石橋哲の発言 (原子力問題調査特別委員会)

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○石橋参考人 石橋哲と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、国会事故調に参画しました。事務局で、全体工程のプロジェクトマネジメント機能として参画しておりました。
 事故調後は、首都圏、福島県、神戸の高校生、大学生、社会人の皆さんと「わかりやすいプロジェクト 国会事故調編」というサークル活動を御一緒しております。国会事故調報告を出発点として、社会のシステムについて世代を超えて学び合い、教訓を共有するという場をつくることを目指しております。
 国会事故調の報告書は市販されております。また、衆議院のホームページに設定されたバナーからも今もアクセスすることができます。当時の動画を見ることもできます。先生方におかれましては、子細に読み込まれていることと確信をしております。
 とはいっても、私のような一般人が約六百ページの報告書を手にとるというのはかなり高いハードルがあります。そこで、私が皆様と御一緒しているサークル活動「わかりやすいプロジェクト 国会事故調編」では、二、三分の動画六つで事故調の報告書を概観できるようなイラスト動画というものを作成いたしました。きょうは、先例がないということですのでごらんいただけないんですけれども、このnaiic.net/ivというところをごらんいただきますと、この動画がごらんいただけます。
 今ここのスライドに出ているところなんですけれども、この右下に、「原発をめぐる社会の仕組みの課題ってなに?」そういう動画がございます。その中にこんな言葉があります。
 事故を起こした福島原発や全国にある使用済み核燃料の課題がある日本は原発とそれに伴うリスクから逃げられない、原発についてはさまざまな考え方があります、しかし、いずれにせよ、その原発に伴うリスクを直視すること、民主主義の仕組みをちゃんと動かさなければいけないというのが国会事故調の今回の教訓であるというふうに結論づけている、そのようなことを言っております。
 私が考える国会事故調提言の根幹というのは、民主主義の仕組みをちゃんと動かすというフレーズに凝縮されているというふうに考えております。
 次のスライドをお願いします。
 本日、委員部の方々に事故調報告のダイジェスト版をお配りいただいております。お手元にあるこういう冊子でございます。
 この事故調の報告の中には、冒頭の方に「結論と提言」という場所を置いております。この資料の八ページでございます。その八ページの左側、中ほどの「問題解決に向けて」というところをごらんください。ここをちょっと御紹介したいと思います。
 「問題解決に向けて」「本事故の根源的原因は「人災」であるが、この「人災」を特定個人の過ちとして処理してしまう限り、問題の本質の解決策とはならず、失った国民の信頼回復は実現できない。これらの背後にあるのは、自らの行動を正当化し、責任回避を最優先に記録を残さない不透明な組織、制度、さらにはそれらを許容する法的な枠組みであった。また関係者に共通していたのは、」ちょっと飛ばします、「無知と慢心であり、」「国民の安全を最優先とせず、組織の利益を最優先とする組織依存のマインドセット(思い込み、常識)であった。」「当委員会は、事故原因を個々人の資質、能力の問題に帰結させるのではなく、規制される側とする側の「逆転関係」を形成した真因である「組織的、制度的問題」がこのような「人災」を引き起こしたと考える。この根本原因の解決なくして、単に人を入れ替え、あるいは組織の名称を変えるだけでは、再発防止は不可能である。」。
 これらの根本原因の解決の道は、透明性、公開性の徹底による原子力規制の独立性を担保することであるというふうに考えます。
 ちなみに、このような考え方というのは、国会事故調ひとりがやっているのかというと、そうではありません。
 先般、四月二十六日、内閣府の原子力委員会第十八回定例会議に提示された案ですけれども、原子力利用に関する基本的な考え方というものが、今、パブリックコメントにかけられています。その中に次のようなフレーズがございます。「我が国では、特有のマインドセットやグループシンク(集団思考や集団浅慮)、多数意見に合わせるよう暗黙のうちに強制される同調圧力、現状維持志向が強いことが課題の一つとして考えられる。また、我が国では、組織内で部分最適に陥り、その中から生じる情報が共有され、必要な情報が適切に共有されない状況も生じており、組織内外を問わず、根拠に基づいて様々な意見を言い合える文化を創り出す必要もある。 このような従来の日本的組織や国民性の特徴が原子力の安全確保のみならず原子力利用全体にも影響を及ぼしたとの認識の下に抜本的な改善策を検討することが必要である。」。
 崩壊した国民の国家に対する信頼の真の再建というのは緒についたばかりだというふうに考えております。
 次のスライドをお願いします。
 これらの課題を実現するための方策として、国会事故調には七つの提言がなされています。ごらんいただいております国会事故調報告のダイジェスト版の二ページから三ページに記載されています。
 この委員会は、「提言一 規制当局に対する国会の監視」に基づいて設定されているとお聞きしております。
 各提言は、それぞれ、原子力をめぐるさまざまな場面において透明性、公開性の徹底をいかに確保するのかという視点に重点を置いて構築されています。七つの提言はいずれも、立法府、国権の最高機関である国会の先生方に対してなされたものです。提言全てに立法府の関与が不可欠です。
 「提言二 政府の危機管理体制の見直し」「提言三 被災住民に対する政府の対応」「提言四 電気事業者の監視」「提言五 新しい規制組織の要件」これらは、立法府による立法手当てに基づき、立法府による行政府の監視、履行がなされるはずのものでございます。
 「提言六 原子力法規制の見直し」「提言七 独立調査委員会の活用」これらは、立法府、国会の先生方自身による実行が不可欠です。
 次のスライドをお願いします。
 これら七つの提言、もしくは国民の国家に対する信頼の再建、非常に重い使命であるというふうに考えています。それらは、国民の代表者であり、国権の最高機関の構成員であられる先生方に託された重い使命であるというふうに思います。ただ、それらは、誰かがいつの間にかつくってくれたり、一夜にしてできるようなものではないというふうに思います。崩壊した国家に対する国民の信頼を再建するという使命遂行と同時に、原子力という巨大な力に対峙するための極めて大がかりなプロジェクトです。
 私は民間人ですが、民間では、このような大がかりで長期にわたるプロジェクトでは、プロジェクトに参画する者がその実行計画を共有し、進捗を共有することによって進められているのが一般的です。まさにプロジェクトマネジメントが不可欠です。そこでは、タスクごとに責任者が明確化され、節目、納期が明記され、共有されています。進捗確認の際には、何がうまくいって、何がそうでないのか、そうでない場合には誰に責任があって、どう取り返すのか、それらがクリアに議論できるようにすることが目指されています。
 国会事故調では、この国の信頼の再建、再構築も同じように大変大がかりなプロジェクトになるだろうというふうに考えました。そこでは、巨大なプロジェクトの遂行の例に倣い、実施計画の策定と進捗状況の公表を国会に期待するというふうに記載されています。先ほどのダイジェスト版九ページ目右側、「提言の実現に向けて」というところの冒頭に記載があります。
 事故から六年超、報告から丸五年経過した現在、ぜひ実行計画の議論をお願いしたいと思います。私は、この特別委員会が、国民と世界からの日本に対する信頼を再建するプロジェクトマネジメントの場になればというふうに考えております。
 次のページをお願いします。
 二〇一五年三月、先ほど御紹介した、私が参加するサークル活動「わかりやすいプロジェクト 国会事故調編」では、福島県と首都圏の高校生が三カ月をかけて共同コメントをつくるというプロジェクトに取り組みました。
 御紹介いたします。彼らはこのようなことを言っております。
 私たちは、こんな未来に参加したいと考えています。大人の本音が聞ける未来。皆が考えることに妥協せず、多様な意見が互いにウイン・ウインになるまで考え抜く未来。皆が考える材料を自分に当てはめ、みずからがどんな社会的役割を持てるか、主体的に考え続ける未来。対症療法に満足せず、慢性疾患を直視する未来。
 私たちを取り巻く世界、今福島原発事故を取り巻く状況を通して見える未来はそんな理想の世界でしょうか。
 私たちが参加したい未来をつくるためには、以下のようなことが必要だと考えます。
 大人と大人、大人と子供、多数と少数、個人と個人が本音で語り合うこと。そこでは立場などを介在させず、理由と根拠に基づく議論がウイン・ウインになるまで重ねられます。参加者は相互に信頼し、結論を急がず広い視野を持って少数の意見を尊重し、全員が主体的に考えます。
 このような場がつくられていくためには、自分の意見の根拠を考え、意見を交わし合意できる場とその教育が不可欠です。
 私たちはまず同世代と一緒に場をつくることに取り組み、子供が変わる姿を大人に見せていきたいと思います。私たちは未来に対する努力を重ねていきたいと思います。私たちは泳ぐことを諦め、ただ流されるままの魚のようになりたくはありません。
 この共同コメントはその中間報告です。
 私が参画するサークル活動の高校生は、未来に対する努力を重ねるというふうに宣言をしております。私はアドバイザリー・ボードの中の一員として、特別委員会の先生方とともに、国民が未来をつくる取り組みをお手伝いさせていただければというふうに考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 石橋哲

speaker_id: 26945

日付: 2017-06-12

院: 衆議院

会議名: 原子力問題調査特別委員会