根本匠の発言 (憲法審査会)
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○根本(匠)委員 自由民主党の根本匠です。
憲法九条をめぐっての安倍総裁の真意については既に中谷、古屋幹事から明快に話がありましたので、私は、きょうのテーマである新しい人権について意見を申し上げたいと思います。
憲法制定時には想定していなかった諸問題に対応するため、プライバシー権や環境権などの新しい人権が主張されるようになりました。これらが憲法上保障されるべき権利であるという考えは、当審査会でも共有できるのではないかと思います。
憲法に新しい人権の規定を置くことについて意見を申し上げますと、明記すべきという意見の論拠は、あらゆる新しい人権の根拠を十三条に求めることは適当でないこと、憲法に書き込むことで国民の人権保障がより明確になること、国会の立法や裁判所の判断の基準となることなどが挙げられます。
しかし、どの権利を憲法に書くのか、どの程度規定を具体的にするのかといった点について意見を一致させることは容易ではないでしょう。新しい人権を憲法に書き込んだとして、将来新たな権利が主張されたとき、その都度憲法を改正するのかという点も検討が必要です。
また、プライバシー権に対しては個人情報保護法、環境権に対しては環境基本法など、新しい人権の議論を踏まえてさまざまな法律が整備されたことも指摘したいと思います。これらの法律が憲法と一体となって体系をなし、新しい人権の保障に資するように、憲法改正によらず立法で対応できる可能性があることは考慮すべきだと思います。
法律や解釈で補っている事項を憲法に明記すべきというのは一つの考え方です。しかし、現行憲法にどのような問題があり、是正する手段として憲法改正が適当かという点も検討した上で、議論する内容を絞り込むことが重要だと考えます。
次に、教育について申し上げます。
安倍総裁は高等教育について、真に開かれたものでなければならないと発言されました。私も、意欲や能力があるにもかかわらず、経済的な事情によって大学進学を諦めざるを得ない国民がいてはならないと思います。
そこで、国のあるべき姿を示す規範である憲法に、教育は全ての国民に開かれたものであるべきという理念を書き込むべきではないでしょうか。その理念を実現するための制度は法律で整備していく。具体的には、教育費の負担軽減や無償化の範囲、所得制限の有無などを法律で規定することになるでしょう。その費用は、今の世代で恒久財源を確保し、教育を受ける子供世代には負担を先送りしないことが重要だと考えます。
最後に、教育に関連して私学助成について申し上げます。
私学助成は、憲法八十九条に定める公金支出の禁止との関係で議論となります。
GHQ草案には既に八十九条と同旨の条文があり、それはアメリカの州憲法がもとになっているのではないかと言われています。実際、アメリカの州憲法の多くに八十九条のような規定が置かれています。そのうち宗教教育への援助禁止条項は、十九世紀後半に先鋭化した宗派間の対立が背景にあったようですし、また、私立学校への支出を一切禁止する趣旨ではなかったのではないかと考えます。
憲法制定時に金森憲法担当大臣も、八十九条は国費が乱費せらるる危険がないようにということに非常に重点を置いており、国が十分その博愛、教育、慈善等の事業に対して発言権と監視権とを持っている場合においては国費で出してもよいという認識を示しています。
一方で、私学助成は八十九条の文言に反するのではないかとの批判も見られます。
先ほど申し上げた八十九条の背景や教育基本法、私立学校法などの法律が整備され、私学に公の支配が及んでいること、私学助成は合憲との裁判例があること、私学が教育制度の中で果たしている役割は大きく、国民の間でも私学の重要性は理解されていることを踏まえると、私学助成は合憲であることが文理上も明らかになるように八十九条を改正すべきだと考えます。
以上で私の発言を終わります。