足立康史の発言 (憲法審査会)
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○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。
本題に入る前に、本日の自由討議が三たび延期され、その開催が一カ月以上おくれたことに関し、憲法審査会の政局化を主導した民進党に改めて苦言を呈しておきたいと存じます。
そもそも、憲法審査会が政局の影響を受けないというのは憲法調査会以来の伝統であります。民進党の武正筆頭、辻元幹事には、会長代理の重責をも担う野党第一党にふさわしい対応を強く求めます。
我が党は、参院選に先立つ昨年三月、教育無償化、国と地方の統治機構改革、そして憲法裁判所の三本柱から成る憲法改正原案を公表し、自民党も五月三日に安倍総裁がメッセージを公表するなど、憲法改正の発議に向けた検討を本格化させています。民進党におかれましても、速やかに党の考え方を取りまとめ、国政政党としての責任、国会議員としての責任を果たしていただくよう要請し、本題に入りたいと思います。
本日の議題に沿って、国と地方の統治機構改革について、我が党の考え方を御説明します。
法律の制定や改正に立法事実が必要であるのと同様、憲法改正にもいわば憲法事実が必要であることは繰り返し申し述べてまいりました。私たちが憲法改正原案の柱の一つに国と地方の統治機構改革を位置づけた背景には、明治維新に伴う廃藩置県から現在に至る百四十年にわたり日本の繁栄を支えてきた府県制度が制度疲労を起こしていることがあります。
移動手段の飛躍的発展や少子高齢化、人口減少等を背景に、東京一極集中と地方の衰退に歯どめがかかりません。東京一極集中は、富や人材の集中のみならず、待機児童を初め社会問題の東京一極集中をも招いています。
こうした認識から、日本維新の会は、地方の自立した発展とともに、東京都民の生活を守るためにも、国と地方の統治機構改革、地方交付税の廃止と消費税の地方税化等を提案してまいりました。
もちろん、戦後の自民党政治も手をこまねいていたわけではありません。しかしながら、国主導の地方振興政策がことごとく失敗し、第二次安倍政権が展開する地方創生も十分な成果を上げているとは言えません。二〇二〇年に地方と東京圏との転出入の均衡を図るという目標を掲げながら、東京圏への転入超過は毎年十二万人近くに及ぶなど、依然として高水準であります。
我が国が今後とも五十年、百年と繁栄を続けていくためには、国と地方の権限と責任のあり方を根本的に変える憲法改正が不可欠であります。
個別の政策を見ても、例えば待機児童問題は地域差が大きく、国で一律の対応をするのが難しい課題であります。大都市では待機児童の解消に向けて保育所増設などの対策を進めていますが、予測を超える入所希望者が出るイタチごっこが続いています。保育のニーズは地域ごとに時々刻々と変わります。各地域の需要に柔軟に対応できるようにするため、保育士の配置基準、保育所の面積基準等は条例で決められるようにすべきです。
こうした取り組みを進めるためには、法律の改正も必要でありますが、旧来の国と地方の関係を改め、自治体が権限と責任を持って独自の立法を行えるようにするには、憲法で原則を定めるべきであると考えております。
こうした課題に対応するため、我が党は、現行憲法の第八章につき、以下のような憲法改正原案を昨年三月に公表しております。
まず、九十二条と九十三条で原則を定めています。自治体の二層制を定め、住民自治と団体自治、そして補完性の原則を具体的に定めております。また、九十四条と九十五条で自治体の組織、九十六条と九十七条で自治体の作用、具体的には条例制定と財政について定め、九十八条で自治体に関する紛争処理を定めています。
現行憲法と比べて規律密度を大幅に高め、具体的規範として機能することを期待しています。
第一の原則についてでありますが、九十二条では道州と基礎自治体の二層制について定めております。条文では、「自治体は、基礎自治体及びこれを包括する広域自治体としての道州とする。」と規定しています。
現行憲法では、自治体の種類、つまり都道府県、市町村というものについては全く定められていません。これを改め、道州制を前提とすることを明記し、基礎自治体と道州を憲法上の存在として定め、その権限を大幅に強化することを意図しております。
九十三条では、「自治体の組織及び運営については、地域における立法及び行政が住民の意思に基づいて行われるとの住民自治の原則及び国から独立した団体自らの意思と責任の下でなされるとの団体自治の原則を旨とする。」としています。
現行憲法九十二条では「地方自治の本旨」とだけ書かれていたところ、既に確立した概念である住民自治と団体自治の二つに分けて明文化をしました。
また、九十三条二項では、補完性の原則を定めるとともに、「国は、国家としての存立に関わる事務その他の国が本来果たすべき役割を担うものとし、それ以外の事務は自治体が担うことを基本とする。」と規定しています。
これにより、自治体の役割に属する事項については、国の法令では自治体を事細かく縛ることは許されず、基本的な準則を定めるにとどまることになります。例えば、憲法事実のところで述べた保育所の設置基準等は、恐らくその大部分が、憲法上、国ではなく自治体が担うこととなります。
第二の組織については、九十四条一項で、自治体の組織及び運営に係る事項はその自治体の条例で定めるとして、自治体の組織、運営は自治体自身が条例で定めるという原則を規定しました。
ただし、二項では、基礎自治体の種類、区域等は道州条例で決めるとしています。基礎自治体の区域等は、当該基礎自治体に任せては決着しない場合も考えられるためであります。
そして、大くくりの第三の作用については、条例による上書き権と財政自主権について規定しています。
九十六条一項の条例制定権の条文は現行憲法とほぼ同じでありますが、二項で法律に優先する道州条例について定めています。すなわち、「道州は、第九十三条第二項の規定により国が担う役割に係る事項以外の事項として法律で定める事項〔道州所管事項〕については、法律に優位した条例を制定することができる。」としています。
一定の事項について道州の立法権が国の立法権より上にあることを定める一方で、道州所管事項の範囲については法律で規定することとし、国と道州の権限のバランスを図っています。
九十七条一項では、自治体は、その自治体の地方税の賦課徴収に関する権限を有するとして課税自主権を定め、二項では自治体間の財政調整制度を定めています。
ここでは、国は介在せず、自治体同士で財政調整を行うこととしており、道州相互間の水平的財政調整も、道州内での水平的または垂直的財政調整も可能な条文としているところであります。
最後に紛争処理でありますが、九十八条で、権限が強化された自治体同士あるいは国と自治体の争訟は憲法裁判所で処理することと定めています。
以上が、国と地方のあり方に関する我が党の憲法改正原案の概略であります。
憲法審査会での今後の議論に供していただければ光栄であります。
なお、憲法審査会に先立つ憲法調査会の報告書が平成十七年四月にまとめられて、議長に提出をされております。
その中でも、第八章、地方自治の章については、現在四条しかない地方自治の章、八章の現行規定を充実させるべきであるとする意見が、二十名以上の委員が発言し、その発言者の三分の二以上を占めるという形で、充実させるべきとの意見が多く述べられたと結論づけております。
また、道州制についても、導入すべきであるとする意見が多く述べられた、すなわち、発言された中の三分の二以上の委員が道州制を導入すべきであるという意見を述べた、多く述べられたと。
こういう総括を含めた報告書が議長に平成十七年四月に提出されていることを付言し、私からの発言を終わりたいと思います。
御清聴ありがとうございました。