安井美沙子の発言 (本会議)
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○安井美沙子君 民進党の安井美沙子です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました地域再生法の一部を改正する法律案につきまして質問いたします。
石破大臣は、安倍内閣が進める地方創生について、従来の取組とは大きく異なるものであると認識している、かつてのような高度経済成長が望めず、人口減少と少子高齢化が同時並行している中、過去の延長線上の政策はもはや通用しないと、参議院地方・消費者問題に関する特別委員会で述べられました。私も全く同感です。
しかし、石破大臣が就任されて以来の政策を見ますと、従来のものと比べ、特段異次元とかパラダイムシフトと言えるようなものがあるようには思えません。そもそも、安倍内閣の地方創生に流れる通奏低音が相も変わらず国主導、中央集権である限りは、東京への過度な一極集中を是正し、疲弊が進む地方を活性化することなどおぼつかず、むしろ地方の疲弊を加速するのではないかと懸念しております。
こうした問題意識の下、以下、具体的に質問をさせていただきます。
今回創設される地方創生推進交付金の交付を受けるためには、地方公共団体が、国の地方創生総合戦略を勘案して作った地方版総合戦略に沿って地域再生計画を作るというスキームになっています。国の顔色をうかがいながら作る計画で、本来の地域の自主性を十分に発揮されるものとなり得るのでしょうか。石破大臣にお伺いします。
そういえば、平成二十六年度補正予算で措置された地域消費喚起・生活支援型交付金においても、国が用意した事例を参考に地方の発意で自由に使えるにもかかわらず、千七百八十八自治体のうち九八%に当たる千七百五十の自治体が、申し合わせたかのようにプレミアム付き地域振興券の発行を選択しました。
そろそろ商品券も使い終わり、各自治体で集計がなされている頃と思います。これらの交付金として血税二千五百億円をばらまいた結果、地域の消費はどの程度喚起され、経済効果はどのくらいあったのでしょうか。最終的な集計はまだかと思いますが、この事業を実施した効果について、石破大臣の御所見を伺います。
交付対象となる先導的な事業について、先駆タイプ、横展開タイプ、隘路打開タイプといった事業を対象にするという方針ですが、分かりにくいです。先導的と国が認め交付金を交付するに当たって、客観的な指標なり基準なり制度は担保されているのでしょうか。石破大臣にお伺いします。
地方創生推進交付金一千億円には、現行の地域再生法における道路、汚水処理施設、港を複合的に整備する地域再生基盤強化交付金が四百十六億円含まれています。継続事業の予算が削られると地方にとっては痛手が大きいと思いますが、計画どおり確保されるのですか。石破大臣に伺います。
民主党政権時の一括交付金は、一年目でも五千百二十億円、二年目は六千七百五十四億円でしたが、今回の交付金はたったの一千億円です。その中でも、実質新たに交付できる額は五百八十四億円にすぎません。幾ら何でも少な過ぎるのではないですか。今後、各府省の個別補助金を廃止しつつ拡充していくおつもりがあるのでしょうか。石破大臣の具体的な答弁を求めます。
安倍政権になって民主党政権時代の一括交付金を即座に廃止した理由として、使い勝手が悪いからと必ず言われますが、交付対象である都道府県と政令指定都市に行ったアンケート調査によれば、およそ七割の自治体が、従来の補助金や交付金に比べ自主裁量が拡大したと答え、約八割の自治体から一括交付金の取組を評価する声がありました。
一方で、新型交付金の制度設計が見え始めた昨年八月、ある通信社が行った四十七都道府県知事へのアンケートによれば、二十五人の知事が新型交付金について評価できないと答えています。
今また新たな交付金を創設して現場の混乱を招くよりも、ひも付き補助金の縛りを廃した民主党政権の功績を素直に認め、継続したらいかがですか。一括交付金の交付対象を市町村まで拡大させ、対象事業のソフト事業の割合を拡大し、手続の簡素化を図りつつ、客観指標を用いた配分や地方議会の監視や住民監査などのガバナンスの強化を行って、復活、拡充すべきであると考えます。石破大臣の御見解を伺います。
それでも、どうしても地方創生推進交付金の方が圧倒的に優れているとおっしゃるならば、これまでの個別補助金や一括交付金と何が異なり、どこが第三のアプローチなのか、画期的なのか、国、地方双方にどのような利点をもたらすのか、石破大臣にお聞きします。
次に、地方創生応援税制、いわゆる企業版ふるさと納税についてお聞きします。
この企業版ふるさと納税は、個人版ふるさと納税制度と同様に、寄附を通じた地方への税収の移転を狙ったものであると推察します。各地方の地方創生の取組を応援することで地域を活性化させるという発想はいいとしても、余りにも多くの懸念が残ります。寄附金額の三割相当額を税額控除し、現行の損金算入による軽減効果と合わせて六割の負担軽減を企業が受けることになりますが、寄附を行った会社の所在地の地方公共団体は大幅な減収となります。この減収分は補填されるのでしょうか。国からの補填があるのでしょうか。石破大臣にお聞きします。
また、そもそも地方税は地方公共団体が提供する行政サービスに対する会費的な性格であり、応益負担の原則に鑑みても、企業版ふるさと納税制度は本来の税制の在り方として妥当と言えるのでしょうか。地方税制を所管する高市総務大臣にお聞きします。
個人版ふるさと納税では返礼品をめぐる過熱化が問題となり、総務大臣が返礼品について大臣通知を出したことは記憶に新しいところです。また、大震災後は被災地への寄附額が全国の寄附総額の三九%を占めましたが、復興優先で返礼品の余裕がなく、平成二十六年度には五%に激減したということです。改めて、個人版ふるさと納税にも問題があると思いませんか。いつまで続けるのですか。高市大臣に伺います。
企業版ふるさと納税も、企業が寄附をした地方自治体に対して便宜供与を求めるようなモラルハザードを生むおそれが考えられます。寄附の代償として経済的利益を伴わない事業を対象とするとしていますが、様々な分野で考え得る便宜供与の可能性について十分に排除し切れるのでしょうか。石破大臣にお伺いします。
また、企業版ふるさと納税は時限的なものと理解しており、いつまで、何を達成するまで続けるおつもりですか。KPIはどのように設定していらっしゃいますか。石破大臣に伺います。
次に、生涯活躍のまち制度、日本版CCRCと言われる制度についてお聞きします。
制度の対象となる生涯活躍のまち形成地域の定義が余りにお粗末です。どんな地域かといいますと、「人口及び地域経済の動向その他の自然的経済的社会的条件からみて、地域住民が生涯にわたり活躍できる魅力ある地域社会を形成して中高年齢者の居住を誘導し、地域の持続的発展を図ることが適当と認められる地域」。これでは何でもありじゃないですか。業界本位のルールなき規制緩和とも見えてしまいます。もう少し具体的なイメージを共有してください。石破大臣にお伺いします。
CCRCでは、地域活動の担い手として、あるいは介護サービスの担い手として、中高年も元気に働ける地域づくりを目指すと理解しています。これにより地域包括ケアシステムとの連携が生まれ、市町村の新しい総合事業としての地域支援事業が充実すればいいのですが、厚労省の社会保障審議会が要支援切りの検討を行っているとの報道もある中、CCRCが万能の受皿になると期待しているとしたら問題です。自治体の中での環境整備はまだ緒に就いたばかりで、地元でも不安の声を聞きます。CCRCと地域包括ケアの連携の具体的なイメージについて石破大臣にお伺いします。
さて、冒頭の問題提起に戻ります。
石破大臣は分権や道州制について、それが、結論が出るまで何もしないというわけにはいかぬ、今回の地方創生の取組は、いろんな潜在的な能力というものを最大限に引き出すものだと答弁されました。つまり、地方創生一辺倒になってしまって地方分権改革をやめたわけではないというお考えと理解しております。しかし、現実には、地方分権改革の勢いはそがれ、むしろ中央集権の色彩が濃くなっているように思えてなりません。
今国会に提出された第六次地方分権一括法案にしても、平成二十六年度から提案募集方式を導入した結果、地方の声が反映しやすいという利点はあるものの、国がどのように分権を進めていくのかといった絵姿が全く見えなくなりました。十五の法律改正の中身を見ても、分権と呼ぶのが恥ずかしくなるくらいごくごく小さな改正にとどまっています。なぜ委員会方式をやめたのですか。提案募集方式と並行してでも続けるべきではないですか。石破大臣に伺います。
安倍内閣の地方創生はあべこべです。国がしっかり分権ビジョンを描いて地方を誘導していくべきところは地方に丸投げし、逆に、地方の裁量に任せるべきところを国ががちがちに縛ってしまっているからです。地方丸投げの最たるものは、中央省庁の地方移転です。せっかくまち・ひと・しごと創生本部ができたのですから、中立、客観的な立場から各省庁の特性を分析し、地方に移転しても大丈夫な、あるいは地方に移転した方がかえってメリットが大きいと思われる省庁を選び出した上で地方に提示すべきです。各省庁の使命や仕事の実態を詳細に知らない地方に一から提案させるから、消費者庁の移転などというとんでもないアイデアが出てきてしまったのです。地方に丸投げすることが地方創生ではありません。石破大臣の見解を伺います。
一方の、地方をがちがちに縛っている最たる事例が、プレミアム付き商品券に代表される地域住民生活等緊急支援のための交付金や今回の法案にある新型交付金です。事例を示して地方の発意をそぎ、KPIだPDCAだと地方を萎縮させ役人的な発想の型にはめてしまっては、金太郎あめ的なスモールビジネスが幾つも幾つも線香花火のように打ち上がるだけです。KPIやPDCAは地方に求める前に、まずは、国こそ隗より始めるべきと考えます。これまでの地域活性化諸施策において、一度でも評価結果を次の政策に反映させた実績がありますか。石破大臣に伺います。
地方を本当に活性化させたいのであれば、地方に権限と財源を移譲するしかありません。ドイツやイタリア、フランスといったヨーロッパ各国が、一極集中を免れ地方都市がそれぞれ魅力的な個性を発揮できているのは、州政府にそれなりの権限があるからです。日本国憲法第八章では、地方自治を行うのは地方公共団体であり、地方自治体とは書いてありません。地方公共団体はあくまで中央から委託された業務を行うだけで、地方議会も法律の範囲の条例しか作ることができません。地方創生を本気で実現するならば、憲法第八章の改正も視野に入れた地方への権限と財源の移譲を検討すべきではないでしょうか。石破大臣の憲法改正への御関心を確認し、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣石破茂君登壇、拍手〕