北側一雄の発言 (憲法審査会)

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○北側委員 参政権の保障をめぐる諸問題について意見を述べます。
 まず、一票の格差と選挙制度のあり方について意見を述べたいと思います。
 憲法第四十三条一項は、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」としております。また、十四条一項に定める法のもとの平等は、選挙権に関しては政治的価値の平等を要請するものであり、また、衆参国会議員は全国民を代表する議員であるから、全国民にとって一票の価値は平等でなければならない、基本的には一票の格差が二倍未満であることが求められると言えます。
 まず、衆議院選挙制度について。
 二〇一六年五月二十日、衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の改正が成立をいたしました。二〇二〇年の国勢調査以降十年ごとの大規模国勢調査の結果に基づき、いわゆるアダムズ方式を採用すること、また、二〇一五年の簡易国勢調査の結果に基づき、アダムズ方式を準用し、定数を十削減することなどが定められました。
 現在、選挙区画定審議会において小選挙区の区割り画定作業が進められており、今国会中に、同審議会からの勧告を経て、政府は、衆議院小選挙区区割り画定法案を提出する運びとなっております。これにより、衆議院選挙制度については、選挙区間格差を二倍未満におさめる制度改正がなされているところでございます。
 次に、参議院選挙制度について述べます。
 参議院議員も全国民を代表する議員であり、参議院議員選挙においても、投票価値の平等は求められると思います。特に、憲法上、参議院には衆議院とほぼ同様の強い権限が認められており、参議院の権能は大きいと言わなければなりません。仮に参議院に地域代表的性格があるとしても、全国民の代表である以上、投票価値の平等が確保される範囲で考慮されるべき一要素にしかすぎないというふうに考えます。
 二〇一五年七月二十八日、四県二合区を含む十増十減の公職選挙法の改正が成立し、選挙区間格差は二・九七倍、選挙時は三・〇八倍となっておりますが、投票価値の平等という要請からは極めて不十分と言わざるを得ないと考えます。同公職選挙法の改正法の附則に規定されておりますように、二〇一九年の参議院選までに抜本的な見直しをしなければなりませんが、我が党はかねてより、全国十一ブロックの大選挙区制を提案しているところであります。
 もし、参議院を全国民の代表ではなく地域代表とするのであれば、憲法第四十三条一項の改正にとどまらず、憲法上の衆参の役割を大幅に見直さなければならないと思います。参議院側での今後の論議の行方を見守りたいと考えます。
 次に、内閣の解散権について述べます。
 日本国憲法には内閣の解散権を直接明示した規定はありませんが、内閣が衆議院の解散権を有することには異論がないと思われます。
 どのような場合に衆議院を解散するかについて、憲法第六十九条の「衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したとき」に限定されるべきとの考え方がありますが、賛成できません。
 総選挙で争点とならなかった重大な政治課題の是非について、内閣が新たに国民の信を問うため、憲法七条を根拠に衆議院を解散し、総選挙を実施することは、国民主権の理念からも認められるべきと考えます。内閣の一方的な都合や党利党略で行われる解散はもちろん妥当とは言えませんが、その判断は専ら有権者である国民に委ねられており、解散やこれに基づく総選挙が違憲と評価されるものではないと考えます。
 次に、緊急事態の創設について意見を述べます。
 憲法に緊急事態条項を設けて、内閣総理大臣への権限集中や国民の権利の制限の根拠を規定すべきとの意見があります。
 例えば大規模な自然災害のような緊急事態において、国会の議決する法律によらないで緊急政令の制定や地方公共団体の長に対する指示などが迅速にできるように、内閣総理大臣等への権限集中を認める根拠を規定すべきだとか、また、国民の権利を制限できる根拠を設けるべきとの考え方があります。
 しかしながら、こうした意見にも賛成できません。なぜなら、我が国の危機管理法制は相当程度整備されてきております。例えば、大規模災害時の災害対策基本法を初めとする災害対処法制、有事の際の武力攻撃事態等対処法制、国民保護法を初めとする有事法制、治安上の事態対処のための自衛隊法、警察法などであります。
 一定の場合には、生活必需物資の譲渡制限や価格統制などの緊急政令の制定権限を内閣に対して与える規定があり、また、医療、土木建築工事、また輸送関係者や近隣住民等の一般国民に対しての従事命令の規定もあります。必要があれば、法律改正で危機管理法制をさらに整備充実をしていけばよいと考えます。
 以上のように、現行憲法でも、緊急事態への対処のため、合理的に必要な範囲で、公共の福祉に基づく国民の権利の制約は可能であって、憲法にあえて根拠規定を置く必要はないと考えます。憲法に緊急事態条項を設けても、しょせん抽象的な規定としかなり得ず、かえって恣意的に発動され、国民の権利が不当に制約されるおそれがあると言わなければなりません。
 緊急事態における国会議員の任期の延長等を憲法に規定すべきではないかとの考え方があります。
 まず、憲法五十四条二項には、参議院の緊急集会の規定があります。すなわち、「衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。」また、同条三項では、「前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。」とあります。
 したがって、まずは、緊急事態におけるこの参議院の緊急集会規定の意義、適用範囲について明らかにする必要があります。
 一九九五年一月十七日の阪神・淡路大震災、また、二〇一一年三月十一日の東日本大震災の際には、ちょうどその年は統一地方選挙の実施される年でございました。統一地方選挙の選挙期日、地方議員及び長の任期の延長に係る特例法を制定しております。
 しかしながら、国会議員については、憲法上、衆議院議員の任期は四年、参議院議員の任期は六年と定められ、また、衆議院解散から四十日以内に総選挙を行うことと定められているため、特例法の制定によって、国政選挙の選挙期日の延期、国会議員の任期の延長はできません。
 国会議員の任期満了直前や衆議院解散直後の大規模災害時などの場合には、少なくとも被災地では選挙が実施できないことも想定され、繰り延べ投票が行われる地域も多くなると思われます。国難とも言える大規模災害時などの場合に、参議院の緊急集会での臨時の措置で足りると言えるのかどうか、具体的な事例を通して、それを想定しながら、十分な検討が必要と考えます。
 一方で、両議院を組織する国会議員の任期は、まさしく議会制民主主義の根幹にかかわる事柄であり、当然のことながら、慎重な論議が必要と考えます。
 また、緊急事態条項については、そもそも緊急事態とはどういう事態か、誰の責任で判断するのか、緊急事態宣言はどのような手続で発せられるのかなど、極めて重要な論点があり、基本的人権の尊重や議会制民主主義の観点等から十分に論議をされる必要があると考えます。
 以上です。

発言情報

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発言者: 北側一雄

speaker_id: 4622

日付: 2017-03-16

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会