照屋寛徳の発言 (憲法審査会)
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○照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。
本日のテーマである憲法制定経緯と憲法公布七十年を振り返ってについて意見を申し上げます。
去る十一月三日は、日本国憲法が公布されて満七十年の節目の日でございました。私は、憲法公布七十年を振り返り、改めて、憲法が掲げる普遍的理念及び国民主権、基本的人権尊重、平和主義の三大原則、第九条の規定など、日本国憲法が国民から強く支持され、我が国が平和国家として歩んできた担保になったものと確信しております。
あの悲惨な大戦を志願兵として経験した作家の故城山三郎氏は、戦争は全てを失わせる、戦争で得たものは憲法だけだと断言しました。まことに言い得て妙であります。
日本国憲法は、前文において「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」とうたい、日本国民は、国家の名誉にかけ、全力を挙げてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ったのであります。
さて、憲法公布七十年の歴史において、忘れてはいけないのは憲法と沖縄の関係です。
沖縄では、悲惨な大戦で、当時の住民四人に一人を含む二十万人余のとうとい命が奪われました。終戦後も、アメリカの直接軍事支配下に置かれ、憲法が全く適用されない無憲法下に置かれました。このようなアメリカの軍事支配下で、沖縄県民は日本国憲法に希望を求めて復帰運動を闘ったのであります。国民主権、平和主義、立憲主義をうたった日本国憲法を制定する帝国議会に沖縄代表を送ることすら許されなかったことを忘れてはいけません。
一九七二年五月十五日に復帰が実現し、沖縄にも待望の憲法が適用されました。しかし、同時に日米安保条約も適用され、復帰から今日までの沖縄は、憲法法体系よりも安保法体系が優先する反憲法下の日常を強いられております。沖縄では、憲法の理念よりも米軍の運用、軍事合理性が常に優先されるのです。不平等、不公平な日米地位協定の全面的、抜本的改正なしに、日本は主権国家、独立国家たり得ません。
沖縄は、復帰前も復帰後の今日でも憲法番外地であり、沖縄県民には憲法前文に定める平和的生存権及び第十三条の幸福追求権、第十四条の法のもとの平等も保障されず、百四十三万余の県民は憲法上の諸権利を有する国民とすら扱われておりません。まるで道具か物としての扱いです。憲法第十一条が、侵すことのできない永久の権利として国民に与えた基本的人権も十全に保障されておりません。
私は、憲法第九十九条がうたう憲法尊重擁護義務を負う者の一人として、憲法公布七十年を振り返って考える場合、沖縄の戦後史と日米安保体制下の沖縄の現実を抜きにして論及できないことを強く主張いたします。ひとりよがりで言うものではありません。それらを真剣に考えることこそが憲法第九十九条で憲法尊重擁護義務を負う者の責務です。
国会は衆参ともにいわゆる改憲勢力が三分の二以上を占めております。
安倍内閣のもとで、憲法学者から裏口入学と強く批判された第九十六条改憲策と、お試し改憲と呼ばれる非常事態条項の追加改憲構想、一九七二年十月の集団的自衛権を明確に否定した政府見解を恣意的に解釈変更した集団的自衛権行使容認の解釈改憲、憲法違反のいわゆる戦争法制定などが矢継ぎ早に強行されました。
時の政府権力が正式な憲法改正手続を経ることなく解釈変更で実質的な憲法内容を変更することは、憲法第九十六条違反です。国民が時の政府権力を縛るのが憲法です。憲法を遵守する義務は時の政府権力の側にあります。これが近代憲法における立憲主義の理念であります。
私は、憲法公布七十年の歴史上初めて、安倍内閣によって憲法が破壊されるのではとの危機感を強く抱いております。改憲という名の憲法破壊は平和の破壊であり、人間としての尊厳を有する個人の破壊であります。
私は、いかなる意味においても憲法改悪には反対し、護憲の立場にあることを表明いたします。同時に、憲法公布七十年を振り返って、憲法を求める沖縄、捨てる日本にならないことを切に願っております。
近時、二〇一二年自民党日本国憲法草案が話題になっております。憲法学者の樋口陽一、小林節両名誉教授は、この草案が明治憲法のような古色蒼然としたものどころか、憲法なき江戸時代への回帰だと著書「「憲法改正」の真実」の中で批判しております。自民党日本国憲法改正草案は近代法からの逸脱であり、前近代への回帰だとも指摘しております。私もそのように思います。
最後に、いわゆる押しつけ憲法論は、憲法制定過程を冷静かつ緻密に検証すれば、改憲の理由、根拠には全くなり得ないことを申し上げ、社民党を代表して私の意見表明を終わります。