池部彰の発言 (災害対策特別委員会)
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○池部参考人 北海道南富良野町長の池部でございます。
初めに、今回の台風による豪雨災害に際しましてさまざまな御支援をいただきましたことに、一言お礼と感謝の言葉を申し上げたいと思います。
政府及び関係各省、関係機関の皆様には、このたびの豪雨災害に当たりまして、速やかなる救援救助措置を賜り、災害救助法の適用並びに被災者生活再建支援制度の適用のほか、激甚災害の早期指定に御配慮を賜り、特に、被災地での救援救助活動を賜りました陸上自衛隊上富良野駐屯地の災害派遣部隊の皆様には、極めて厳しい災害環境のもとで、昼夜を問わず人命救助から給水支援まで大変なる御尽力をいただきました。おかげをもちまして一人の犠牲者も出さなかったことに対し、町民総意のもとに心から厚く感謝を申し上げます。まことにありがとうございました。
そして、松本大臣におかれましては、政府調査団とともに被災地にお越しくださいまして、私どもの被災地の実情をじかにごらんいただき、被災者の声に耳を傾けていただきました。心から厚くお礼と感謝を申し上げます。
また、秋葉委員長を初め災害対策特別委員会委員の皆様方には、このような発言の機会をいただきましたことに対しましても、心から厚く感謝を申し上げるところでございます。
今回の河川の氾濫による水害では、特に、本町中心地区の幾寅市街地の北側を流れる直轄一級河川空知川の堤防決壊によりまして、市街地の約三分の一が浸水をし、避難所や道の駅、特別養護老人ホーム、障害者自立支援施設などの公共施設や福祉施設を初め、農業共同利用施設、商業施設、多数の住宅家屋の浸水や損壊、農用地の流亡などの被害に加え、河川の氾濫により、JR根室本線の南富良野町幾寅駅から新得駅までの鉄道施設が被災し、地域住民の生活や地域経済にとりましては、これまでかつて経験したことのない甚大な被害を受けたところでございます。
私は、災害対策本部の責任者として、災害発生前の警戒予防活動から応急対策、復旧など一連の対応に、関係機関の協力を得ながら努めてまいりましたけれども、総じて、今回の災害について率直に申し上げますと、最大の要因であります気象状況と集中豪雨はもとよりでありまするが、その災害の規模や発生箇所数、範囲においては、本町の防災能力や対応力をはるかに上回る規模の災害であったのではないかというふうに受けとめているところであります。
その上で、今後の本町の住民の生命と財産を守るという地方自治体の本来の使命を果たしていくために、防災機能の充実強化という視点で、今回の経験を踏まえまして、要望事項も含みまするが、必要な対策を申し述べさせていただきたいと思います。
まず、ハード面でありますが、一つは、空知川の河川整備の促進を早急にお願いしたいと考えているところであります。
決壊をした空知川の堤防は、昭和四十三年建設当時、空知川の流水量を毎秒千トンとして計画され整備されたものでありまするが、今回はその流量を大幅に上回ったと推定されており、かなりの局地的な雨量による増水が堤防を越水し破堤をもたらし、被害を拡大させたものであるとのことでありますので、災害復旧による築堤とあわせて早急に河川整備計画を見直し、今回の洪水に対応できる治水対策の実施をお願いいたしたいと思います。
また、直轄金山ダムに注ぐ空知川は一級河川でありまするが、ダム湖から上流二・五キロ区間が国の管理で、そこから先は北海道の管理であります。今回の破堤箇所を含む空知川左岸の一部に堤防が整備されておりますが、その他は未整備であり、最上流の落合地区市街地では、今回の氾濫により、住宅家屋に浸水被害が発生し、また、未整備箇所に隣接する農地では、流亡による大きな農業被害が発生しておりますので、ダム湖から上流の空知川については、国と北海道と連携を図っていただき、今回の被害状況を踏まえて、堤防の整備など治水対策の総合的な対応をお願い申し上げます。
次に、直轄金山ダムの洪水調節機能の強化とダム湖下流域の治水機能の強化について対策をお願いいたします。
金山ダムは、洪水調節のほか、農業用水、上下水道用水、発電など多目的ダムとして昭和四十二年に完成をし、これまで下流域の住民の生命と財産を守ってまいりました。加えて、農業を初め各種産業の振興、発展を支え、本町では観光レク産業の資源として地域づくりに大きく貢献をしてまいりました。
今回の増水により、計画高水流量の一・五倍を超える水が金山ダムに入り、ダムによる調節も行われましたが、下流河川の水位が上昇することが予想されることから、その際には、河川管理者から連絡を受け、我が町のダム湖下流域に存する集落の金山地区及び下金山地区の低い土地の住民に避難をお願いしたところであります。隣接をする富良野市の一部住民も同様に避難をしたとお聞きしております。
幸いにも、金山ダムが大きな効果を発揮し、下流河川の水位上昇による住民への被害はありませんでしたが、今回の想定を超える雨量が現実として発生したことを踏まえますと、具体的には金山ダムの貯水量をふやすなど、洪水調節機能を強化する必要があるのではないかと思うところであります。
北海道内でも、ダムのかさ上げなどが進められていると承知をしておりますが、金山ダムも来年度には完成から五十年を迎えようとしております。我が町のみならず、さらなる空知川流域の安全、安心の確保と流域の発展のために、金山ダムの洪水調節機能の強化をお願いいたします。また、金山ダムの下流域の空知川についても、今回のケースを踏まえて、治水対策の総合的な対応をお願い申し上げます。
次に、道の駅の防災拠点機能の強化について御支援をお願いいたします。
北海道の東西を結ぶ大動脈であります国道三十八号線沿いの道の駅南ふらのは、年間三十万人の方に御利用いただいておりまして、被災当日は、国道三十八号線の狩勝峠などで土砂崩れが発生をし、通行どめとなりましたほか、集落間を結ぶ主要道路も同様に通行不能となりましたので、多くの通行客及び通行車両が町外に出られず、この道の駅に避難をしていた際に洪水被害に遭われたところであります。この対策については、現在、道路を管理する旭川開発建設部と道の駅の防災拠点化を図るべく協議を進めているところでありますので、これらについても引き続き御支援をよろしくお願いいたすところでございます。
次に、道路のネットワークによる緊急時の広域避難のためのルートの確保について御支援をお願いするところでございます。
ただいま、道の駅防災拠点機能の強化でも当時の状況を申し上げましたが、今回の災害箇所が、空知川の氾濫のほか、土砂崩れなど広範囲に及んでおりまして、落合地区住民九十九世帯百七十七名及び幾寅地区千三十五世帯千八百六十二名に多数の通行客を加え、一時孤立する事態が発生をいたしまして、この地域においては北海道の東西を結ぶ国道三十八号線がいかに重要で命の道路であることかを改めて痛感したところであります。ついては、復旧整備に特段の御配慮をお願い申し上げるところでございます。
また、今回の水害で特に堤防が決壊をし浸水被害が大きかった地域には特別養護老人ホーム、障害者支援施設がありまして、これらの社会的弱者の避難先については、今回の災害を踏まえて現在さまざまな角度から検討中でありまするが、他市町村への広域避難という選択も必要であります。
また、さきに申し上げましたけれども、地域交通のかなめでありますJR根室本線の幾寅駅から新得駅までの鉄道施設が被災を受け、復旧の見通しが立っていない中、今般、JR北海道の経営再建のもとに鉄路の廃止が示されたことにより、北海道の道北と道東を結ぶ交通体系が不安視されている状況にもございますので、このような状況も考慮をいただきまして、この地域における国道三十八号線を補完できるルートの確保について、現在の北海道の道路整備計画に反映をさせていただきたく、特段の御理解をお願い申し上げるところでございます。
次に、ソフト面の対策について申し上げますが、空知川については、国管理及び北海道管理区域を問わず、水防法に基づく洪水予報河川あるいは水位周知河川に御指定をいただき、タイムラインの策定などに御支援をお願い申し上げるところであります。
堤防決壊当日の空知川の増水に際しましては、災害対策本部では、複数の班体制により河川の巡視を強化して堤防、水位などを監視し、異変に備えるべく土のうづくりなど、警戒活動と並行して緊急時の対応に備えていたところであります。
このような中、幾寅市街地の南から市街地を通り金山ダムに注ぐ、北海道が管理する一級河川ユクトラシュベツ川が越水し、市街地に流れ込みましたが、土のうなどの対処によって水防活動が成功し、事なきを得たところでありました。
その後、金山ダムから上流の空知川については、河川事務所から水位が切迫した状況であるとの連絡を受け、巡視をさらに強化し水位の監視を行っておりましたが、関係機関の今後の降雨量の予測など助言をいただき、最終的には、およそ破堤四時間前の午後十時に避難指示の判断をいたしたところであります。
この上流域は水位周知河川の指定がされていなかったことから、地域防災計画上、避難などの判断基準は抽象的な判断基準となっておりますので、対策本部としましては、巡視による河川水位の変動や気象庁の情報などを総合的に勘案して避難判断をいたしたところであります。
今回の一連の対応を踏まえまして、より安全に、そして確実に住民へ避難を周知し誘導するために早期に判断できるよう、国及び北海道の管理区域を問わず、一本の河川として水位周知河川の指定をお願い申し上げます。また、タイムラインなどの策定に関しましても御支援をお願いいたしたいと思っているところでございます。
次に、防災及び減災の前提条件となる森林機能の強化の必要性について申し上げます。
本町は、北海道のほぼ中央に位置をする山間地域でございまして、石狩川水系空知川の最上流の流域沿いに五つの集落により町を構成しております。面積のほぼ九〇%が森林でございまして、かつては、現在の基幹産業である農業とともに林業が栄えた地域でもあります。
私は、現在、町長就任五期目の町づくりに当たりまして、喫緊の課題であります少子高齢化や過疎化対策、産業の復興などさまざまな課題に対しまして、ともにつくる共生の町づくりとして、五つの基本政策を掲げて、現在、町づくりを展開しているところであります。
その中の一つに、山づくりは町づくりという言葉で表現をしておりまするが、かつては森林産業で栄えた町でありますけれども、森林資源の活用については、将来に向けた町政の発展に極めて重要な課題でもありまして、また、地域林業を取り巻く環境は非常に厳しく、価格の低迷や林業の担い手不足により、森林荒廃が顕著になってまいりました。さらに、地球規模的な温暖化に伴う異常気象にも森林環境が密接にかかわっているのは、皆様も既に御存じのとおりだと思うところであります。
このような状況を踏まえまして、私は、山間地にある自治体として原点に立ち戻り、森林の再生と活用に積極的に取り組んでまいりました。特に、木質バイオマスエネルギーの活用については、木質チップの生産から各小中学校や福祉施設での活用などに取り組み、雇用の創出と地域経済の活性化も目的としつつ、推進をいたしているところであります。
また、北海道では、木質チップを活用した大規模な発電施設の建設も進んでおり、森林資源の活用については明るい兆しが見えてきている状況でもあると思っているところでございます。
一方で、皆様も御存じでありますが、山間地での山林は、水源涵養機能や土砂流出防止、土砂崩壊防止機能として、極めて防災や減災においては欠かせない前提のインフラでありますが、これらの造林事業などの山づくりの推進には、いまだ林業を取り巻く諸環境の現状では国の政策的誘導支援がなければ推進していけない状況でもございますので、この山環境については、さまざまな角度からその存在価値を評価していただき、森林機能の強化について特段の御支援を賜りますようにお願いをいたすところでございます。
また、本町の串内地区は、牛が九百頭孤立をした地区でありまするが、今回の集中豪雨によりまして国有林地内に多数の土砂崩れが発生をいたし、治山による災害の防止に特段の御配慮を賜りますようにお願いを申し上げるところでございます。
災害の被害状況などにつきましては、別紙のとおり、皆様方のお手元に配付をさせていただいておりますので、ごらんをいただきたいと存じます。
以上、私からの意見陳述とさせていただきます。よろしくお願いをいたします。ありがとうございました。(拍手)