田村智子の発言 (本会議)

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○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、二〇一四年度決算及び朝鮮総督府等特別会計決算の是認に反対の討論を行います。
 反対の理由の第一は、社会保障を口実に消費税八%への増税を強行し、その一方で社会保障費抑制のために制度改悪を更に進めたことです。
 消費税八%への引上げは、国民多数の反対を押し切って強行されました。我が党は、五%への引上げ時と比べても国民所得が減少し内需が冷え込んでいることを示し、増税の影響は計り知れない、引上げを中止せよと強く求めました。しかし、安倍総理は、アベノミクス効果で雇用状態は改善し賃上げも進むとして、聞く耳を持ちませんでした。しかも、消費増税とセットで行われたのは、年金の引下げ、年金保険料や高齢者医療費窓口負担の引上げなど、社会保障の国民負担増でした。
 その結果どうなったか。総理自身も、八%への引上げで予想以上に消費が落ち込んだのは事実であり、予想以上に長引いているのも事実と認めるほど個人消費の大幅な落ち込みを招いたではありませんか。日本経済も国民生活も行き詰まらせた政策の結果である本決算を認めるわけにはいきません。
 重大なのは、増税不況を深刻化させたという反省もなく消費税一〇%を強行しようとしていることです。十八日の党首討論で、我が党の志位和夫委員長が、消費税一〇%によって景気が悪化することが明らかな場合であっても引上げを行うのかと迫りましたが、総理はこれを否定しませんでした。
 今、パナマ文書を契機として、タックスヘイブンを利用した大企業と富裕層の課税逃れに大きな批判の声が上がっています。これまでも、法人税減税や法人税率引下げの恩恵を受けてきた大企業が巨額の利益を得ながら課税逃れをする、その一方で庶民には消費増税を強行するなど、断じて認められません。やるべきは、富裕層や大企業に応分の負担を求める税制改革です。逆進性の強い消費増税をきっぱり断念することを改めて強く求めます。
 第二は、軍事費を大幅に増やし、海外で戦争できる国づくりを進めた決算だからです。
 防衛関係費決算は、第二次安倍政権発足後、増加の一途となり、二〇一四年度決算では前年度比五・六%増の五兆六百二十八億円、決算ベースで初めて五兆円台を突破しました。新型ステルス戦闘機F35や無人機の導入など、周辺諸国との軍事的緊張を高めるばかりです。
 また、二〇一四年度には沖縄県辺野古で米軍新基地建設の本体工事が着工されましたが、これは予算案には計上されておらず、予備費からの支出及び後年度負担までも閣議決定によって執行されました。国会審議を避け、沖縄県民の批判をかわそうとする手法は、憲法及び財政法が定める予算の事前議決の原則をもじゅうりんするものです。
 安倍内閣が沖縄県民の民意を踏みにじり新基地建設を強行する中、米軍基地があるがゆえの許し難い犯罪がまたも沖縄で起きてしまいました。
 うるま市の二十歳の女性が嘉手納基地の米軍属である元海兵隊員によって暴行、殺害され、キャンプ・ハンセン近くの雑木林で変わり果てた姿で発見されたことに満身の怒りをもって抗議します。一九九五年の沖縄少女暴行事件の頃に生をうけた女の子が、二十年後に同じ苦しみを受け、挙げ句、命を奪われてしまったのです。あの少女暴行事件によって沖縄の怒りは燎原の火のごとく広がり、以来、確固とした基地撤去の要求が政府に突き付けられています。この声に日本政府はどう向き合い、何をしてきたのかが厳しく問われなければなりません。
 再発防止、綱紀粛正をどんなに求めても、米軍関係者による凶悪事件は繰り返されてきました。悲劇の根を絶つために沖縄から在日米軍基地を撤去する、まずもって普天間基地撤去の実現を強く求めます。米軍犯罪がこれほど繰り返されてもなお辺野古の新基地建設強行の方針を変えようともしない安倍内閣を断固糾弾するものです。
 第三に、政権交代後、国土強靱化の名の下に、国際コンテナ戦略港湾、外環自動車道、八ツ場ダム建設など大型公共事業を推進したことにより、公共事業関係費が七兆円台を維持していることです。公共事業関係費は第二次安倍内閣発足後急増し、二〇一三年度決算は前年度比一三八%の八兆円、二〇一四年度も七・四兆円と、民主党政権時の五兆円台から大きく枠を拡大しました。これにより、文教科学振興費の決算を二年連続で大きく上回ることとなりました。
 今国会では、大学の高学費と学生ローンとなっている奨学金制度について、与野党とも質疑を繰り返し、給付制奨学金の必要性を政府も認めるに至りました。ところが、安倍政権は少子化を理由に文教関係費を削り続け、二〇一四年度決算では高校就学支援金への所得制限導入で高校授業料無償化をも後退させ、大学生への給付制奨学金もいまだ棚上げされたままです。
 財政難などを理由に社会保障費の自然増も認めず、文教予算も縮減し、その一方で、公共事業費は大幅な増額で大手ゼネコンに大盤振る舞いをする、このように逆立ちした決算を是認することは到底できません。公共事業は、保育所など社会保障や暮らし優先のものに切り替え、不要不急の事業の大胆な見直しこそ求められます。
 最後に、旧外地特別会計についてです。
 朝鮮、台湾、樺太、関東州、南洋群島に係る十の特別会計の決算として今国会に提出されましたが、まともな検証に堪えるものではなく、実際上、日本銀行の記録によって剰余金、積立金等約八億円が報告されただけです。これは昨年度の予算で一般会計に繰り入れられました。
 日本のアジア太平洋地域への侵略戦争と植民地支配を財政面から総括した特別会計がこのような扱いになったことは大変遺憾です。決算委員会では、外務省の一室に保存されている関係資料を視察しましたが、債権の払戻しを求める嘆願書の束や会計資料などが崩れそうになりながら雑然と置かれているだけでした。国民の税金のほか、莫大な戦時国債等により戦費を調達し、旧外地特会へ繰り入れて植民地支配を推進したことをまともに総括も分析もされていません。
 今求められているのは、中身の検証もまともにできないつじつま合わせの決算を提出、是認することではなく、侵略戦争と植民地支配を様々な事実から分析し、検証を進めることです。
 侵略戦争の歴史を直視しない政治に未来はありません。侵略戦争の反省の下に制定された日本国憲法を踏みにじる安倍内閣の暴走を止める、野党と市民との共同で安保法制、戦争法廃止を始めとする新しい政治への道を切り開く、そのために全力を尽くす決意を述べ、討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 119015254X03020160525_014

発言者: 田村智子

speaker_id: 6902

日付: 2016-05-25

院: 参議院

会議名: 本会議