黒田東彦の発言 (財政金融委員会)
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○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、毎年六月と十二月に通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出しております。本日、我が国経済の動向と日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼申し上げます。
日本銀行は、十一月初の金融政策決定会合において、二〇一八年度までの経済、物価の見通しを展望レポートとして取りまとめました。これを踏まえ、まず、我が国の経済金融情勢について御説明申し上げます。
我が国の景気は、新興国経済の減速の影響などから輸出、生産面に鈍さが見られるものの、基調としては緩やかな回復を続けています。先行きについては、海外経済の回復に加えて、極めて緩和的な金融環境と政府の大型経済対策の効果を背景に、企業、家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続する下で、二〇一八年度までの見通し期間を通じて潜在成長率を上回る成長を続けると見ています。
物価面を見ると、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、エネルギー価格下落の影響から小幅のマイナスとなっています。先行きは、当面小幅のマイナスないしゼロ%程度で推移すると見られますが、マクロ的な需給バランスが改善し、中長期的な予想物価上昇率も高まるにつれて、見通し期間の後半には物価安定の目標である二%に向けて上昇率を高めていくと考えています。二%程度に達する時期は、見通し期間の終盤、すなわち二〇一八年度頃になる可能性が高いと予想しています。このように、二%の物価安定の目標に向けたモメンタムは維持されていると見ております。もっとも、前回七月の展望レポートと比べると幾分弱まっており、今後、注意深く点検していく必要があると考えています。
日本銀行は、九月の金融政策決定会合において、量的・質的金融緩和導入以降の経済・物価動向と政策効果について総括的な検証を行い、その結果を踏まえ、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するため、金融緩和強化のための新しい枠組みである長短金利操作付き量的・質的金融緩和を導入しました。新しい枠組みは、二つの要素から成り立っています。
第一に、長短金利操作、イールドカーブコントロールです。二〇一三年四月に導入した量的・質的金融緩和は、主として実質金利の低下の効果により経済、物価の好転をもたらし、日本経済は、物価の持続的な下落という意味でのデフレではなくなりました。イールドカーブコントロールは、この実質金利の低下の効果を長短金利の操作によって追求するものです。日本銀行は、経済、物価、金融情勢を踏まえつつ、二%の物価安定の目標に向けたモメンタムを維持するために最も適切なイールドカーブ形成を促していきます。具体的には、毎回の金融政策決定会合で決定、公表する金融市場調節方針において、日本銀行当座預金に適用する短期政策金利及び十年物国債金利の操作目標の二つの金利水準を示します。国債買入れは、買入れ額のめどを示しつつ、長期金利の操作方針を実現するように運営します。
第二に、オーバーシュート型コミットメントです。二%の物価安定の目標を実現するためには、人々のデフレマインドを抜本的に転換し、予想物価上昇率を引き上げる必要があります。この点、我が国における予想物価上昇率の期待形成は依然としてかなりの程度適合的であり、足下の物価上昇率に強く引きずられる傾向があります。こうしたことを踏まえ、日本銀行は、生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に二%を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続するという極めて強力なコミットメントを導入しました。物価安定の目標の実現に向けた日本銀行の強い姿勢を示すことで、二%の実現に対する人々の信認を高め、予想物価上昇率をより強力に高めていくこととしました。
十一月初の金融政策決定会合では、短期政策金利をマイナス〇・一%、十年物国債金利の操作目標をゼロ%程度とする金融市場調節方針の維持を決定しました。日本銀行は、今後とも、経済、物価、金融情勢を踏まえ、物価安定の目標に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行います。
ありがとうございました。