鈴木達治郎の発言 (原子力問題調査特別委員会)

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○鈴木参考人 長崎大学の鈴木です。よろしくお願いいたします。
 それでは早速、私の方から、まず一枚目は、私自身、原子力の専門家であり、長い間原子力に携わってきた人間の一人として、今回の事故を防げなかったことについて深い責任を感じておりまして、反省もしております。もちろん福島県民の方々に対してですけれども、影響を受けた方々皆様に心よりおわび申し上げたいと思います。
 私の、事故からの教訓なんですが、四つ挙げてありますが、最初にまず、想定できないことを想定することというのが大事ではないか。
 二番目は、私自身が原子力工学の専門家として工学的リスク評価というのをやってきたわけですが、今回、この事故を踏まえて、工学的なリスク評価だけでは原子力のリスクをはかることはできない、経済的、社会的評価というものを考える必要がある。もう一つは、リスク評価をするときに、専門家だけ、特に工学的専門家だけでは決められない、人文社会系の専門家や一般市民の方々の意見も入れて評価すべきである。この二つを学びました。
 三番目は、国民との信頼醸成、これが原子力政策の円滑な推進には不可欠であるということが大事であります。
 そのためには、信頼される独立した情報提供の仕組みが必要である。きょうお話ししたいことの最大のポイントとして、行政や科学技術を独立した立場で評価する第三者機関が不可欠である、これを強調したいと思います。
 では、我々は福島事故から学んだかということなんですが、これは先ほども出ましたけれども、エネルギー基本計画の「はじめに」のところに非常に貴重な文章が書かれておりまして、政府及び原子力事業者は、安全神話に陥り、十分な過酷事故への対応ができず、このような悲惨な事故を防ぐことができなかったことへの深い反省を一時たりとも放念してはならないという大事な文章がありまして、これを、私もそうですが、皆さんもぜひ頭に置いて、エネルギー政策、原子力政策を議論していただきたい。
 しかし、例えば黒川先生の書かれた本を読ませていただきますと、五年が経過して、最近、原発事故は徐々に風化してきてはいないだろうか、事故の反省を全て消し去ろうとしているように見えるとか、畑村洋太郎先生から二つコメントを引用させていただきましたが、「事故を考え直したり、反省をしたりしたかといえば完全にノーだ。」、それから「提言が実行されているかいないかをちゃんと見る組織も動いていないようにみえる。」と。このように、五年たって、もう六年になりますが、福島原発事故から学んでいないのではないかというのが私の一番の懸念であります。
 国会事故調の提言の七が非常に大事でありまして、「独立調査委員会の活用」というところの中に、全部読む時間がありませんが、大事なことは赤い字で書いてあるところで、特に後半のところですね、「原子力事業者及び行政機関から独立した、民間中心の専門家からなる第三者機関」をつくるということが大事だというふうに書かれています。これがまだ実現していないのではないかというふうに私は思っています。
 では、当面のアジェンダとして私が強調したいのは、原子力をやめるか否かにかかわらず、解決すべき課題というのは非常に多くある。ここでは五点挙げていますが、最後にもう一点だけ、「もんじゅ」後の研究開発と人材確保についてもちょっとお話ししたいと思います。
 最初に、使用済み核燃料、廃棄物問題。これも橘川先生からも御指摘がありましたが、使用済み核燃料をどうするか、これは脱原発か否かにかかわらず重要な問題でありまして、私は二点挙げたいと思います。
 一つは、安全性の向上。プール貯蔵の安全性というのは、今回の福島事故でも皆さんおわかりになりましたように、非常に危険なことが起き得るということで、特にテロとの関係は重視したいと思います。
 それから、これを防ぐための一番の方策は、乾式貯蔵へできるだけ早く移すということなんですが、今は民間事業者に任せられておりますが、やはり政府の役割が必要なのではないかというふうに考えています。
 それから三番目は、使用済み燃料は、今は資源として考えられているんですが、これは全量再処理政策ということの硬直性が問題でありまして、中間貯蔵をするにも再処理稼働が必要になってくるという関係があります。したがって、使用済み燃料は資源であるという考え方をぜひもうちょっと柔軟にしていただきたい。後でお話ししますが、再処理拠出金制度というのが昨年できましたが、これも全量再処理政策につながっているものであります。
 高レベル廃棄物の問題は、科学的には私は十分に処理処分できると信じておりますが、残念ながら国民に信頼されていない。このプロセスを信頼できるようなものにするために、四つほど掲げていますが、まず第一に、先ほど申しました再処理と廃棄物処分の関係について明確にしていただきたい。再処理は必ずしも廃棄物処分を容易にしないということは、既に私が原子力委員会のときにも小委員会で評価をしております。ただ、いまだに再処理が廃棄物処分を容易にするということが言われておりますが、これをまず明確にしていただきたい。
 それから、直接処分を、現在の法律では不可能でありまして、これをぜひ可能にしていただきたい。これが使用済み燃料の扱いを柔軟にする重要なポイントであります。
 それから、長期保管と合意形成のプロセスについては日本学術会議が提言をしておりますので、これについてもぜひ検討していただきたい。
 最終的に、一番大事なことは、全体のプロセスを評価する第三者機関がやはり必要であるということであります。
 再処理等拠出金法の成立、昨年ですが、これを見ていただきますと、ポイントは、再処理を円滑に進めるために全ての使用済み燃料についての費用をあらかじめ拠出金として義務づけるということでありますので、これは全量再処理路線の継続を意味しているわけです。残念ながらこれは、私が原子力委員会にいたときに、柔軟な核燃料サイクルにしてほしいという決定と、それから、エネルギー基本計画にも戦略的柔軟性を確保するという文章があります、これに矛盾しているのではないかというのが私のポイントであります。
 国会で議論していただいて、実は、この再処理等拠出金法について附帯決議がなされております。これは全て大事なことが書かれておりますので、ぜひこれを実行していただきたいんですが、一番私が強調したいことは、柔軟性の問題と、三番目、プルトニウムバランスについて。実は、もともとの法律については、プルトニウムバランスについて一言も書かれていませんでした。この附帯決議のおかげで、再処理をする場合にはプルトニウムバランスに気をつける、原子力委員会の意見を聞くということが書かれましたので、これをぜひ遵守していただきたいと思います。
 放射性廃棄物処分における第三者機関の必要性というのは、これも私が原子力委員会のときに強調したものでありますが、経済産業省のワーキンググループにおいてもその重要性については指摘されています。しかし、現時点ではこの第三者機関の役割をしているのは原子力委員会そのものでありまして、私自身は、原子力委員会では第三者的立場ではないというふうに考えておりまして、やはり中立的な機関をちゃんとつくることが必要ではないかと思います。
 核テロリズムについてですが、私が一番強調したいことはプルトニウム在庫量問題です。日本の在庫量は既に四十八トンありまして、これをどうやって減らしていくかというのは国際的な安全保障の課題として注目されています。
 既に、政府は、二〇一四年の核セキュリティーサミットの時点で、そこには二つ声明が出されていまして、一つは日米首脳による共同声明、もう一つは核セキュリティーサミットの共同コミュニケであります。両方とも、世界の核物質の保有量を最小化する、あるいは、最小限のレベルに維持するということについて日本政府はコミットしております。これをどう実現していくか。世界の核物質の量を下げていくわけですから、当然、日本の在庫量も削減していく必要があります。これについて明確な政策的な決定がなされておりませんので、ぜひこれを実現していただきたい。
 あとの二点はちょっときょうはお話しできませんが、このプルトニウム在庫量問題が二〇一八年に改定期限を迎える日米原子力協定との関係、あるいは、次に、核テロリズムとして注目されている従業員信頼性確保の問題、これはIAEA勧告は法制化を勧告しているんですが、日本では法制化が見送られたという理由、これについてやはりぜひ議論をしていただきたいと思います。
 次の問題は、規制庁の独立性担保なんですが、私は、政治的独立性は既に担保されたと思っていますが、きょうお話ありましたが、重要な点として、技術的独立性、これについての議論をぜひしていただきたい。
 時間が参りましたので。
 地域の住民との対話の場の形成というのは、これは原子力規制委員会の設置法案に対する附帯決議というのが参議院でなされておりまして、ここで「本法施行後一年以内に地方公共団体と国、事業者との緊密な連携協力体制を整備する」、それから「三年以内に諸外国の例を参考に望ましい法体系の在り方を含め検討し、必要な措置を講ずる」ということが書かれています。これがまだ実現していないので、これをぜひ実現していただきたい。
 廃炉の透明性確保と被災者人権確保ですが、この福島廃炉の問題で、私がやはり原子力委員会のときに見解文を出しておりますが、ここでも、廃炉の透明性確保のために第三者機関を設置すべきだということを言っております。
 それから、被災者の人権確保では、子ども・被災者支援法という法律が通っておりまして、ここでも基本理念と国の責務が書かれておりますので、これもぜひ、今後の復興のときにこの法律にのっとってやっていただきたい。
 最後、「もんじゅ」後の研究開発、人材確保。先ほど規制委員長からもお話がありましたが、私は、この人材確保の問題は非常に重要であると考えておりまして、原子力委員会のときにも見解も出させていただきましたが、「もんじゅ」後の研究開発でやはり重要な点として、工学的な評価だけではなくて、倫理、法、社会的側面を含めた総合的な評価機関をつくるべきだということを提言させていただきました。
 それから、技術基盤の維持として、基礎基盤研究の重要性、それから、工学的研究専門家だけではなくて、人文社会系の研究推進、この原子力分野ですね、もお願いしたいというふうに思います。
 では、私の方は以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 鈴木達治郎

speaker_id: 33395

日付: 2017-09-14

院: 衆議院

会議名: 原子力問題調査特別委員会