石田昌宏の発言 (財政金融委員会)
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○石田昌宏君 今、変わっていないというような発言だと思います。私もこの方向でもうしばらく行くしかないかなというふうに思っていますし、日銀自体もかなりのことをやってきているというふうには認識しています。でも、二%の物価安定目標は達成されていないしという話です。
前回の委員会でもありましたけど、やっぱりそれはどうも企業の内部留保ですとかそういったものに随分蓄積されていて、なかなか市場全体にお金が行き渡っていないといったような趣旨の議論が前回もあったと思います。ここをしっかりと解決していかないといけないというふうに思いますし、これが解決されていない限りは日銀がどれだけ頑張っても結論はなかなか得にくいなというふうには感じております。
どうも日本経済全体の構造的な問題に踏み込んでいかないと、このデフレからの二十年間の脱却は最終的には困難だと思いますので、それについてちょっと今からお話をしたいというふうに思います。
特に、なぜ内部留保がこれだけあって設備投資や人件費に回っていないのか、これについて考えてみたいと思いますが、資料をちょっと御覧ください。今日は幾つか配っていると思うんですけど、まず一番の資料なんですけど、これはうちの事務所でいろんなデータを基にして作ってみたんですけれども、まず一番ですけれども、この二十年間ぐらい企業の利益余剰金というのはひたすら増え続けています。ただ、人件費は伸びていないということが分かります。安倍政権では、政労使会議等を通じて経営者や労働組合の方にも働きかけて、何とか人件費アップを頑張っているところではありますが、まだ結果は如実には表れていないと思います。
②の方の資料はROEの変化を示しているんですけど、現在も株式市場では企業のROEはかなり重要な指標として見られております。ただ、幾ら会社が利益をたくさん上げたとしても、ROEが低ければ株主のリターンは低いわけですので、株主としては経営陣にROEを改善するように求めるわけです。アベノミクスの最近のところは、確かに高いROE水準を達成してきているかというふうに思います。
次の資料を御覧ください。三番です。これは出所がちょっと間違っていて申し訳ありません。経済産業省じゃなくて財務省の資料を基に作っていますが、これは売上高と利益率の比較なんですけれども、アベノミクスが始まってから、確かに売上高に対して利益率は非常に増えていることがあります。ROE高いのと裏付けになると思うんですけれども、企業はかなり効率的に利益を出せるようになっています。
ところが、四番を見てください。得た利益は設備投資の方、青いところには余り回っていません。有形固定資産というのはこの二十年間ほとんど増えていません。現預金も、これ増えていることは増えているんですけれども、比較して圧倒的に多く増えているのが投資有価証券ということになっています。どうも効率的に出せるようになった利益を有価証券の方に回しているんじゃないかというふうに思います。
引き続き五番を見てください。五番は、売上高に対して営業外利益ですね、これが最近急速に増えています。どうも営業外利益の多くは、急増してきた投資有価証券の配当などから得られているのでないかというふうに思います。
六番、最後ですけれども、営業外収益が増えているのと歩みを同じくして、現地海外法人の設備投資額が増えています。国内は増えていないんですけれども、外国に対する投資が増えています。どうも投資有価証券の配当は、海外からの配当ではないかというふうに思われます。
つまり、今六つのデータを示しましたけれども、今の日本企業は着実に利益を上げているんですけど、その利益は国内ではなくて外国への投資に向かっているんではないか。確かに、内部留保は増えていますが、有価証券が多くなって現預金がそれほどもないために、国内の設備投資やむしろ人件費の方にはなかなか回ってこない、回せないんじゃないかということが推測されるわけです。
そこで、なぜ国内に還流しないのか。これ、実は一九九九年に日銀の当時の速水総裁がこういうことを予言しているんですけれども、読み上げますね。日本経済の構造問題は、経済のグローバル化が進み、外国人投資家による株式保有も増加する中で、従来のボリューム志向に代えて利益率を重視する経営姿勢が我が国企業に広まりつつあることというふうに言っています。
つまり、ROEのように利益の量よりも利益の率を重要視するために、日本は少子化や人口減少が進みますからハイリターンが望めないということで、効率よく利益を得られる海外にお金が向かっているということ、その結果、国内への利益の還流がなくなってきていて設備投資や人件費に回っていないと、こういった話ではないかというふうに思います。
こういう観点からすると、企業自身は利益率の向上のために最適な行動を今取っているんですけれども、その結果、海外にお金が流れていくわけですから、逆に国内のマクロ経済の視点から見ると、こういった企業の行動が需要の抑制を起こしていると。言ってみたら、個別にはいいんですけれども全体では最適じゃないという合成の誤謬が起きているのが今の状況じゃないかというふうに考えられます。
そこで、今やるべきことは、むしろ利益の率を求める企業経営の構造を変えていかないと、この構造的な問題は終わらないんじゃないかというふうに思われます。
そこで、一つ提案なんですけれども、政府が今せっかく経営団体や労働組合と一緒に話合いを行って賃上げの話とかしているんですから、そこで終わらないで、むしろ企業経営そのものはどうあるべきか、株主のものなのか、会社は、社員や顧客、取引先、さらに地域、そういったいろんな観点から企業経営はどうあるべきかということを今後考えていくことの取組を是非していただきたいということを提案させていただきます。
これにつきまして、財務省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。