安藤裕の発言 (憲法審査会)
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○安藤委員 自民党の安藤裕でございます。
本日は、発言の機会をいただき、ありがとうございます。
本日、衆議院の憲法審査会が再開をされ、議論が深まることによって国民の間で憲法改正に対する理解が深まっていくことを大変に期待しております。
さて、私は、現行の憲法において早急に改正をしなくてはならないのは、まず憲法第二条であるというふうに考えております。以下にその理由を述べます。
現行の憲法第二条では、「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」と規定をされています。
さきの天皇陛下のお言葉をきっかけに、皇室典範や天皇陛下の譲位についての議論が始められています。有識者会議も設置をされ、その議論の内容についてもさまざまな報道がなされております。
しかし、私は、皇室のあり方や譲位のことについて国民的議論の対象になること自体に少し違和感を感じております。皇位継承のあり方について、また天皇陛下の譲位について、私たちが口を挟むべき内容なのか、我々はそれに口出しをするほど日本の皇室のあり方について日ごろから熟考し、長い皇室の歴史について熟知をしているのか、そのことについて甚だ疑問を感じるのです。
そして、一番問題であると考えるのは、憲法第二条の、国会で議決をした皇室典範という規定です。
国会で議決をするとなると、私たち国会議員も当然皇室典範について発言をしなくてはならなくなります。国会議員が発言をするとなると、当然にこれはそれぞれの議員の信条や価値観に基づいて発言が出てくる、これは極めて自然なことです。
しかし、私たち政治家が発言を始めると、当然にこれは政治問題となってまいります。さまざまな集会で政治家が発言すればするほど大きな政治課題となり、国論を二分するような議論に発展をしていくおそれがあります。これが結果的に皇室の政治利用につながっていくのではないでしょうか。
長い日本の歴史を顧みても、世界最古の王朝である皇室がなぜこれほど長い間続いてきたのか。それは、国の権威と権力が分離をしており、皇室は日本最高の権威を保ち、国を統治する国家権力は武家等が行使をしてきました。だからこそ、どのような権力者も天皇に取ってかわろうとは考えなかったし、易姓革命のようなことはこの日本では起きることがなく、神話の時代から連綿として続く皇室が今でも継続をしています。
権威を権力と分離させておくことが、結果的には国の統一を保ち、今の象徴天皇制につながっているのではないかと思います。これからも天皇陛下の権威と国家の権力は分離をさせておくべきであり、これが今後も皇室が継続をしていく大切な要素であると考えます。
ところが、今の第二条では、「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」と規定されている。つまり、日本の最高の権威が国権の最高機関たる国会の下に置かれています。先人たちが長い間培ってきた知恵である権威と権力の分離が現行憲法ではなされていません。
本来、天皇の地位は日本書紀における天壌無窮の神勅に由来するものであり、憲法が起草されるはるか昔から存在するものです。これを後から憲法に文章として規定し、そこに国の権力の源泉となった国民主権を入れ込んだために、権威と権力の分離ができなくなっています。
私は、皇室典範については、旧憲法のように、国会の議決を経ずに皇室の方々でお決めをいただき、国民はそれに従うというふうに決めた方が、日本の古来の知恵であった権威と権力の分離が図られると思いますし、皇位継承や天皇陛下の譲位について、政治問題と化し、政局になってしまうことを避けることができると思います。だからこそ、今早急に改正すべきは憲法第二条であると主張したいと思います。
皇室は憲法以前から存在をしており、我々が手を出せないところにあるからこそ権威なのです。これを忘れてはならないと思います。
以上です。