武正公一の発言 (憲法審査会)

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○武正委員 民進党衆議院議員、武正公一でございます。
 民進党を代表して、憲法の制定経緯と公布七十年を振り返って、意見表明をさせていただきます。
 いわゆる八月革命説から大日本帝国憲法の改正という手続をとった日本国憲法でありますが、大日本帝国憲法は、立憲君主制のもと、国会開設を目指した自由民権運動、アジア初の憲法制定、そして、大正デモクラシーや普通選挙法などの民主主義の実現という成果を上げる一方、天皇大権を利用した軍部などの台頭を抑えることができず、報道の自由などもないがしろにされ、明治憲法体制の全面的崩壊現象が昭和二十年に起きたと考えております。
 日本国憲法制定の前提はポツダム宣言の受諾にあります。特に十項、十二項から、政府の自主的な憲法改正の取り組みが始まりました。GHQマッカーサー司令官からの示唆などが契機であるとされます。
 国体が護持されるかどうかが最大の焦点となりました。内大臣府、政党その他の団体、憲法問題調査委員会などの議論が行われる一方、マッカーサー・ノート、草案が示され、日本案の検討が始まりました。民間の憲法草案がマッカーサー草案に与えた影響、日本政府とGHQとの交渉過程で日本側の意見が入れられ、二院制に変わったことなど、また、男女普通選挙を経て制憲議会が組織され、その制憲議会でも芦田修正などの修正が行われました。
 当時の国民の大部分が新憲法を歓迎。さらに、極東委員会の指示により、現行憲法施行後に改正の要否を検討する機会を与えられていながら、当時の日本政府は改正の必要なしと判断したことなども、日本の主体性も発揮されたとする理由です。
 一九六四年、憲法調査会憲法制定の経緯に関する小委員会報告書では、全部が全部押しつけられた、強制されたと言い切ることができるかといえば、当時の広範な国際環境ないし日本国内における世論なども十分分析、評価する必要もあり、さらに、制定の段階において、いわゆる日本国民の意思も部分的に織り込まれた上で制定された憲法であるということを否定することはできない。
 二〇〇五年、憲法調査会報告書でも、GHQの関与を押しつけと捉えて問題視する意見もあったが、その点ばかりを強調するべきでないとする意見が多く述べられた。この多数とは、発言した議員のうち三分の二を超えた議員発言を指すものであります。
 第二次大戦の惨禍から、戦後、国際連合が発足し、占領から独立をかち取り、今日に至る七十一年を振り返ると、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重の日本国憲法の三大原則が今日の日本を形づくるために果たした役割は極めて大きいものと評価をいたします。
 平和主義については、朝鮮戦争を契機に警察予備隊が創設をされ、サンフランシスコ講和条約では単独講和を決め、西側諸国の一員として、日米同盟、国連中心主義、アジア重視の外交、安全保障を進め、結果、軽武装、アメリカの核の傘のもと、経済復興を重視することができたと考えます。
 また、国民主権としての知る権利の具体化、例えば情報公開法、公文書管理法の制定など、基本的人権の尊重では、労働者の権利の具体化、差別の撤廃などが進んだことは、日本国憲法の積極的評価であります。
 特に、国民生活の向上に憲法二十五条によるところが大きいと考え、これも日本案で、日本側の主張で加えられたものであります。
 一方、九一年、湾岸戦争で国際貢献を問われ、国連PKO協力法案、有事法制、テロ特措法、イラク特措法、自衛隊法改正、防衛省設置と連なるところは、国際環境の変化に伴い、これら安全保障関連法案に対しては、野党として賛成を、あるいは与党と協議し反対を、あるいは反対をとしてきたのは、政権交代で外交、安全保障が大きく揺らぐべきではないとの考えに立ったからのことであります。
 しかし、一昨年からの一連の動きは立憲主義にもとり、民進党は、憲法解釈変更の閣議決定、安保法案の白紙撤回を求めています。
 当審査会も、昨年の六月四日に、自民党参考人ですら安保法案を憲法違反と指摘したことで、一年半、与党の理由で審査会がとまってしまったことを重く受けとめる必要があります。
 近代立憲主義とは、権力を制限し、個人の自由、権利を守るものであるとの認識について、憲法改正の限界として、日本国憲法の三原則は守るべきであるということなどが共通の土俵として認識が衆参両院の憲法審査会で共有されることが三分の二以上の発議の大前提となるのではないかと考えます。そのためにも、二〇一二年自民党憲法草案に危惧を覚えざるを得ません。
 平和主義については、集団的自衛権を認めた国防軍の創設で揺らぐこと、基本的人権の尊重は、その制限とする公共の福祉から公益及び公の秩序への変更により損なわれることを、国民主権は、国民に十もの義務を課すことなど、個人よりも国家が前面に出ていることなどで危うくなるなど、近代立憲主義の共通の土俵に立てるかという懸念であります。
 この臨時国会でも、安倍総理からは、議論のベースにと言われ、昨日の参議院憲法審査会では、自民党筆頭幹事は、二〇一二年憲法草案をバージョンアップすると言ったのは、これまでの報道にあった、我が党野田幹事長が二〇一二年憲法草案の撤回を求めたことに対し、撤回はできないが棚上げをと言ってきたこととどう整合するのか、伺いたいと思います。
 現行憲法の足らざる点を補い、改めるべき点を改める。国民の側から新しい時代に即した憲法のあり方の幅広い議論が起こり、国会での与野党の丁寧な論議、合意形成が行われるべきと考えます。
 民進党は綱領で、「「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」を堅持し、自由と民主主義に立脚した立憲主義を断固として守る。象徴天皇制のもと、新しい人権、統治機構改革など時代の変化に対応した未来志向の憲法を国民とともに構想する。」としました。
 なお、民主党二〇〇五年憲法提言、維新の党選挙公約などは議論の土台であることを、民進党憲法調査会で確認をいたしております。
 憲法審査会の目的は、日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行い、憲法改正原案、日本国憲法に係る改正の発議または国民投票に関する法律案などを審査するとされています。安倍総理からの草案提出要求は、行政府の長からの越権と考えます。
 国会議員のアンケートでも、国会発議、時期こだわらず五八%、読売新聞、国民の皆さんのアンケートでも、安倍政権下での改憲に反対が五五%、共同通信とされています。
 緊急事態条項、環境権、財政規律は、昨年の通常国会時に自民党筆頭幹事から提案された三項目であります。
 民進党は、党綱領で掲げた新しい人権、統治機構改革について述べれば、例えば新しい人権では国民の知る権利を取り上げ、特定秘密保護法の強行採決が行われ、また、この臨時国会、TPP強行採決にあっては、ノリ弁当と言われる資料しか出されませんでした。背景に、憲法七十三条の外交処理権、条約締結権は内閣の専権事項であるならば、改める必要があります。統治機構改革については、地方自治の四条しかない条文については、道州制を含む国と地方の関係、また、衆参両院の役割分担の議論が必要であります。
 昨年、これも自民党筆頭幹事から提案があった参政権の保障をめぐる諸問題は、引き続き議論を行うべきと考えます。
 また、この夏、天皇陛下のお言葉が出されたことを受けて、政府は審議会を立ち上げましたが、憲法二条に皇室典範についての記載があることで、憲法で定められていることもあり、議論として取り上げるべきではないでしょうか。
 加えて、前回の解散・総選挙が、今のうち解散とされ、解散から公示まで十日間しかなく、投票整理券が八日たっても届かない自治体まで生まれたことは、解散権の濫用と言え、解散・総選挙の発言が与党幹事長などから出されている今だからこそ、七条解散の是非についても議論が必要ではないでしょうか。
 しかし、これらは本当に憲法改正しか手がないのか、法律改正しかできないのかの見きわめも必要であります。硬性憲法と言われる日本国憲法の条文がドイツ基本法などと比べて少ないことは、多くを法律に委ねているからであると考えます。
 イギリスのEU離脱、米国の大統領選挙に見られる移民排斥、あるいはモンロー主義回帰などの動き、第二次大戦後七十一年を経て、戦争の惨禍の記憶が薄れ、平和を希求するための国際協調の仕組みの重要性の認識が失われてきたことが背景にあるのではないでしょうか。そのためにも、歴史認識の共有と自由、民主主義という価値観の共有のための国際的な枠組みづくりへの日本のさらなる努力が求められます。
 民進党は、民進党憲法調査会を舞台に、新しい憲法を構想する作業に向け、国民との対話を重視し、まずは役員会での議論を精力的に進め、民進党内の議論を運んでいきます。
 二〇〇〇年、憲法調査会設置以来のよき伝統が、二〇〇七年、二〇一三年、いずれも安倍総理の発言で国会論議が混乱しました。しかし、民主党野田内閣当時の平成二十三年秋の臨時国会から議論を再開し、この間、三つの宿題を解決しての憲法改正国民投票法案成立、さらに十八歳選挙権法案成立が行われました。その成果は評価するべきものであり、その前提に当たっては、与野党の丁寧な合意形成と議論を深めるための共通の土俵づくりが、立憲主義が揺らいだ今こそ改めて必要であることを重ねて申し述べ、意見表明といたします。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 武正公一

speaker_id: 18971

日付: 2016-11-17

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会