茶谷寛信の発言 (厚生労働委員会)
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○参考人(茶谷寛信君) 今日はお招きいただきましてありがとうございます。
私は、全日本年金者組合中央執行委員会副委員長の茶谷寛信と申します。昭和十一年二月生まれですので、小学生時代には予科練に憧れました。中学校時代は、今度はがらりと変わりまして野球の選手に憧れたものであります。そういう世代であります。もう八十歳ですから平均寿命にほぼ達しておりまして、これからどれだけと思っておりますけれども。
現在、年金者組合が中心になって行っております年金引下げ違憲訴訟の原告の一人としても参加しております。原告になったおかげで政府のかなり詳しい回答もいただけましたし、基礎年金の在り方についても、具体的に六万五千円の内容は何を指しているかということも分かりました。一例を申し上げますと、この中には医療費とか教養娯楽費、交通費は入っておりません。ですから、私は、基礎年金は本当に基礎的な部分を保障するだけで、不十分だというふうに考えております。
続きまして、全日本年金者組合については、既に前回、加納参考人が申し上げましたけれども、独りぼっちの高齢者をなくす、支え合って生きがいを求めるということと、憲法二十五条に保障された文化的で最低限度の生活ができる社会保障、わけても最低保障年金制度の確立を求めて自主的に活動している団体でございます。
私たちは、現在出されている公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法の一部改正する法律案に強い懸念を持っています。厚生労働省の説明文書である、三、年金改定ルールの見直し、(1)がキャリーオーバー制度の導入ということですが、(2)、物価変動より賃金動向を優先する制度について特に申し上げたいと思いますし、この点については反対の立場でございます。
理由を申し上げます。
まず第一は、将来の年金水準が全く不明確で、制度を維持するということは強調されておりますけれども、私は、制度を維持することも大事であるけれども、生活の維持が可能であるかどうかの方がより重要なことだと思います。制度が維持されても、本当に少ない年金になってしまって生活の維持ができないのであれば、制度の持つ意味が非常に薄くなるわけであります。そういう意味で、生活の維持を中心に御審議をお願いしたいと思います。
内容を検討しますと、マクロ経済スライドを早く実施したいという制度だけが明らかになっているだけで、この制度が実施されて、若い人も高齢者も安心の年金制度とは到底考えられません。持続可能性が高められると説明されていますが、むしろ憲法第二十五条に言う文化的な最低限度の生活から懸け離れた制度になっていくことが目に見えていると思います。
今でさえ、若い人が懸念しています。僕たちの世代には年金がもらえるの、もらえないのではないかという不信を私は増幅することになり、年金不信は高まるばかりではないでしょうか。
次が、実質的価値の維持。先ほども言及ありましたけれども、最低の憲法上の私は要請だと思います。
平成十六年の年金改定でマクロ経済スライドが導入された後、年金制度をはじめとする社会保障制度改革に関する両院合同会議が設置されております。その第一回、平成十七年四月十四日の会議で、一番初めに自由民主党の丹羽雄哉議員は、現に年金を受給している高齢者の方についても、今後とも現在の年金給付額が下がることはありませんが、若年者の負担増を抑えるために今後は緩やかな伸び率に抑えていくことになりますと述べられております。
高齢者の生活は苦しい、景気が悪くなるとして国会で全会一致で議決された一・七%の特例水準は、このときには既にありました。丹羽議員の発言は、これらを含めて、年金を下げるときには引上げが行われるときに抑制するという最低の保障を述べたものと理解できます。
しかし、現実は、平成十六年改定により現職労働者の保険料は予定どおり値上げされていますけれども、受給者の年金受給額は国民年金だけでも月額六万六千八円から六万五千八円に引き下げられております。理由は、平成二十四年法、閣法二十六号でありますが、実質的価値の維持、名目下限措置と言ってもいいと思いますが、破って引き下げられたことによります。
今回の法案もこの措置を維持すると説明されていましたけれども、過日の審議でこれが不可能なことが明らかにされています。最低のルールを守るべく、もっと実質的で合理的な具体的な議論をして、国民の誰もが納得するまで議論を希望したいと思います。
次に、公的年金制度のスライド制の問題でありますが、私は公的年金制度にはスライド制が命だと考えております。
公的年金制度の信頼性について意見を述べますと、それは物価スライド制があることであると思います。なぜ物価スライド制が維持できるのか。それは、賦課方式を基本としていることとともに、財源確保に被保険者の保険料、私は拠出金と呼ぶといいと思いますが、及び企業が負担する保険料、これは出資金と言った方がいいと思います、と賃金、勤労所得、利潤に課せられた租税、これは所得の再配分のためにあるわけですが、この三つが組み合わさっているからだと思います。この方式を過去、現在、将来にわたって審議していただきたいと思います。
貧困と格差が異常に進んでいる実態は、若い人も高齢者も同様です。十年ほど前には日本は低負担と低福祉と言われて、それはヨーロッパ諸国に比べて消費税が低いからだと言われました。しかし、今ではそういう声はだんだん聞かれなくなっております。それは、社会保障財源に占める消費税の率が今や世界一になっているからではないでしょうか。年間税収も、現在では消費税が所得税や法人税を超えてトップになっております。
そこで、現在では、現職や若い人の負担が重くなるということが強調されています。年金は仕送りであるという議論、これは裁判でも、政府の回答に載っております。世代を三つに分けて、世代ごとに人口を比較して、働いている世代数とその上に乗っている高齢者数を映し出して、こんなに働いている人たちは大変なんだというのは余りにも一方的で単純な議論だと思います。公的年金制度が持っている社会的、経済的な重要な意味をもっと重層的に議論していただきたいと思います。
私は、年金は所得の再配分であるべきと思います。労使が拠出する保険料を通じての再配分と租税を通じての再配分が応能負担で行われるべきであると思います。社会の状況が変われば、この三つの組合せも再検討されてしかるべきと思います。
その一つとして、保険料についての再配分の強化については、二〇一四年、ちょっと西暦が来てしまいましたけれども、十月十五日の第二十六回社会保障審議会年金部会で厚生労働省年金課長が、保険料賦課に関しては上限は必ずしも必要ない、イギリスやフランス、スウェーデンに関しては青天井である、給付をある程度調整する手法が国際的にはございますと発言されております。これは要約でありますけれども、保険料を通じての再配分が国際的に見て不十分との指摘であると思います。
次に、基礎年金の国庫負担分を全受給者に支給してほしいという対案をお話ししたいと思います。
十一月二十九日の衆議院で採決された年金法案に対して、マスコミ各紙は、世論は法案の成立に反対が賛成を大きく上回っているとしながらも、対案が不十分との指摘をしています。同時に、税による最低保障を考える時期に来ているのではないかという指摘もあります。私ども年金者組合は、現在、八万円の一般財源による最低保障年金制度を創設し、拠出制年金制度との二つの制度を組み合わせて、老後の安心の年金制度を提案しております。今回の最低保障年金の議論も必要ではないかとする一部マスコミの指摘には賛成であり、今後、最低保障年金制度の提案が各界、各政党から出されることを期待したいと思います。
年金者組合の提案は、最低保障年金制度を創設するときに、初めから八万円が、月額ですね、望ましいものとするものの、当初は現在の国民年金、以下基礎年金と申し上げますが、の二分の一である三万三千円、実はこの問題を提起したときは六万六千円でありましたので、国庫負担が三万三千円というわけでありますが、高齢者に保障する案です。
今国会で、受給資格者、保険料納付期間が二十五年から十年に短縮されました。これに伴い、十年の受給資格者は来年九月分から約一万六千円が支給されます。これに満額の一般財源を加えると、先ほど提案したのを加えると約四万一千円になります。受給資格のない人は三万三千円になりますから、受給資格のある人は四万一千円ということが最低保障ということになります。無償労働者が担う割合が多い女性は、低年金も多くいます。したがって、女性により多くの年金額の底上げが行われることになります。また、実施されていませんが、年金生活者支援給付金の支給に関する法律の内容より金額も多く、高齢者個人が平等に利益を得ることになります。財源も約三兆円もあれば可能と思われます。
現在、年金の支給を隔月から毎月とすることが検討されていると聞いておりますが、この早期実施と、三万三千円を全ての高齢者に支給することを検討していただきたいと思います。
本院で審議中の国民年金法等一部改正案を撤回し、私どもの提案する最低保障年金制度を実現する案に切り替えていただきたいことを重ねてお願いして、発言を終わりたいと思います。
どうも御清聴ありがとうございました。