大久保勉の発言 (本会議)

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○大久保勉君 民主党・新緑風会の大久保勉です。
 会派を代表して、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法及び財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案について質問いたします。
 何と長い題名の法律案でしょう。それは、復興債発行を規定する復興財源確保法と赤字国債発行のための特例公債法の二つの全く違う法律を接ぎ木したからです。このような筋が悪い手法は、昨年の平和安全法制でも採用されました。自衛隊法等の十本もの法律を改正する束ね法案が国会に提出されたことは記憶に新しいところであります。
 このような束ね法案は、国会の審議権を形骸化し、議会制民主主義を崩壊させるものであります。さらに、賛否の表明も分けることができず、国会議員の表決権を侵害するものです。性格の異なる二つの法案はそれぞれ分けて国会に提出し、国会の審議権や表決権を確保するのが政府の役割と思いますが、麻生大臣、御見解を伺います。
 さて、日本国憲法で予算の単年度主義を定める意義を踏まえれば、将来世代に負担を先送りする赤字国債の発行については、根拠法を毎年度策定した上で国会に提出して議決を求めることが本筋であります。本法律案のように、今後五年もの間、予算の議決のみをもって赤字国債の発行ができるようでは、赤字国債の増発に対して国会が十分に政府を牽制できるか大いに疑問であります。財政民主主義の趣旨を貫徹するためにも特例公債法は単年度の規定にすべきと考えますが、麻生財務大臣の見解を伺います。
 そもそも、二〇一二年度から二〇一五年度までの赤字国債発行を規定した現行法は、いわゆるねじれ国会のたまものです。当時野党だった自民党が特例公債法を政争の具として野田総理に衆議院の解散を求めたため、国民生活への多大なる影響を当面回避するために規定したものであります。
 赤字国債の発行が常態化した一九七六年当時の大平大蔵大臣の答弁の議事録を麻生財務大臣は読み返すべきであります。ここ当分の間特例債の発行をお願いするというような形で国会の御承認を得るというのはどう考えてみても政府の姿として許し難い、国会に毎年毎年御審議を通じて決意を申し上げて、御了解を得ながらまいっていくことが行政府の正しい姿勢ではないかと存じておるわけでございますと答弁しております。こうした大平大蔵大臣の謙虚さと子や孫の世代に対する責任を安倍政権は忘れたのではないでしょうか。麻生財務大臣の見解を改めて伺います。
 それでもなお政府が複数年度の規定にこだわるということであれば、現行特例公債法の改正ではなく、赤字国債の発行を禁じる財政法第四条を改正することにより、今後五年間だけの赤字国債の発行を認めてはいかがでしょうか。麻生大臣の見解を伺います。
 国債市場に目を転じると、ここにも大きな問題が横たわっています。本来であれば、建設国債、赤字国債を問わず多額の国債発行が続くと、国債価格の暴落を通じて市場による牽制が働きます。ところが、現在日本銀行が行っている異次元の金融緩和によってその規律が失われようとしています。新規国債発行額の二倍以上に当たる年間八十兆もの国債を毎年日銀が購入することは、たとえ銀行や証券会社がワンタッチで介在したとはいえ、紛れもなく財政ファイナンスではないでしょうか。麻生財務大臣の見解を伺います。
 日本銀行は、二%の物価安定目標が達成できるのは二〇一七年度前半と表明しております。これまで二度、三度と達成時期を先延ばしてきた日本銀行ですが、現在の物価、経済動向を見れば更なる先延ばしをする蓋然性が高くなっています。二年後に消費者物価が二%に達成しなかったら辞任すると就任時に大見えを切った岩田日銀副総裁も、それに近いコミットをした黒田日銀総裁も、残りの任期は二年となってしまいました。
 金融緩和は、言わば経済のカンフル剤です。経済の構造改革、成長戦略がない場合には、最初は効いても、だんだん効かなくなり、更に強い刺激が必要になります。今年の一月二十九日に突然発表されたマイナス金利付き量的・質的金融緩和は、最終手段の劇薬と言えます。
 私が懸念するのは、黒田日銀総裁自らが異次元と表現されるこの金融緩和の出口戦略です。日本経済を大混乱させずに、また国民に塗炭の苦しみをなめさせずに、果たして出口を探すことができるのでしょうか。世界中の金融、財政の有識者が疑問に思っています。二%の物価安定目標のため、手段を選ばず、出口を考えずに異次元緩和を繰り返し、後は日銀総裁を退任して知らぬふりでは、余りに無責任であります。
 そこで、黒田日銀総裁には、自分でまいた種を自分で刈ってもらう、そのために、任期満了後、再任の同意人事を国会に提出したらいかがでしょうか。菅官房長官の見解を伺います。あわせて、アベノミクスは異次元金融緩和からの出口の大混乱の責任も負っていることを石原大臣に確認します。
 本法律案は、政府が掲げる基礎的財政収支の黒字化目標を踏まえて、二〇二〇年度までの赤字国債の発行を規定するものです。つまり、本法律案は、来年四月の消費税引上げと二〇二〇年までの基礎的財政収支の黒字化が前提となっています。仮に来年四月の消費税引上げを再延期すれば、その前提が崩れてしまいます。政府は、本法律案を提出する以上、来年四月の消費税引上げと二〇二〇年度までの基礎的財政収支の黒字化は必ず実行するという決意であると認識しておりますが、麻生財務大臣に確認します。
 関連して、基礎的財政収支の黒字化は国際公約であり、たとえリーマン・ショックや東日本大震災のような経済状況下においても守るべきものであるとの理解ですが、菅官房長官の答弁を求めます。
 また、政府は消費税の引上げに当たって軽減税率を導入することを決めました。これにより、一兆円もの社会保障予算が削られるおそれがあります。既に四千億円の財源を捻出するために総合合算制度の導入を取りやめにすることにしました。さらに六千億も必要となれば、社会保障のどこにメスを入れるおつもりでしょうか。まさか、子ども・子育て支援もその対象ですか。待機児童問題が社会問題になっておりますが、保育園落ちたとのお母さんたちの悲痛の叫びを、麻生大臣、あなたは聞こえますか。保育園整備の加速化や保育士待遇改善の喫緊の課題に対する麻生財務大臣の認識を確認します。
 さて、安倍政権は、株価が上昇するとアベノミクスの効果であると喧伝してきましたが、昨年の夏から株価は大きく下げています。実体経済を見ても、実質賃金は減少し、消費支出は名目、実質とも減少傾向が続いています。株価が上昇したときにはアベノミクスのおかげだと成果をひけらかし、株価が下がったら中国経済の影響だと他人のせいにするようなことはないと思いますが、石原大臣に、株価下落と名目、実質消費支出減少の要因について伺います。
 株価の動向は復興財源確保法の改正案にも多大な影響を与えます。政府の復興財源フレームでは、日本郵政グループの株式売却益によって四兆円程度を確保するとしています。本法律案では、これを復興債の償還財源に充てることを明記しています。
 昨年の売却では、約一・四兆円の売却益を確保できました。しかし、日本銀行のマイナス金利政策もあり、日本郵政グループ、特にゆうちょ銀行の株価は大きく下がってしまいました。今後、株価が下がり続ければ、四兆円程度を見込む売却益を確保できず、復興財源に穴が空く可能性もあります。どのように対処するつもりなのでしょうか。日本郵政グループの今後の株式売出しの予定を含めて、財務大臣に伺います。
 復興財源については、二〇一四年度の税制改正において、復興特別法人税が一年前倒しで廃止されました。このように、もうかっている企業を優遇する一方、大企業による法人税の納付実態は明らかでありません。こうしたことから、大企業の納税実態を明らかにし、法人税に関する議論を活性化させるためのスキームを導入することが不可欠であります。
 二〇〇六年度税制改正で廃止された旧公示制度は、所得金額が一定額を超えた場合に法人の名称や所得金額等を公表するものでした。第三者の監視による牽制的効果が発揮されるものと評価されていました。しかし、個人情報保護法の施行に伴っていわゆる長者番付制度は廃止されましたが、個人情報保護とは全く関係のない法人の公示制度まで小泉政権当時に廃止されました。
 昨年の通常国会に我々民主党は、維新の党、日本共産党等の野党各党と共同して、資本金百億円以上の大企業に所得金額及び法人税額の開示を求める法人税法の一部を改正する法律案を参議院に提出しました。本日、この通常国会においても同内容の法案を再び野党各党と共同して参議院に提出する予定です。法人税法の一部を改正する法律及び法人税の公示制度復活に対する麻生財務大臣のお考えを伺います。
 IMFの統計によると、我が国の一人当たりのGDPは、安倍政権発足前の二〇一一年には世界第十九位でしたが、二〇一六年には第二十五位まで大きく後退する見通しとなっています。過度な円安がドルベースでの購買力を減少させ、国民の豊かさを奪っているという側面もこの数字から見て取れます。このことは、日本人が海外旅行をしたり、また外国産の物品を購入したりするとき痛感させられます。しかし、より深刻なのは、輸入物価の上昇により、食料品等生活必需品の上昇、実質消費支出の減少、地方経済の低迷と、負のスパイラルをつくっていることです。
 安倍政権は、アベノミクスで急激な円安になり、大企業を中心に企業業績が回復していると宣伝してきました。国民生活や地方経済への視点の欠如がアベノミクスの落とし穴であります。
 過度な金融緩和、過度な円安政策に頼るのではなく、遠回りに見えても強固な財政基盤の下、経済構造改革、教育改革、社会保障の安定化を推し進めることが日本の長期的な経済成長につながることを主張して、私の代表質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 119015254X01320160316_009

発言者: 大久保勉

speaker_id: 33674

日付: 2016-03-16

院: 参議院

会議名: 本会議