上川陽子の発言 (憲法審査会)

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○上川委員 自由民主党の上川陽子です。
 私からは、犯罪被害者等の権利につきまして発言をさせていただきます。
 犯罪被害者、その御家族の方々は、犯罪によって傷つけられた上、精神的な二次被害、再被害にも悩まされてきました。
 犯罪被害者等への支援は不十分で、刑事手続にも参加できない時代が長く続きましたが、それでも少しずつ犯罪被害者の置かれた過酷な状況に国民の理解が広がり、昭和五十五年には犯罪被害者等給付金制度が創設され、また刑事手続における被害者等の意見陳述制度の導入や犯罪被害者等給付金制度の拡充など、累次の制度が導入、拡充されてまいりました。平成十六年には、超党派の議員立法によりまして犯罪被害者等基本法が制定をされ、これを受けて、犯罪被害者等基本計画の閣議決定や被害者参加制度等の導入が実現したところであります。
 日本国憲法は、刑事被告人の権利について手厚い規定が設けられていますが、犯罪被害者についての明文規定は設けられていません。
 私が犯罪被害者等基本法の制定に携わった当時、犯罪に巻き込まれた犯罪被害者等は、その権利が尊重されてきたとは言いがたく、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい配慮がなされてきたとは到底言えない状態でした。被害者等の多くが、周囲からの配慮のない言動やいわれのない偏見に対し、自分たちの権利を主張し支援を求めるための声を上げることすらできなかったのであります。
 憲法十三条に規定される幸福追求権には新しい人権が含まれていると言われていますが、そもそも、犯罪被害者等にはどのような権利があり、どのような支援を受けるべきものかについて明確な定めがなく、そのため、権利保護がなされる十分な基盤もなかったと言わざるを得ません。
 幸いにして、我が国における犯罪被害者等の権利利益の保護のための法制度は、犯罪被害者等基本法の制定を契機に、さらに、一時の惨状からは比べるべくもないほどに充実してきておりまして、これは、憲法施行から七十年を経た現在、日本国憲法に規定されている数々の諸権利と同様の価値を有するに至ったと言えるのではないかと考えます。
 しかし、今なお課題が残っております。
 事件後の報道等により犯罪被害者等の名誉や生活の平穏が害されたりするなどの被害は、被害者の方々を苦しめ続けています。
 二十年前、あの痛ましい神戸連続児童殺傷事件を起こし、後に社会に復帰した加害男性が、数年前に事件に関する手記を発表し、犯罪被害者等の権利保護と表現の自由との関係について大きな問題提起がなされました。一昨日、参議院議員会館で、犯罪被害者の声を国会に届ける院内集会が開かれまして、私も出席をいたしました。被害児童のお父様が、事件から二十年たった今も加害男性に対して本当の思いを話してほしいと願い続けてきたものの、手記の発表により完全に裏切られたと声を上げ続けています。更生教育が失敗した責任をとる者がいないこと、また、加害者が自分で起こした犯罪の被害者遺族に対してさらに精神的被害を加えることは精神的な傷害罪に当たるとの意見も述べられました。こうした例を見ても、より一層の犯罪被害者等の権利の尊重が求められるところです。
 我が国の法体系には、基本法と名づけられた法律と、それに連なる法制度は数多く存在します。しかし、基本法に掲げられた国民的要請が憲法上の人権に並び立つほどに高まっているものは数少なく、私は、犯罪被害者等の権利利益の保護はまさにその数少ない国民的要請の一つと考えます。
 犯罪被害者等の権利は、個人の尊厳として、国、自治体、さらには各個人の間でも尊重されるべき権利であるとともに、国、自治体において、被害者の皆さんが被害前の平穏な生活を取り戻すためにあらゆる支援をすべき生存権、社会権の側面を持つ、まさに新しい人権であり、憲法上、犯罪被害者等の権利を明記すべきと考えます。
 各党会派における議論をさらに進めて、深めていくことを最後に申し上げまして、私の発言といたします。

発言情報

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発言者: 上川陽子

speaker_id: 1920

日付: 2017-05-25

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会