安井美沙子の発言 (本会議)

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安井美沙子君 民進党・新緑風会の安井美沙子です。
 私は、会派を代表し、平成二十六年度決算の是認に反対、国有財産増減及び現在額総計算書の是認に反対、無償貸付状況総計算書の是認に反対、予備費二件の承諾に反対、国庫債務負担行為の是認に反対、内閣に対する警告案に賛成するとともに、昭和十九年度及び二十年度朝鮮総督府特別会計等決算の是認に賛成の立場で討論を行います。
 討論に先立って、一言申し上げます。
 私は、昨年も同じ反対討論に立ちました。当時、九十五日という戦後最大の国会延長が決まり、安保法案の参議院での審議を目前にしておりましたので、参議院の威信に懸けて、六十日ルールは使わず、最後まで徹底的に議論しようとお訴えしたのですが、その後のてん末は御承知のとおりです。言論の府でありながら、実力行使による強行採決、議事録の改ざんという憲政史上大きな汚点を残しました。
 対する今国会は、参院選を控え、世論の反発を買うような法案を無理やり通す空気はありません。アベノミクス第三の矢、成長戦略の唯一の目玉であったTPPの国会承認及び関連法案の成立すら断念しました。いまだに雲隠れをお続けになる甘利前経済再生担当大臣のあっせん利得疑惑による影響は否定できません。安保法制と同様、特別委員会で十一本の束ね法案を短期間で一気に審議する運びでしたが、今回は筋書どおりにはいきませんでした。経済活動に多大な影響を及ぼす法案ですし、自民党こそTPPは日本の国柄を大きく変えかねないと声高に反対していたのですから、国会審議に必要な交渉過程の情報を公開し、仕切り直して丁寧に議論すべきです。
 ちなみに、条約が批准されていない以上、平成二十七年度補正予算における三千億円余りのTPP関連対策費を直ちに執行を停止し、熊本地震の対策に充てるべきと考えます。
 それでは、以下、平成二十六年度決算の是認に反対する理由を申し述べます。
 第一の反対理由は、財政健全化に対する視点の欠如です。
 平成二十六年度一般会計決算においては、前年度比で新規国債発行額が四・九兆円の減となるなど、財政の改善が進んでいるようにも見えます。しかし、公共事業関係費は七・三兆円と歳出決算総額の七%を超える規模となり、二十五年度決算で明らかとなった公共事業頼みの政権運営が二十六年度においても引き継がれていることが明らかになりました。このように、ばらまき的な予算編成によって歳出の抑制が十分になされない上に、税収増が国の長期債務の抑制に結び付かず、公債依存度はいまだ三九%と高い水準にとどまっています。
 今年の一月に内閣府が公表した試算によりますと、経済再生ケースにおいても三十二年度におけるプライマリーバランスの対GDP比黒字化目標の達成が不可能となっていることは、政権の財政健全化に対する取組が機能していないことの証左でもあります。
 そんな中、消費税率引上げ再延期の可能性が浮上しています。安倍総理は、二十六年に消費税率引上げの延期を決め、衆議院を解散した際に、一〇%への消費税増税を再び延期することはない、ここではっきりと断言する、三本の矢を更に前に進めることで必ずやその経済状況をつくり出すことができると言い切り、景気条項を削除しました。
 来年四月まで一年を切り、いよいよ判断の時期が迫っていますが、現在の厳しい経済状況下において、消費税率を引き上げた場合、国民生活と経済活動に深刻な影響が生じることは避けられないという見方が専門家の間でも大宗を占めています。かといって、ここで税率引上げを見送ったら、予定されていた社会保障の充実策も見送らざるを得なくなります。アベノミクス失敗の責任は極めて大きいと言えます。
 十万人にも及ぶ介護離職者や、給与水準の低さが原因の介護士、保育士不足といった核心的問題に安倍政権もようやく目を向け始めたようですが、いかんせん遅過ぎました。親の介護に対する先行き不安を抱えながら消費活動を楽しめるわけはなく、十分な子育て支援なくして女性が活躍できるはずもありません。アベノミクスが破綻し、増税もままならない今、人への投資を主軸とする経済政策への転換が必要なのは明らかです。
 今国会で大議論になった軽減税率も、多くの有識者や野党の声に耳を傾けず強引に導入を決めましたが、増税が見送られたら、今度こそ筋のいい逆進性対策を検討すべきです。
 なお、政府には、軽減税率に向けて準備を進めてきた中小企業への配慮を求めます。
 第二の反対理由は、行財政運営における弾力性の欠如です。
 社会保障関係費が三十・一兆円となり、歳出決算総額の三〇%を超える規模となるなど、歳出項目の硬直化が背景にあります。
 この点に関連し、決算委員会でも、平成二十六年度決算検査報告で、高規格幹線道路の暫定二車線道路において安全性や機動性が十分に確保されていない点が指摘されました。平成十七年から二十六年までの十年間で、高規格幹線道路の対面通行部において六百七十七件の死傷事故が発生し、百十九名がお亡くなりになられておりますが、防護柵を備えた中央分離帯があれば防止できた事故が多数に上ることが問題視されたものです。
 暫定二車線道の対面通行部における死亡事故の発生する割合は、中央分離帯が設置されている区間と比較して二倍に上るという認識を持ちながら、政府は、安全性の向上に向けて予算を計上し、対策を取らなかった。これこそ、予算規模だけが肥大化し、真に必要な項目へ予算が計上されてこなかった象徴的な例と言えます。
 第三の理由は、契約事務等におけるコンプライアンスの欠如です。
 決算委員会では幾つかの事例が挙がりましたが、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に関する独立行政法人日本スポーツ振興センターによる不適正な契約事務については特に厳しくただされました。
 また、他の委員会における質疑では、招致委員会が海外のコンサルト会社に支払ったコンサルティング料の実態がロビー活動費であったこと、その一部が賄賂として用いられた可能性があるとも指摘されています。フェアプレーの精神にもとる事態を直ちに是正するとともに、疑惑の解明と情報提供、再発防止策の徹底を強く求めます。
 以上が是認に反対する主な理由です。
 決算委員会においては、安倍政権における大規模プロジェクトであるマイナンバー制度に関して、初期費用だけで三千二百億円もの多額の費用を投じたにもかかわらず、本年三月末時点で二百十一万通の番号通知カードが交付されていないことが明らかにされました。
 また、本制度を運営する地方公共団体情報システム機構において度重なるシステム障害が発生し、障害原因の特定と改修がなされた後も、個人番号カードの交付が四月二十五日時点で申請の三割にとどまっているとの報道もなされています。
 政府に対し、これらの不適切な事態について遺憾の意を表明し、抜本的な改善措置の実施を強く求めるもので、内閣に対する警告案については賛成であります。
 また、今国会においては、昭和十九年度及び二十年度の旧外地特別会計決算が提出されました。
 今回提出された決算書については、終戦時の混乱により決算書作成に必要な会計資料が散逸したことにより、通常提出される決算書とは異なり、記載された数字の多くが検証不能となっていることは遺憾であります。
 他方、戦後七十年近く提出が延期されてきた本決算について、決算重視の参議院において審査することは大きな意味を持つことであります。
 加えて、決算委員会においては措置要求決議を行い、政府に対し、旧外地特別会計に属していた債権債務関係の処理などを今後適切に行うことを求めたことなどをもって、本決算の是認については賛成であります。
 私が参議院本会議場で登壇するのはこれが最後になります。決算の参議院で決算に対する討論をする機会を最後にいただいたことに感謝を申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)

発言情報

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発言者: 安井美沙子

speaker_id: 23442

日付: 2016-05-25

院: 参議院

会議名: 本会議