志位和夫の発言 (本会議)

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○志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。(拍手)
 この間、台風十号を初め風水害が相次ぎました。犠牲となった方々への哀悼とともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。
 農漁業の被害、大震災からの復興途上での中小企業・業者への被害が深刻であり、被害実態にふさわしい支援を求めます。三十二名もの命が奪われ、六名が行方不明となっています。風水害から命を守るために防災対策と避難計画の総点検が必要だと考えますが、いかがですか。
 熊本地震から五カ月。住宅再建は切実な課題ですが、一部損壊と認定されますと一切の支援策が断たれることが大問題となっております。被災者生活再建支援法を改正し、全壊の場合の支援額を三百万円から五百万円に引き上げること、半壊、一部損壊も支援対象にすることを強く求めます。
 総理は、熊本地震の際、前例にとらわれず、必要な支援をちゅうちょしないと発言されました。今こそ、前例にとらわれない支援に踏み出すべきではありませんか。答弁を求めます。
 安倍政権が、昨年九月十九日、安保法制、戦争法を強行してから一年。この法制は全面的な運用段階に入ろうとしています。八月二十四日、稲田防衛大臣は、安保法制に基づく自衛隊の新任務の訓練に全面的に着手していくと表明しました。九月十二日、総理は、自衛隊幹部を前にした訓示で、今こそ実行のときだと号令をかけました。
 ところが、総理は、所信表明で、安保法制について一言も触れませんでした。安保法制は、総理も認めているように、国民の理解を得ることなく強行可決されたものです。その運用まで国民の理解を求めることなく強行するつもりでしょうか。
 政府は、南スーダンPKOに派遣する自衛隊に駆けつけ警護や宿営地共同防護など安保法制に基づく新任務を付与することを想定し、訓練を開始しましたが、武器使用基準などを定めた部隊行動基準も、いかなる訓練を行っているかも一切明らかにしていません。全て国民に隠して事を進めるつもりでしょうか。当然、国会に報告すべきではありませんか。答弁を求めます。
 南スーダンでは、七月、首都ジュバで大統領派と副大統領派による大規模な戦闘が起こり、民間人数百人が死亡し、副大統領が国外に脱出するなど、内戦の悪化が深刻になっています。自衛隊の宿営地の隣のビルで二日間にわたって銃撃戦が起こり、宿営地内で複数の弾痕が確認されるなど、自衛隊は危険と隣り合わせで活動しています。この事態に際して、国連安保理は八月、四千人のPKO部隊の増派を決め、この部隊には事実上の先制攻撃の権限が与えられました。
 総理は、ことし一月の私の本会議質問に対して、南スーダンPKOの活動地域において武力紛争が発生しているとは考えておらず、派遣の前提となるPKO参加五原則は維持されていると答弁しました。しかし、今起こっているのは、紛れもない内戦そのものではありませんか。紛争当事者間の停戦合意を初めとするPKO参加五原則は、もはや総崩れではありませんか。
 安保法制に基づいて自衛隊に新任務を付与し、任務遂行のための武器使用を認めるならば、南スーダンが、殺し、殺される初めてのケースとなる深刻な危険があると考えますが、いかがですか。
 南スーダンにおける安保法制の発動は中止すべきです。自衛隊を南スーダンから撤退させ、日本の貢献は、憲法九条に立った非軍事の人道支援、民生支援の抜本的強化へと転換すべきです。総理の明確な答弁を求めます。
 日本共産党は、憲法違反の安保法制、戦争法を廃止し、立憲主義を取り戻すために、他の野党、広範な市民の運動と協力し、全力を挙げることを表明するものであります。
 暮らしと経済の問題について質問します。
 総理は、所信表明で、アベノミクスによって経済の好循環が生まれていると自画自賛しました。しかし、日本経済の六割を占める個人消費は、二〇一四年度、一五年度と、戦後初めて二年連続マイナスとなりました。月ごとで見ても、家計消費は、昨年九月以来、二月のうるう年効果を除けば十一カ月連続で前年比マイナスが続いています。好循環どころか、アベノミクス不況ともいうべき状況に陥っているのが事の真相ではありませんか。
 安倍政権は、参院選直後に、二十八兆円を超える大規模な経済対策を打ち出しました。政権発足以来最大規模となる経済対策、景気対策を打たねばならない。そのこと自体、日本経済の悪化をみずから認めるものではありませんか。
 しかも、この経済対策は、リニア建設への巨額の公的資金投入を初め、借金頼みの大型開発へのばらまきという、破綻が証明された対策が中心です。
 リニア新幹線は、それ自体が、巨額の建設費、採算見通しのなさ、環境破壊など、さまざまな問題点を持っています。大体、この事業は、JR東海が民間資金で行うとしていた事業であり、公的資金を投入しても工事量がふえるわけではありません。
 当面の経済対策として、一体どのような効果が見込まれるというのですか。採算がとれなくなった場合に国民が負担を肩がわりする、国民にリスクを肩がわりさせるだけではありませんか。答弁を求めます。
 大企業がもうかればいずれは国民の暮らしに回ってくるというアベノミクスの破綻は、今や明瞭です。日本共産党は、国民の暮らしを応援して経済をよくする、次の三つのチェンジを提案するものです。
 第一は、税金の集め方のチェンジです。
 消費税頼みの財源論が行き詰まっていることは、八%への増税が家計消費と日本経済への甚大な打撃となり、二度にわたって一〇%への増税を延期せざるを得なくなっていることからも明らかです。一〇%への増税は中止し、消費税に頼らない財源論へのチェンジが必要です。
 株取引にかかる税金が軽いため、所得一億円を超える富裕層ほど所得税の負担率が軽くなるという逆転現象が生まれています。研究開発減税など専ら大企業が使う優遇税制のため、法人税の実際の負担率は、中小企業の二〇%程度に対して大企業は一二%程度になるという逆転現象が生まれています。
 総理、これは誰がどう考えても不公平ではありませんか。この不公平を正し、税金は負担能力に応じての原則に立った税制改革で暮らしを支える財源を賄うべきだと考えますが、いかがですか。答弁を求めます。
 第二は、税金の使い方のチェンジです。
 国民からお預かりした大切な税金は、まず、社会保障、若者、子育てに優先して使う、これが日本共産党の提案です。
 社会保障をめぐって、医療、介護、生活保護などの大改悪案が政府の審議会で出され、来年度の予算案や法案で具体化されようとしていることは極めて重大です。
 介護保険では、要支援一、二と認定された人の保険給付外しに続いて、要介護一、二と認定された人のデイサービス、ホームヘルパー、介護ベッド、車椅子などの福祉用具貸与などの保険給付外しが具体化されようとしています。全額自己負担となれば、負担は十倍です。
 日本ホームヘルパー協会は、この動きに強く反対して、次のように述べています。
 初期段階における専門性の高い生活援助サービスの提供こそが、利用者の気力の衰えの回復や交流不足を補い、生活の再生、状態の維持改善、悪化の防止につながり、わずかな支援で高齢者が自分らしく暮らす期間を長くすることができる助けになっていることを介護の実践を通じて確信しております。また、それは、将来の介護給付費削減につながると認識しております。
 総理、日々、介護の最前線で頑張っておられる専門家のこの声をどう受けとめますか。要支援一、二と要介護一、二を合わせれば、要支援、要介護と認定された人全体の六五%を超えます。高い保険料を徴収しながら、六五%以上の方から保険給付を取り上げるというのは、国家的詐欺と言うほかないではありませんか。
 社会保障の拡充は、何よりも憲法二十五条の要請です。社会保障の切り捨て計画を中止し、社会保障拡充路線に転換することを強く求めるものです。
 総理は、所信表明で、給付型の奨学金の実現を図ると述べましたが、どのような規模の制度にするかが問題です。
 日本共産党は、月額三万円の給付奨学金を七十万人の学生に支給する制度を創設し、規模を拡大していくことを提案しています。制度をスタートさせる上で必要最小限の提案だと考えますが、いかがですか。
 総理は、所信表明で、保育の受け皿整備を加速すると述べましたが、規制緩和による詰め込みではなく、保護者が安心して預けられる保育が必要です。
 日本共産党は、三十万人分の認可保育所の緊急整備の提案をしております。野党共同で、保育士の給与を月額五万円引き上げる法案を提出しています。未来への投資という総理の言葉が真実なら、これらの提案は余りに当然のものではありませんか。答弁を求めます。
 第三は、働き方のチェンジであります。
 総理は、所信表明で、働き方改革を行うとして、長時間労働の慣行を断ち切ると述べました。本気でこれに取り組むというのなら、二つのことをやるべきです。
 一つは、残業時間の上限を法律で規制する労働基準法改正です。残業は、月四十五時間、年間三百六十時間以内という大臣告示を法定化することを強く求めます。
 いま一つは、サービス残業、ただ働きを根絶するために、違法なただ働きが発覚したら残業代を二倍にして払わせる罰則を科すということです。ここに踏み込む意思はありますか。
 同時に、長時間労働をなくすというなら、残業代ゼロ法案を撤回すべきであります。
 この法案は、成果で賃金を払うことと一体に、労働時間規制をなくし、残業代支払い義務をなくしてしまおうというものです。そんな制度が導入されれば、とめどもない長時間労働が強制され、過労死をひどくすることは明らかではありませんか。この悪法はきっぱり撤回することを強く求めるものです。
 総理は、所信表明で、非正規という言葉を一掃すると述べました。しかし、一掃すべきは、言葉ではなく、使い捨てという働かせ方ではありませんか。改悪に次ぐ改悪を積み重ねてきた労働者派遣法を抜本改正し、非正規から正社員への流れをつくる雇用のルールの強化を図るべきではありませんか。
 日本共産党は、財界のもうけのために働く者を犠牲にするにせの改革ではなく、労働者の命、健康、権利を守る本物の改革を強く求めるものであります。
 安倍政権は、この臨時国会で、TPP協定の批准を強行しようとしています。
 多国籍企業がグローバルにもうけるために、各国の国内産業、雇用、国民生活を犠牲にするTPPの矛盾は、他のTPP参加国の国内でも広がっています。
 アメリカでは、大統領候補がそろって現行のTPP協定案反対を公約にしています。参加国のGDPの六割を占めるアメリカが承認しない限り、現行TPP協定は発効しません。総理は、協定発効へのどういう見通しを持っているのですか。当選を果たした大統領が公約をたがえるとでも考えているのですか。答弁を求めます。
 TPPにかかわって、この間、新たな大問題が発覚しました。輸入米の価格、SBS価格が偽装されていたという問題です。
 政府はこれまで、輸入米の国内販売価格は国産米と同水準だから、TPPで米は影響を受けないと説明してきました。ところが、その輸入米の価格が偽装され、政府の公表より、六十キロで最大三千六百円も安く販売されていたという事実が明らかになったのです。TPPによる影響の政府試算の前提が崩れたんです。
 さらに、農水省は、二年も前にこの価格偽装の情報を得ていたことを認めています。だとすれば、政府は、真相を隠し、国民を欺いてきたことになるではありませんか。真相の徹底究明と、誤った前提に基づく政府試算の撤回を求めます。
 さきの参議院選挙では、TPPが一大争点となった東北で、自民党は、六県中五県で野党統一候補に敗北しました。総理はこの民意をどう受けとめておられますか。
 日本共産党は、日本の食料と農業、食の安全、経済主権を多国籍企業に売り渡すTPP協定の批准に断固反対して、闘い抜く決意を表明するものです。
 安倍政権の沖縄に対する強権的な振る舞いは、常軌を逸したものです。
 安倍政権は、参院選直後、人口百四十人の東村高江地区に全国から五百人もの機動隊を動員して、反対する住民を力ずくで排除し、米軍オスプレイ着陸帯建設を強行しています。警察が生活道路を封鎖する、自衛隊ヘリが外から重機を運び込む、防衛局が無断で国有林を大量伐採する、どれも違法行為そのものじゃありませんか。
 辺野古の米軍新基地建設をめぐっても、安倍政権は、総務省の国地方係争処理委員会が国と県との真摯な話し合いを求めたにもかかわらず、話し合いによる解決を放棄し、県を一方的に提訴するという暴挙に打って出ました。これは、国と自治体が対等、協力の関係であることを定めた地方自治法を根底からじゅうりんする態度ではありませんか。
 参議院選挙では、辺野古新基地建設反対のオール沖縄の伊波洋一候補が自民現職閣僚を十万票を超える大差で破って勝利し、沖縄選出の衆参六名の国会議員の全員がオール沖縄の議員となり、自民党議員はゼロになりました。
 総理、選挙でこの上なく明瞭な民意が示されているにもかかわらず、それを一顧だにしない態度が民主主義の国で許されると考えているのですか。
 問われているのは、日本の地方自治、民主主義の根本です。しかと答弁を願いたい。
 北朝鮮の核実験は、弾道ミサイル発射とともに、世界の平和と安定にとっての重大な脅威であり、国連安保理決議違反の暴挙であって、我が党は厳しく糾弾するものです。
 北朝鮮の核・ミサイル開発に国際社会がどう対応すべきか。二つの点が大切だと考えます。
 第一は、軍事対軍事の危険な悪循環でなく、対話による解決に徹することです。
 三月の国連安保理決議では、制裁措置の強化とともに、六カ国協議の再開を強く呼びかけました。核・ミサイル開発を放棄させるために、北朝鮮を六カ国協議という対話のテーブルに着かせる、そのために、中国を含む国際社会が一致して制裁の厳格な実施、強化を図ることなど、政治的、外交的努力を抜本的に強めることが重要であります。
 第二は、より根本的には、国際社会が本気になって核兵器のない世界への具体的行動に取り組むことが重要となっています。
 すなわち、核兵器禁止条約の国際交渉開始という方向に進むことが、北朝鮮の核開発の口実を失わせ、核開発放棄を迫る上で急務となっています。国際社会が、我々はもう核を捨てる、だからあなたも捨てなさいと迫ることが、北朝鮮に対して最も強い立場に立つことになるのではないでしょうか。
 今、核兵器のない世界の扉を開く画期的な動きが起こっています。八月、国連の核軍縮作業部会が、核兵器禁止条約の締結交渉を来年中に開始することを国連総会に勧告する報告書を採択したのです。来年中の交渉開始を支持しているのは、国連加盟百九十三カ国の過半数となる百六カ国に上ります。しかし、日本政府は作業部会での採決で棄権しました。
 総理、唯一の戦争被爆国の政府の対応としては、余りに情けないものではありませんか。こうした態度を抜本的に見直すことを強く求めるものであります。
 最後に、憲法改定問題について質問します。
 総理は、参院選投票日の翌日の会見で、いかに我が党の案をベースにしながら三分の二を構築していくか、これがまさに政治の技術と公言しました。
 しかし、自民党改憲案は、憲法九条二項を削除し、国防軍の保持を書き込み、海外での無制限の武力行使を可能にするとともに、公益及び公の秩序の名で基本的人権の大幅な制約を可能にするなど、憲法によって権力を制限するという立憲主義を根底から否定し、憲法を憲法でなくしてしまう恐るべき内容が満載されています。
 総理に伺います。
 この案をベースに憲法審査会で議論するというのが自民党の方針ですか。我が党は、憲法改定の発議をする憲法審査会を動かすことにはもともと反対ですが、自民党改憲案をベースにした議論など、いよいよもって論外と言わなければなりません。
 日本共産党は、現行憲法の前文を含む全条項を守り、特に平和的、民主的諸条項の完全実施を目指すという明確な対案を掲げ、それを綱領で明記しています。今変えるべきは、憲法ではなく、憲法をないがしろにした自民党政治であることを訴え、代表質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

発言情報

speech_id: 119205254X00320160928_007

発言者: 志位和夫

speaker_id: 1300

日付: 2016-09-28

院: 衆議院

会議名: 本会議