズなど成熟した経済状況の下では、ずっと待ちの姿勢でいては地方や中小・小規模企業にはいつまでたっても景気回復の波が届かないといったことも懸念されます。地方でも中小・小規模企業でも果敢に挑戦できるチャンスをつくり出す、これこそ新アベノミクスの効果を全国津々浦々に届け、一億総活躍を実現する道だと考えます。
かつて日本経済は、アメリカがくしゃみをすると日本が風邪を引くと言われた時代がありました。しかし、現在では、アメリカのみならず中国やEU、中東の国々など、世界の至る所でくしゃみが出ても日本が風邪を引く可能性があるくらいグローバル化が進展しています。国外からの要因によって日本経済が重症化することがないようにしっかり予防策を講じておかなければなりません。日本経済に影響を与えると予想される国外要因について、中国経済やテロ対策については既に質問がありましたので、私からは中東情勢について質問いたします。
原油輸入国である我が国は原油安を歓迎する一方で、中長期的に見れば、世界経済全体への影響や将来的なリスクを考えると、中東情勢の安定は我が国経済にとっても必要不可欠なことだと思います。そこで、中東情勢の安定化に向けて、我が国としてどのように取り組んでいかれるおつもりか、総理の御所見をお伺いします。
一昨年、我々は、経済産業省としては実に五十一年ぶり、二本目となる基本法、小規模企業振興基本法を成立させることができました。私も法案策定の当初から携わらせていただきましたが、この小規模基本法に関わった私たちが法律の中に込めた思いは、中小・小規模企業が将来的に大きく飛躍していってもらうのが最終目標ではあるが、地域に根付く小規模企業は、まずはその場所で会社を継続してくれるだけで消防団や水防団、PTAの役員やお祭りの担い手など地域を支える人材を輩出してくれている小規模企業は地域そのものを守っている側面があるのだから、売上減や後継者不足で廃業の道をたどるのではなく、その地域で企業が存続していける体力を付けてもらいたいとの願いです。
持続化補助金は、そんな思いを形にした、国としては異例の五十万円という小規模企業に特化した補助金です。私はこの持続化補助金についてうれしい話を耳にしました。補助金というものに初めて挑戦した小規模企業の後継者である商工会青年部員の言葉です。一回目の申請では持続化補助金をもらえなかったけど、とても勉強になりました、今まで自分の会社の経営の中身を詳しく見たことはなかったけど、補助金申請に必要な経営計画を作っているうちに自社の強みと弱みがはっきりと分かりました、今まで補助金なんて大企業や一部の限られた人のものだと思っていたけど、挑戦して本当によかったです。ちなみに、彼は二回目の挑戦でしっかりと採択されました。
新アベノミクスの第一の矢は希望を生み出す強い経済、その目標はGDP六百兆円です。私は、このGDP六百兆円を達成するためには、中小・小規模企業の活躍が不可欠だと思っています。我が国企業の九九・七%を占める中小企業、中でも小規模事業者は三百三十四万社、八六・五%です。その小規模事業者の手取り収入を見てみると、個人事業者で三百万円未満が六一・一%、法人で三二・八%という数字です。手取り収入四百万円未満まで拡大すると、個人事業者の実に七六・八%、法人の五〇・八%が該当します。
先ほどの青年後継者の言葉を借りれば、自社の決算書を詳しく分析したり経営計画を作ったりすることもなく、いわゆる丼勘定で今日まで何十年も企業を継続させてきた、そんな小規模事業者は相当数あるのではないかと推測をされます。これを否定的に捉えるのではなく、そんな小規模事業者が簡素な経営計画を作る、ホームページを開設する、今まで暗かった看板に電気をつける、ただそれだけで売上げが増加しているのです。すなわち、今まで特に新しい試みをしなかった小規模事業者は、少しの工夫や挑戦をするだけで売上増加が期待できる、いわゆる伸び代がとても大きいと言えるのではないでしょうか。
GDP六百兆円を達成するために、我が国の中小企業、とりわけ小規模事業者への更なる積極的支援をどのようにお考えか、総理にお尋ねをいたします。
〔副議長退席、議長着席〕
関連して、TPPについてお尋ねします。
人口八億、世界のGDPの四割を占める巨大な自由市場は、我が国にとって必ずプラスになると思います。いや、必ずプラスにしなければならないし、我が国はそれができると言った方が正しい表現かもしれません。
TPPによる日本の国益を最大化する鍵も、私は中小・小規模事業者が握っていると思います。今まで海外展開など考えたこともなかった中小・小規模事業者にとっては、巨大なマーケットが広がったといっても、果たしてそのマーケットで何が求められているのかを把握する手段も、いざ海外に進出する手順も全く持ち合わせていないのが現状です。
TPPによってでき上がる巨大なマーケットに中小・小規模企業が挑戦できるように、政府としてどのような後押しをお考えなのか、総理の御見解をお聞かせください。
また、海外市場への挑戦ということでは、農業分野においても同じことが言えるのではないでしょうか。例えば、今は作った農産物を近くの道の駅で販売をしているといった個人の農業者にとって、海外進出は雲をつかむような話です。
総理は、農林水産物の海外輸出額一兆円を二〇二〇年より前倒しで達成する決意を述べられましたが、農産物の海外展開のために何が必要で、国としてどのような支援をお考えなのか、併せてお伺いいたします。
次に、地方創生についてお尋ねいたします。
安倍内閣が地方創生を掲げたとき、多くの地方は、ようやく私たち地方にも光が当たるという希望を抱きました。その裏には、懸命の努力を続けてきたにもかかわらず、人口流出や高齢化に歯止めが利かない地方の厳しい現実が存在します。地方創生は待ちの姿勢ではいけません。
本年三月までには、ほぼ全ての自治体で地方創生に向けた総合戦略が策定される見通しであります。地方創生施策の一年の評価と今後の展望について、総理にお尋ねします。
地方の果敢な挑戦、それが地方創生の果実を手にする手段です。その上で、我が国全体が考慮しておかねばならない課題が人口減少です。
先日、ある町の町長さんからこんな悩みを打ち明けられました。上水道管の更新の話です。ある集落で水道管の更新時期を迎えているが、集落の一番奥の一軒家まで水道管を埋め直すと約八千万円掛かる。その一軒の人が集落の中心部まで移転してくれたら、移転費用は多く見積もっても三千万円。行政コストを考えたら明らかに移転してもらった方が得だが、果たして行政が個人に対して新築の家を提供するのがいいのかどうか。そもそも、住民の方に住み慣れた今の住みかを離れてくれとも言いにくいしなあ。果たしてこの問いに対する正解はどちらなのでしょう。
人口減少局面においては、社会インフラ整備にも人口増加段階とは違った視点が求められます。その一方で、地方創生に懸ける地域にとっては、道路や上下水道などの社会インフラは他地域と対等の競争を展開する上において必要最低限の条件であります。
新アベノミクスの第二の矢では、希望出生率一・八を目指して様々な取組が期待されるところですが、その果実を受け取れるのは数十年先です。しばらくの期間、乗り越えていかなければならない人口減少局面における社会インフラの整備、更新についてどのようにお考えか、総理の御所見をお聞かせください。
最後に、一億総活躍についてお尋ねいたします。
人口減少とともに我が国が真正面から向き合わなければならないもう一つの課題が、急速に進む高齢化です。労働人口が減少し、稼ぐ力が失われる中で、多くの高齢者を国としてどのように支えていくべきか、その答えが一億総活躍の中にあると私は認識しています。
一億総活躍の大きな柱の一つは女性の活躍です。そして、もう一つの大きな柱は高齢者の方の活躍だと思います。総理は、施政方針演説の中で、高齢者の七割近くが六十五歳を超えても働きたいと願っておられる、大変勇気付けられる数字ですと述べられました。
その言葉を後押しする二人の製造業の社長さんの言葉を紹介したいと思います。一つ目の会社では、最年長正社員の方は七十二歳だそうです。私は、失礼ながら、正直なところ高齢ということで不都合はありませんかとお尋ねしたところ、社長さんはきっぱりと、その人に関しては一切問題ない、人によって多少の差はあるけど、うちの会社の仕事は大体七十歳くらいまでは現役で大丈夫、六十五歳なんて働き盛りと言ってもいいくらいだと笑顔で話してくださいました。
もう一つは、精密ねじを作っておられる会社の経営者の方の言葉です。一定レベルの品質はもちろん全ての製品でクリアしているが、どれだけ高価な最新鋭の機械を導入しても、結局最後は人です、気温や湿度によって機械スイッチのオンとオフをコンマ何秒の差で切り替えることによってごくごく微妙な製品の差ができる、これができるようになるには長年の経験と勘しかないが、うちにはそれができるベテラン社員がいてくれますと胸を張って話していただきました。二つとも地域を支える中小企業の話です。
多くの海外の国々で、労働は自分や家族の生活を充実させるための収入を得る手段と割り切った考えをする中、日本では、働くとは、はたを楽にすること、すなわち自分の仕事によって誰かを幸せにしたり、自分の作る商品や提供するサービスがお客様を笑顔にできるというとても美しい考え方があります。高齢者の方が元気で働いていただけることは、それだけはたを楽に、周りを幸せにしていただけることです。そして、それは高齢者の方々の生きがいにもつながるのではないでしょうか。
労働人口の減少が想定される中で、一億総活躍の大きな柱を担われる高齢者の活躍について、総理の思いと具体的方策についてお尋ねをいたします。
冒頭申し上げましたように、三年前、安倍政権が誕生したとき、我が国経済は円高、デフレに相当苦しんでおりました。しかし、安倍内閣そして我々与党は円高もデフレも克服できたのです。この国や地方が直面する様々な課題に対して、我々はこれからもしっかりと結果につなげていくことをお約束いたしまして、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕