足立康史の発言 (憲法審査会)
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○足立委員 日本維新の会の足立康史です。
党を代表して、意見を申し述べます。
まず冒頭、衆院の憲法審査会が一年半ぶりに開催されたことを評価するとともに、再開に尽力くださった関係者に敬意と感謝を申し上げます。
一方、十日に予定されていた審査会がTPPに係る政局を理由に中止されたことはまことに遺憾であります。特に、その延期を申し入れたとされる民進党筆頭幹事には猛省を促したい。
野党第一党の筆頭幹事は審査会の会長代理でもあり、本来、憲法審査会の開催に向けて労をとるべき立場にあります。仮に、会長代理がみずからの政党の立場に拘泥しその役割を十全に果たすことができないのであれば、私たち日本維新の会が筆頭間協議に加わることも検討しなければならなくなります。
そもそも、憲法審査会には、その前身である憲法調査会の時代からの伝統があります。その最たるものは政局に左右されないということであります。仮に、憲法改正に消極的な政党がそうした伝統を破壊し政局を持ち込もうとするのであれば、そうした政党に憲法審査会で意見を述べる資格はないと指摘をしておきたいと存じます。
本年は、日本国憲法が公布されて七十年。憲法が国民主権、平和主義、基本的人権の尊重という基本的価値を定着させた点を正当に評価しつつ、未来に向けた課題解決型の憲法論議を深めていく必要があります。
思い起こせば、平成十二年に両院に設置された憲法調査会は、憲法改正に向けて大きな役割を果たしました。平成十七年には、中山太郎会長のもと、最終報告書が取りまとめられ、前後して、自民党が新憲法草案を、当時の民主党が憲法提言を、公明党が論点整理を公表しました。
自民党はその後、平成二十四年に憲法改正草案を公表し、その取り扱いについて民進党を初め野党から厳しい追及を受けていますが、それでは、民進党の憲法提言はどのような扱いになるのでしょうか。本日の自由討議の場で言及をいただければ幸いです。
その後、憲法改正国民投票法の成立を経て、昨年四月、保岡興治前会長のもと、いよいよ本格的な審議に入ろうかというときに、いわゆる安保法制の合憲性をめぐる対立が憲法審査会に持ち込まれ、一年半にわたり休眠状態に陥ったことはまことに遺憾なことであります。
日本維新の会は、特定のイデオロギーを表現するためではなく、日本が抱える具体的な課題を解決するために憲法改正を行うべきと考えます。脱イデオロギーの憲法改正であります。憲法改正が必要となる社会的事実、いわゆる憲法事実が明らかな項目について、憲法改正の発議に向けた審査を直ちに開始すべきであります。
憲法改正は最終的には国民投票で決することとなりますが、国民投票で過半数を得ることは容易ではありません。このことを、私たちは大阪都構想の住民投票を通じて痛感をいたしました。大都市の都市圏域が政令指定都市のみならず大阪府域をも飲み込んでいるという、立法事実があれほど明瞭な事案であっても、かつて賛成を表明していたはずの政党が政局を理由に反対に回るという事態が起こりました。
憲法事実が明らかな項目のうち、国論を二分する安全保障や危機管理等の問題よりも、ほとんどの国民にとって身近で切実な問題を優先し、憲法改正に向けた選択肢を国民に示すべきであります。
こうした考え方のもと、私たちは本年三月、教育無償化、統治機構改革、憲法裁判所の三項目から成る憲法改正原案を取りまとめました。
第一の、幼児教育から高等教育までの教育無償化については、与野党ともに積極的に取り組もうとしていますが、予算の制約から実現できていないのが現状であります。
教育無償化を憲法に規定することにより、予算措置と立法化を国に義務づけていくことが必要であります。また、憲法に規定すれば、どの政権のもとでも教育無償化の方針を堅持することができます。
第二の統治機構改革についても、東京一極集中を打破し、地域の自立を確保し、多様で豊かな多極分散型の国家を築いていくものであり、多くの会派に賛成いただけるものと存じます。
基礎自治体と広域行政たる道州の権限と財源を抜本的に強化する中で、国と地方の関係を憲法に規定します。これにより、待機児童対策や震災復興など一律の対応が特に難しい問題について、現場における柔軟な対応が可能となります。
第三の憲法裁判所。安保法制等の憲法適合性といった違憲立法審査を公権的に行うことのできる憲法裁判所の必要性については、安保法制を戦争法と呼び、立憲主義の破壊であると主張する野党各党であればなおさら御理解いただけるものと存じます。
憲法の最終解釈者は本来司法でありますが、最高裁が統治行為論をとる限り、内閣が決定した憲法解釈と国会の多数派が成立せしめた法律に対抗するすべはありません。これが安保国会を通じて明らかとなった日本の統治機構の課題なのであります。
いわゆる安保法制の制定過程を通じて、憲法九条に関する内閣法制局の解釈が、時の政権の影響を受け、野党の追及をかわすために糊塗されてきたにすぎないことが白日のもとにさらされました。その一方で、元法制局長官、元最高裁判事、学者等の意見をもって違憲とのレッテル張りに奔走する野党の姿も見るにたえませんでした。
違憲立法審査権を有しない憲法学者の一部意見を殊さらに振りかざし、現行憲法下で正当に決定された憲法解釈と法律を違憲であると断じることこそ、立憲主義を破壊する所業であると断じざるを得ません。
日本維新の会は、憲法解釈は政治から距離を置くべきとの考え方のもと、そうした統治機構の不備に正面から向き合い、違憲立法審査を公権的に行う機関として、憲法裁判所の創設を提案しているのであります。
憲法調査会以来、国家の最高規範である憲法論議は、国民の代表である国会議員が主体性を持って行うべきとの考え方に基づき、合意形成が進められてきました。憲法論議を深化させ、前に進めていくことは、国会議員の責務なのであります。
これまでの憲法審査会は、論点整理とレビューを繰り返してきましたが、さきの参院選を経て、憲法改正に前向きな政党が両院の三分の二を占めるに至りました。戦後初めて、リアリティーを持って憲法改正を議論できる環境となったのであります。
参院選では、私たち日本維新の会がマニフェストの柱の一つに憲法改正を掲げ、大きな御支持をいただきました。反対に民進党は、「まず、三分の二をとらせないこと。」とのキャッチコピーを大書きしたポスターを張り出し、そして敗北しました。米国の大統領選においてトランプ氏が勝利し、平和裏に政権移行が進められていることを例に挙げるまでもなく、選挙結果を真摯に受けとめることは民主主義の基本であります。
なお、きのうの参院憲法審査会では、政党の意見なのか、個人の意見なのか、不明なものが散見をされました。この衆議院の憲法審査会では、混乱を招かぬよう、少なくとも、当該意見が党の見解なのか、個人の見解なのか、明示をいただければ幸いでございます。
最後に、新憲法の制定を綱領に明記している自民党におかれても、また、憲法を構想すると綱領に明記した民進党におかれても、ぜひとも、具体的な憲法改正項目を速やかに提案をいただき、憲法審査会のテーブルにのせるべきである。憲法を国民の手に取り戻そう、日本を前に進めていこうと委員各位に呼びかけ、また、国民の皆様に呼びかけ、冒頭発言を終わりといたします。
ありがとうございます。