北側一雄の発言 (憲法審査会)

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○北側委員 公明党の北側一雄です。
 昨年八月八日の天皇陛下のお言葉を契機に、今上天皇の退位に関し、国会では、衆参の正副議長のもとに、各党会派の代表者が集まり、八回の全体会議を実施し、与野党を超えた議論を行ってまいりました。意見の違いも多々ありましたが、三月には衆参正副議長による議論の取りまとめが了承され、これに基づき、政府から、天皇の退位等に関する皇室典範特例法案が提出され、先般、圧倒的多数で衆議院で可決され、参議院においても、明日、可決、成立の見通しでございます。
 ここまで、各党各会派間での真摯かつ熱心な論議がなされ、合意の形成に至りました。両院の議長、副議長を初め関係の皆様の御尽力に心から敬意を申し上げたいと思います。
 日本国憲法第一条では、天皇の地位は「主権の存する日本国民の総意に基く。」とあります。全国民を代表する議員によって組織された国会が、国民の総意を見出すべく努力し、一定の結論を導き出したことを率直に評価したいと思います。
 天皇陛下の退位に関する特例法案の論点については、議長のもとでの全体会議や衆参の委員会にて私どもの考え方を述べておりますので、ここでは省かせていただきます。
 日本国憲法で定められた現行の象徴天皇制を、国民の多くは理解し、支持をしていると思います。国民主権のもとで、象徴天皇制が安定的に維持、継承されていくためには、象徴天皇制が広く国民に理解され、支持されることが何よりも重要と考えます。
 これに関連し、象徴天皇制の意義に関し、二点確認をしたいと思います。
 第一に、いわゆる公的行為と言われている天皇の行為の位置づけです。
 今上天皇は、昨年八月八日のお言葉の中で、次のようにお述べになっておられます。
  即位以来、私は国事行為を行うと共に、日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を、日々模索しつつ過ごして来ました。
さらに、
 天皇が象徴であると共に、国民統合の象徴としての役割を果たすためには、天皇が国民に、天皇という象徴の立場への理解を求めると共に、天皇もまた、自らのありように深く心し、国民に対する理解を深め、常に国民と共にある自覚を自らの内に育てる必要を感じて来ました。こうした意味において、日本の各地、とりわけ遠隔の地や島々への旅も、私は天皇の象徴的行為として、大切なものと感じて来ました。
このようにお述べになられておられます。
 このお言葉にあるとおり、日本国憲法下でのあるべき象徴天皇の姿をみずから模索し、つくってこられたのは今上天皇であったと思います。こうした今上天皇の御活動を通じて、多くの国民も陛下を身近に感じ、深く敬愛してきたと思います。
 天皇の行為は、三つに分類されています。第一に、憲法に明記された十三の国事行為、第二に、象徴としての地位に基づく行為、いわゆる公的行為です。第三に、私的行為などその他の行為です。
 天皇の公的行為は、憲法上の明文の根拠はありませんが、その時代時代の天皇の思いが国民の期待とも相まって形づくられるものと理解されます。被災地へのお見舞いや戦没者への慰霊など、今上天皇の御活動を通じて、多くの国民は、天皇陛下が日本国の象徴、国民統合の象徴として大きな役割を果たしておられると受けとめています。公的行為は国民とともにある象徴天皇の重要な行為で、憲法上も当然認められると考えます。
 次に、憲法第四条一項の趣旨です。
 憲法第四条一項では、天皇は「国政に関する権能を有しない。」と定めています。これは、天皇に政治上の責任問題の生ずるおそれをなくすことによって、国民主権のもと、象徴天皇制を安定的に維持するという趣旨と考えられます。また、政治の側からはいわゆる天皇の政治的利用は禁じられていると解されております。
 ちなみに、議長のもとでの全体会議でも議論となりましたが、天皇の退位の御意思を退位の要件とすることは、皇位の継承という国家の重要事を天皇の意思に直接係らしめることになり、憲法第四条一項に抵触する疑いがあると考えられます。
 皇位の継承について、憲法第二条では、「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」とあり、皇位の世襲のみ憲法上で規定されていて、皇位継承の資格や順序等については法律に委ねられています。
 皇室典範第一条では、皇位の継承資格は男系男子と規定されています。また、同第六条では、嫡出でなければいけないと規定をされています。男系男子としたのは明治の皇室典範からで、過去十代八方の男系の女性天皇が即位されていたことはよく知られているところです。また、嫡出としたのは現行の皇室典範からであります。
 また、皇室典範第十二条では、女性皇族が皇族以外の者と婚姻をしたときは皇族の身分を離れると規定しています。これは、皇族女子に皇位継承資格を認めていないため、明治皇室典範と同様に、婚姻に伴う皇籍離脱制度を採用したものと説明されています。一方、江戸時代までは、皇族女子は皇族以外の方と婚姻しても皇族の身分を保持していたとされています。
 そもそも、皇族制度の目的はどこにあるのでしょうか。
 皇族制度の主な目的は、第一に、皇位継承者を確保するということ、第二に、皇族として天皇を支え、皇室活動を担うことにあると考えられます。
 現在、皇族は十八方、うち皇族男子は四方、皇族女子は十四方です。また、今後、婚姻により皇族の身分を離れる可能性のある女性皇族は七方いらっしゃいます。さらに、皇族男子で、悠仁親王殿下の世代はお一方のみとなっております。
 安定的な皇位の継承をどう確保するのか、皇族制度をどう維持していくのか、いつまでも先延ばしできない、極めて重要な課題であることは明らかです。
 政府もこれまで、皇位の安定的な継承をどう図るか、また皇族制度をどう維持をするのか等、何度か議論をされてきたことは御承知のとおりです。
 小泉内閣での平成十七年十一月の有識者会議報告書では、安定的な皇位継承を可能にする制度の構築が必要との観点から、皇位継承資格を女性また女系に拡大する考え方が示されました。また、野田内閣での平成二十四年十月の有識者ヒアリングを踏まえた論点整理では、皇位継承制度のあり方とは切り離して、皇族数が減少する中で皇室の活動をいかに維持するのかという観点から、女性宮家の創設などが検討されました。さらに、今般、天皇陛下の退位等に関し、平成二十九年四月の有識者会議最終報告書が提出されたところでございます。
 野田内閣での論点整理で指摘されていますように、皇位継承の安定の確保という課題と皇族数減少の中での皇室活動の維持という課題とを当面切り離して論議をすることは、私も必要と考えます。安定した皇位継承のための制度の構築については、極めて重要な課題ですが、拙速な議論を慎み、一定の時間軸の中で、国民意識や皇室の状況等も見きわめ、国民合意を形成していくことが適切と考えます。
 多くの国民は、我が国の象徴天皇制と皇室が安定的に継続していってもらいたいと願っております。我が国の伝統を踏まえつつ、現代社会にもふさわしい安定した天皇、皇室制度をどう構築するか。象徴天皇制のもとで、何よりも国民の理解と支持が不可欠であります。政府にしっかりと検討してもらうことを要請するとともに、私ども国会においても引き続き丁寧かつ慎重な議論を積み重ねていきたいと考えます。
 以上です。

発言情報

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発言者: 北側一雄

speaker_id: 4622

日付: 2017-06-08

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会