山下貴司の発言 (憲法審査会)

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○山下委員 自由民主党の山下貴司でございます。
 日本国憲法公布七十年のこの年、この月に発言の機会を与えていただきまして、大変光栄に思っております。また、私自身、憲法担当の司法試験委員をやっておりました。そういう経験も踏まえてこの場で発言させていただくこと、大変光栄なことだと思っております。
 私は、この憲法制定経緯、本日議論するわけでございますが、無用な、かつ不毛なレッテル張りにくみするつもりはございません。ただし、その制定経過、事実に関して目を背けることは、やはり国民の憲法論議に対して不誠実ではなかろうかというふうに考えております。
 その憲法の制定経緯、これは本日お配りされております資料の二十三ページ、憲法制定の経過に関する小委員会の報告書の下線部にまとめられているところであろうかと思います。
 すなわち、「原案が英文で日本政府に交付されたという否定しえない事実、さらにたとえ日本の意思で受諾されたとはいえ、手足を縛られたに等しいポツダム宣言受諾に引き続く占領下においてこの憲法が制定されたということは、明らかなのである」。一方、「全部が全部押しつけられ、強制されたといい切ることができるかといえば、当時の広範な国際環境ないし日本国内における世論なども十分分析、評価する必要もあり、さらに制定の段階において、いわゆる日本国民の意思も部分的に織り込まれたうえで、制定された憲法であるということも否定することはできないであろう。」
 我々は、こういった事実も踏まえてやはり議論していく必要があるのであろう。こういった制定経緯を正しく国民と共有することは、七十年の歳月を経た憲法の改正の要否、解釈の要否、変更の要否を考えるに当たっても重要でありますし、無用なレッテル張りを避けるという意味でも重要であるというふうに私は考えております。
 そういった意味で、憲法制定経緯において、レッテル張りは避けるべきだという観点から、一つ、九十七条の削除について制定経緯を御紹介いたしたいと思います。
 この点について、最高法規の章から我が党草案が三章にまとめたことについて批判される向きがございますが、この点の経緯につきましては、この審査会でも平成二十五年五月に配付された資料八十五号の四ページにも記載されております。
 これは、もともとマッカーサー草案の第三章の初めに二つの条文があって、その一部に、「此ノ憲法ニ依リ日本国ノ人民ニ保障セラルル基本的人権ハ人類ノ自由タラントスル積年ノ闘争ノ結果ナリ時ト経験ノ坩堝ノ中ニ於テ」云々というところがございました。
 これについて、「積年ノ闘争ノ結果」だとか「時ト経験ノ坩堝」だとか、とてもこれでは日本の法文の体をなさないということで、あれこれ思案のあげく、この条文を一条にまとめて、十条、現在の十一条にしたというところが、これが、当時法制局次長でありまして、後に内閣法制局長官になった佐藤達夫さん、この方が日本国憲法を非常に形づくった方でございますが、その方が書いておられます。資料にも明記されております。
 そして、十条として総司令部に持ち込んだのだけれども、先方も我々の案に同意してくれたのだけれども、その喜びもつかの間、相手方がしばらく中座していたのが戻ってきて、実はあれはホイットニー民政局長みずからのお筆先になる得意の文章であり、どうも削ることはぐあいが悪い、せめて尻尾の方の第十章あたりに復活することに同意してもらえないかと言い出したと。そうまで言うならとこれに同意し、第十章の初めに今の九十七条に当たる条文を入れることにしたのであったというふうに言っております。
 そして、この佐藤達夫元長官は、後で一番気になったのは、この条文を最高法規の章に入れたことであると。どうせマッカーサー草案の十条を復活するのなら、素直にマッカーサー草案のとおり三章の初めの位置に置いた方がよかったのではないかということであるというふうに、これは資料にも明記されております。ただ、説明ぶりとしては、当時から、基本的人権の確立こそはこの憲法の核心をなすものであるということで一貫してきたということであります。
 こういった経緯も踏まえて、どのように憲法を考えていくのかということを我々は自由に考えるべきではないか、自由に議論をすべきではないかと思っております。
 また、解釈変更について指摘がございました。
 しかし、この解釈変更につきましては、例えば、国立国会図書館に調べていただいたところによると、平成二十四年の総選挙当時に東京大学と朝日新聞が調べたところによると、憲法を改正するか解釈変更して集団的自衛権を行使するようにすべきだとした方が、現在の民進党の議員のうち三十七名、約四割おられたということでございます。
 私たちは、この方々が立憲主義にもとる解釈をしたと言うつもりはございません。やはり我々は、解釈について、どう限界があるのかということをしっかり考えていくべきであろうと思います。
 その上で、戦後七十年の時を経たこの憲法、例えば、国会が機能しない緊急事態においてどうするのか、新しい人権についてどうするのか、地方自治については十分か、一票の格差に関する最高裁判例が事実上変遷している中でどう考えるべきか、そういったことを、我々日本人の英知を信じ、最終的には国民投票でございますから、この英知を信じ、そしてその経験をもとに考えていくというのが、そしてそれを提示するのがこの審査会の役割であろうと思っております。
 以上であります。

発言情報

speech_id: 119204183X00220161117_026

発言者: 山下貴司

speaker_id: 606

日付: 2016-11-17

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会