照屋寛徳の発言 (憲法審査会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。
冒頭、去る五月三日の改憲派集会に安倍総理がビデオメッセージを寄せ、憲法九条に自衛隊の存在を明記し、二〇二〇年に改正憲法の施行を目指すとの考えを示したことは、立憲主義と憲法の平和主義を破壊し、憲法九十九条の憲法尊重擁護義務違反の暴言であり、社民党として強く抗議いたします。
安倍総理は、これは自民党総裁としての発言であったと弁解しております。だが、自民党総裁である総理は、行政府の長でもあり、具体的な改憲項目や改憲年限を国会や国民に示す権限はありません。御都合主義で立場を使い分け、ごまかすことは許されません。
さらに、安倍総理は、五月八日、九日の衆参予算委員会で、自民党総裁としての考えは読売新聞を熟読せよと強弁しました。全く不誠実で、国会軽視です。同時に、メディアを選別した非民主的手法による改憲の自己目的化であると強く批判せざるを得ません。
社民党は、一連の安倍総理の発言は、国会の憲法改正発議権を無視し、違憲の安保法制に基づく海外派兵の進展と戦争国家への暴走を加速させるものだと考えており、改めて、安倍改憲にあらがい、不戦と護憲を貫くことを表明いたします。
本題に入ります。
大日本帝国憲法には地方自治に関する規定が明定されていなかったことは周知のとおりであります。地方自治は保障されず、当時、都道府県、市町村という行政単位はあっても、独立した組織ではなく、その長も公選ではなく、中央の出先機関にすぎませんでした。かかる中央集権体制下で、国家権力は暴走し、国民の人権は侵害され、自由主義と民主主義は破壊されました。
一方で、戦争放棄を宣言した日本国憲法は、第八章として地方自治の章を設け、地方自治を明確に位置づけ、保障するものとなりました。そこには、再び戦争をしないという国家的意思、国民合意と地方自治創設の狙いとがはっきり結びついていると考えます。
そして、憲法第九十二条が、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」と明定したことを受けて、地方自治法が一九四七年五月三日に、日本国憲法と同時に施行されたことの意味も大きいものがあります。
ところで、憲法は地方自治の本旨、すなわち地方自治の基本原則の中身については明らかにしておりません。そこで、昨今、憲法の地方自治の本旨の明確化等を理由に、明文改憲を主張する動きがあります。
多くの憲法学者、判例、通説は、地方自治の本旨として住民自治と団体自治の二つを挙げております。住民自治とは、地域住民の声を吸い上げて地域の政治を行うことを意味し、団体自治とは、中央から独立した組織としての地方自治体が地方政治を行う考えだと多くの憲法学者らが説示しております。
社民党も、地方自治の本旨が、中央と地方で権力を分散し、地方は中央から独立、干渉を受けずに政治を行い、その一方で、地方自治体は中央政府に対して抑止力を働かせるとの考え方に基づくものであると考えます。
地方自治の本旨は、住民や自治体の側からの分権自治の運動も積み重ねており、多様で豊かな自治の擁護と強化を求めている憲法上重要な概念であり、憲法第八章地方自治の明文改憲には反対です。
ところで、自民党日本国憲法改正草案第九十二条一項は、住民自治と団体自治について、「住民に身近な行政を」と限定し、中央政府の政策に対する地方自治体の意見表明を封じております。日本国憲法第九十四条は、地方自治の権能として、財産管理、事務処理、行政執行の三つを定めておりますが、自民党日本国憲法改正草案第九十五条では事務処理権限のみになっています。
また、自民党日本国憲法改正草案第九十三条三項は、国及び地方自治体は、法律の役割分担を踏まえ、協力しなければならないと定めております。この規定は、地方自治体は、国会が決める法律の定める役割分担に従って、事務処理のみをやればよいと言っているものです。
このように、自民党日本国憲法改正草案の理念に基づく地方自治の明文改憲は、地方自治の本旨を否定し、地方自治体の権限を限定、縮小するばかりか、地方自治体の独立性、自主性、創造性をも否定するものです。地方分権の流れに逆行し、戦前の中央集権体制に回帰し、地方自治体の国の出先機関化をもくろむものであり、到底認められません。
道州制の導入について、社民党は、地方自治の形骸化が一挙に進み、住民不在と格差拡大をもたらすことなどから、基本的に反対であり、慎重に対応すべきと考えます。
広域的行政需要は都道府県の協力や広域連合で対応することが可能であり、現状の中央集権構造を残したまま道州制を導入しても、地方分権なき国主導の府県合併が進むだけということになりかねません。平成の大合併の二の舞となることは必定であり、まずは、平成の大合併が地域の切り捨てや疲弊の拡大につながった点をしっかり検証すべきです。
仮に道州制を導入する場合でも、地方自治法改正で対応可能であり、明文改憲の上、条文をつけ加える必要がないことを申し述べ、意見表明を終わります。