世耕弘成の発言 (経済産業委員会)
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○国務大臣(世耕弘成君) 第百九十二回国会における経済産業委員会の御審議に先立ち、経済産業行政を取り巻く諸課題及び取組につきまして、経済産業大臣、産業競争力担当大臣、ロシア経済分野協力担当大臣、原子力経済被害担当大臣、内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)として申し述べます。
まず初めに、熊本地震や今般の相次ぐ台風などで被害に遭われた方に心からお見舞いを申し上げます。政府一丸となって復旧復興に当たるとともに、経済産業省としても、被災された中小企業への支援などに万全の対応をしてまいります。
東日本大震災から五年半が経過しました。廃炉・汚染水対策と福島の復興は経済産業省が担うべき最重要課題です。着任以来、既に福島を三回訪問し、福島第一原子力発電所の作業現場、被災地の状況を見るにつけ、ふるさとに戻りたい方々が一日でも早く戻れるよう、復興を着実に前進させるという決意を新たにしております。
廃炉対策については、三十年から四十年後の廃止措置終了を目指し、中長期ロードマップに基づき、安全かつ着実に進めてまいります。汚染水対策についても、近づけない、漏らさない、取り除くの三つの基本方針に基づき、引き続き予防的かつ重層的な対策を実施してまいります。
住民の方々の帰還に向け、本年六月には葛尾村、川内村、七月には南相馬市の避難指示が解除されました。避難指示解除準備区域、居住制限区域についても、来年三月までに避難指示を解除することができるようインフラ復旧などに取り組みます。解除はゴールではなく、本格復興に向けたスタートです。引き続き、新たな産業、雇用の創出や福島相双復興官民合同チーム等と連携した事業、なりわいの再建に全力で取り組んでまいります。
また、帰還困難区域についても、八月末に決定した帰還困難区域の取扱いに関する考え方に基づき、避難指示を解除し、居住を可能とする復興拠点の整備など、関係省庁と連携して年末をめどに具体策を検討し、必要な予算などの措置に向けて作業を進めてまいります。さらに、福島を未来のエネルギー社会を開く先駆けの地とすべく、新たな社会モデルの構築に取り組んでまいります。
成長戦略を力強く前へ。これまでの三年半にわたるアベノミクスにより、名目GDPは三十三兆円増加し、税収も二十一兆円増えました。さらに、雇用は百十万人近く拡大し、企業収益は過去最高を記録しました。
しかし、アベノミクスは更なる高みを目指します。デフレから完全に脱却し、日本経済を成長軌道に乗せるためには、企業投資の拡大と更なる消費喚起が必要です。多くの感動を生んだリオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピック競技大会が閉幕し、バトンはいよいよ日本に渡されました。成長する日本の姿を世界に示すため、あらゆる政策を総動員していきます。
世界で加速する第四次産業革命の波に日本は乗り遅れているのではないかと悲観する声もあります。しかし、私は、若い起業家たちが自動運転車のソフト開発などで世界をリードしている姿を見て、日本の可能性を改めて感じています。今こそ未来への投資を大胆に進めるときです。
先日、成長戦略の新たな司令塔として、未来投資会議が立ち上がりました。経済産業省でも、第四次産業革命の実現に向け、人や物の移動、健康維持、物づくりといった分野で官民のロードマップを策定し、突破口となるプロジェクトで規制・制度改革を進めます。また、我が国の強みであるロボットなどの物づくり技術とAI技術とを融合させるための研究拠点を整備します。トップ人材、企業を世界から呼び込むため、日本版高度外国人材グリーンカードの実現と、行政手続コストの削減を進めます。これらに加え、投資を促す攻めの経営を実現するため、コーポレートガバナンスの実効性を高めます。
更なるIT化が進む中、サイバーセキュリティー対策の強化が急務です。電力などの重要インフラ分野におけるガイドラインの策定、活用や人材育成のための拠点整備を進めます。
主役は地方、中小企業、目指すは世界。人口減少下でも地域の成長を実現するため、日本経済の屋台骨である中小企業の生産性を高め、外需獲得のために必要となる地域未来投資を喚起していきます。ITを活用した経営力向上、革新的な物づくりやサービスを開発するための設備導入を支援します。
また、魅力ある地域資源の世界への売り込みを推進します。新輸出大国コンソーシアムを活用し、地域の中小企業の製品、サービスや農林水産物、食品の輸出拡大を関係者一丸となって進めます。インバウンド観光についても、観光客の行動データの活用に向けた支援を進めるとともに、クレジット決済のIC対応を義務化する割賦販売法の一部を改正する法律案を本国会に提出します。さらに、日本のスポーツ産業を成長産業にするため、スタジアムを核とした町づくりの支援や経営人材の育成を進めます。
我が国の雇用を支える中小企業の賃上げを実現し、働く人々の消費を喚起することで、経済の好循環を回していきます。今こそ、下請取引の条件改善に切り込まなくてはなりません。経済団体や自動車業界などに対し、未来志向型の取引慣行を実現するよう、積極的な取組を要請しました。不適正な原価低減要請や、無償での金型の長期保管、割引コストの負担のない手形支払の横行など、本来は親事業者が負担すべき費用を下請事業者に押し付けることがないよう、公正取引委員会と連携した下請法の運用強化を進めます。また、サプライチェーン全体で適正取引と付加価値向上の双方を実現するため、引き続き幅広い業界で自主行動計画の策定を促してまいります。
働き方改革は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジです。働き手と企業が共に取り組むことにより、生産性の向上や産業競争力の強化を目指します。既に、人工知能やIoTといった最先端分野に対応した人材育成、産業構造の転換に対応した再就職支援、フリーランスや兼業、副業といった柔軟な働き方など、先を見据えて取り組む企業も現れています。経済産業省としても、中小企業を含めた産業界の実態をしっかりと把握し、経営トップのリーダーシップを促しながら、働き方改革の実現に取り組んでまいります。
通商国家たる日本にとって、英国のEU離脱以降の世界経済の内向き志向を打破し、高いレベルの経済連携の実現に向けて世界をリードすることが重要です。TPPの早期承認、発効、日EU・EPAの年内大筋合意に向け、全力を尽くします。同時に、世界の膨大なインフラ需要に対応するため、本年五月に発表した質の高いインフラ輸出拡大イニシアティブに基づき、資金供給支援、現地人材の育成支援などに取り組んでまいります。
また、ロシア経済分野協力担当大臣として、プーチン大統領の年末の来日に向け、中小企業、エネルギー、ロシアの産業多様化などを内容とする八項目の協力プランを早急に具体化します。意欲的に対ロビジネスに取り組む日本企業を力強く後押しし、我が国の国益に資する形で日ロ経済関係を発展させるべく、しっかりと取り組んでまいります。
最後に、日本経済の根幹を支えるエネルギー政策について申し述べます。
現在の原油価格低迷は、石油、ガスの資源権益を獲得する好機でもあります。このため、我が国の上流開発企業による海外企業の買収などを促進するべく、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律案を本国会に提出いたしました。
原子力発電所については、安全性が確認された原発の再稼働を進めるという政府の一貫した方針の下、いかなる事情よりも安全性を最優先させて、取組を進めます。
また、電力需要の減少や自由化が進展する中、福島復興の一日も早い実現、原発事故の反省を踏まえた安全、防災への取組など、我が国の電力事業が直面する課題は多く、東京電力が置かれた状況は、言わばその縮図です。東京電力の非連続の経営改革に向けて、東京電力改革・1F問題委員会で具体策を検討してまいります。
さらに、本年四月に小売全面自由化が始まった電力システム改革の果実を消費者に還元するため、更なる競争活性化の方策とともに、安全、防災、環境、再エネ導入、安定供給などの公益的な対応が促される仕組みの整備について、電力システム改革貫徹のための政策小委員会で検討してまいります。
また、国内の高速炉開発の司令塔として高速炉開発会議を立ち上げました。核燃料サイクルの推進は基本方針として堅持しつつ、高速炉開発の在り方について、年内に今後の方針案を策定します。
省エネについては、複数事業者による効率的な設備利用の促進などに全力で取り組みます。再生可能エネルギーについても、国民負担を抑制しつつ最大限導入を進めていくという基本方針に基づき、さきの通常国会で成立した改正FIT法の着実な施行や技術開発に取り組むとともに、蓄電池などを活用した先進的なエネルギーシステムや水素社会の構築にも挑戦していきます。
以上申し述べましたとおり、経済産業行政は多くの課題に直面しております。国民各層の幅広い御意見をしっかりとお伺いしながら、経済産業大臣として全身全霊で職務に取り組んでまいります。
小林委員長を始め理事、委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。