根本匠の発言 (憲法審査会)

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○根本(匠)委員 自民党の根本匠です。
 まず、一票の格差と参議院の合区について申し上げます。
 一票の格差をめぐっては、重要な判例が幾つかあります。
 昭和五十一年には、憲法十四条一項が投票価値の平等を要求しているものの、それが選挙制度の唯一絶対の基準ではないと示されました。昭和五十八年には、参議院選挙に都道府県代表的な要素を加味しても、全国民の代表であるという性格と矛盾抵触しないと判断されました。
 しかし、平成二十四年には、昭和五十八年の考え方を否定しないものの、都道府県を選挙区の単位にすべき憲法上の要請はないと指摘し、人口の都市部への集中による都道府県間の人口格差の拡大が続き、総定数をふやす方法をとることにも制約がある中で、最大五倍の格差を解消するため、都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する方式を改めるなど、選挙制度の見直しを求めました。
 昨年の参議院選挙では、鳥取と島根、徳島と高知に合区が導入されました。しかし、鳥取と高知の投票率は過去最低であり、合区は地方在住者の国政への関心を低下させるおそれがあります。都道府県は、歴史的、政治的、経済的、社会的に独自の意義と実体を有する一つのまとまりであり、明治以来定着した制度です。その枠組みを無視し、合区にすることが適切なのか、議論すべきです。
 また、日本は、大都市圏のように人口が集積する都市と過疎な地方が共存する地理的特性を持ちます。人口減少が進む中で、今後も合区で一票の格差是正を図るとすれば、人口に大きな差がある都道府県が合区になる、離れた都道府県が合区になる、地方の声が反映されなくなるといった弊害も起こり得ます。
 合区は二院制の意義にもかかわる問題です。これらもあわせ議論し、参議院に都道府県代表という位置づけを導入することを検討すべきだと考えます。
 次に、緊急事態における国会議員の任期の特例について申し上げます。
 東日本大震災の直後に統一選挙が予定されていましたが、被災地では選挙の実施は不可能でした。そこで、特例法を制定し、首長や地方議会議員の任期延長、選挙の延期を行いました。これにより、首長や地方議会の体制が当面維持され、迅速に災害に対応できたという教訓があります。
 国政選挙の場合、解散による選挙、任期満了に伴う選挙は、いずれも公職選挙法で定められた繰り延べ投票の制度によって投票日を延期することが可能です。しかしながら、憲法で定められた国会議員の任期は延長することができず、投票を延期しても、衆議院議員が不在になる期間が長期化するという問題が生じます。
 衆議院議員が不在時の対応として憲法は参議院の緊急集会を定めていますが、解散による不在だけでなく任期満了による不在でも招集できるのか、緊急事態に衆議院が役割を果たせないことをどう考えるのか、憲法は緊急集会で長期間国政を運営することを想定しているのかなどの論点があります。これは緊急集会の位置づけにもかかわります。
 近い将来、日本には、南海トラフ地震や首都直下型地震といった災害が起こり得るとの予測もされています。それらに備えるため、投票の延期によって議員が長期間不在となる問題に現行憲法下でどのように対応できるのかに真剣に向き合い、憲法に任期延長に係る規定を追加することを検討すべきだと考えます。
 緊急事態条項というと、緊急時に政府に大きな権限を付与する方向での議論もありますが、この問題は、緊急時において国会を正常に機能させるための議論であり、党派を超えて合意を得られるものと考えます。
 以上で私の発言を終わります。

発言情報

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発言者: 根本匠

speaker_id: 24166

日付: 2017-03-16

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会