橘ジュンの発言 (厚生労働委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○橘参考人 本日は、私たち若い女性を支援するBONDプロジェクトの活動をお話しできる機会を与えてくださって、ありがとうございます。
 私たちのもとには、死にたい、消えたい、寂しい、居場所がないといった声が全国から寄せられます。その背景には、虐待、いじめ、性被害、貧困など、さまざまな社会問題があります。
 私たちは、メール、電話、面談にて相談を受けていて、必要な場合には弁護士と連携をし、一時的な保護をして行政機関等につないだり、自立支援のための中長期的な保護もしています。また、相談窓口までたどり着けない若い女の子たちの声も多く聞いているので、待っているだけではなく、街頭パトロール、アンケート、出張面談等、自分たちから出向くというアウトリーチの部分にも力を入れて活動しています。詳しい活動内容については、資料の方をごらんください。
 既存の制度だけでは、こぼれ落ちてしまう女の子たちがいるんです。虐待に遭っていても言えない、細かい条件が当てはまらず、保護に至らない子がほとんどです。その結果、自殺とか自傷、家出、援助交際など問題を起こしてしまい、望まない妊娠、出会った先で監禁されてしまったり、子供を見捨ててしまったりなど、事件化してしまうこともあります。その予防として、子供たちの抱えた問題を社会で共有することが大事だと思いますので、事例を紹介させていただきます。
 私たちがサポートしている彼女たちは、家族や周囲の大人たちによって虐待されて傷つけられて、ほとんどの場合、性被害なども受けていて、深刻なトラウマを抱えています。支援機関の担当の方や窓口の方の想像よりも、ずっと回復に時間のかかる当事者です。残念ですが、適切に支援ができる機関が少ないのが現状だと思います。しかも、本人はつらいことを表現できなくて、黙ったままだったり、消えてしまいたいなど自傷行為などを繰り返して、そういう女の子が多いです。
 まず、私たちが受けている相談の特徴などを御報告します。
 BONDプロジェクトが支援しているような、若年女性で問題行動を起こしている女の子たちの場合は、窓口で断られることも多いし、その場合、私たちが通訳としてついていかないとどうにもならないことも多くあります。
 十六歳からかかわり、BONDで保護をして、十八歳を超えた女の子の事例です。
 両親が離婚して母親と暮らしていたけれども、間もなく母親の彼氏の家に引っ越すことになります。母親の彼氏のことが受け入れられず、また、母親からの暴言や、母親の精神状態が不安定なこともあり、家出を繰り返していました。
 BONDで一時保護後、児童相談所へつなぎますが、保護所にはどうしても入所したくないと本人が訴えていて、そのこともあり、町に飛び出すよりは、本人の安全を考え、数日間、児童相談所から保護委託を受け、BONDシェルターで保護しました。
 その後、児童相談所に引き継ぎ、家族調整の結果、父親のもとで暮らすことにはなりましたが、もともと父親との関係も良好ではなく、食事や生活費を準備してもらえなくて、ネグレクト状態になりました。家庭環境は改善されることなく、居場所がないとまた町へと出向き、性被害に遭ってしまうこともありました。
 そのとき年齢は十七歳だったこともあり、BONDで保護をするたびに児童相談所へ連絡しても、担当者から、もうすぐ十八歳になりますよねとやんわり保護を断られまして、BONDにて面談や一時保護をしているうちに十八歳になって、児童相談所の支援も終了となりました。親とも話し合い、BONDシェルターを拠点として、今は自立を目指しています。
 また、別の女性は、幼いころからDV家庭で過ごしていて、両親は離婚、その後、母親と二人暮らし。母親は外国人の方で、日本語が余り話せず、意思疎通が難しくて、精神状態も不安定で、時々身体的暴力もあったようです。
 その子の場合は、過去に二度ほど児童相談所に保護されていましたが、その都度、母親は反省した様子を見せて迎えに来るために、家に戻されてしまいました。しかし、また暴力を振るわれそうになって、もう限界だと彼女は家出してしまいます。
 児童相談所に相談すればまた家に戻されると思って、自分でどうにかしようと、体を売ってでも、お金を得られる、場所を確保するしかないと考えて、インターネット、SNSで相手を募り、交通費もなかったので、その男に車で迎えに来てもらって、そのまま会ったばかりの男の家に行ってしまいました。
 それと同時に、別の男からBONDの情報をSNSを通じて教えてもらっていたようで、BONDにメールが届き、少女と私たちはつながることができました。男のいないすきを見計らって電話で聞き取りをしていたら、彼女は、お金もないし、いる場所もなかったから、生きるためにと思ったけれども、やはり援助交際はしたくないし、怖い、助けてほしいと本人が言ったので、私たちは保護することにしました。
 そのとき、男は外出中で、少女は行動も自由にとることができるような状態だったこともあり、では今すぐ出てこれるかと聞くと、車で移動したので自分がどこにいるかわからないとのことでした。今すぐ男のアパートから出て、近くのコンビニなどでもいいので住所を聞くように指示を出しました。そこでようやく自分の居場所がわかって、最寄りの駅の場所を教えてもらい、BONDがそこへ迎えに行きました。
 その後、児童相談所に連絡し、面談予約をして、数日後、児童相談所へ同行。彼女の意思を尊重して、家には戻さず、親と離れて生活できるようBONDからもお願いをして、話し合いの結果、自立援助ホームへ入所する方向で進めていけることになった子もいます。
 たとえ十八歳、十九歳、そして二十代でも、一人では相談窓口に行くことができず、現地まで私たちが出向き、同行しないと支援を受けられない子が多いのも現状です。
 非行とかリストカットとかオーバードーズなど、問題行動の背景について少しお話をします。
 妊娠しているかもという相談を受けたので、喫茶店でお話を聞きました。まだ検査はしていないけれども多分そうだ、妊娠しているかもと。十七歳で、高校へは行ったり行かなかったりしていて、両親は健在、生活困窮などではない。弟がいて、土日は援助交際でホテルなどにいるか、ネットカフェに寝泊まりしている。そういう中で、相手はわからないまま妊娠をしてしまったという相談でした。
 これだけ聞けば、遊んでいる、自己責任と思われるかもしれません。でも、事実は全く違います。この家で、弟は虐待されず、彼女だけが虐待されています。父親と母親の突然の気分の変化で、出ていけということになって家を出されて、鍵をかけられてしまうことがよくあるんです。食事をさせてもらえなかったりして、彼女は仕方なく、きょう泊まれる場所を探して、ただで泊めてくれる相手をスマホで探すしかない。そんな中での問題でした。
 相手が避妊に同意しなかった、避妊をわざとしなかったので妊娠するのです。女性だけが責められるのはおかしいと常々思っていますが、相談窓口に彼女を連れていくと、なぜ妊娠するようなことをしたのかと責められることが多いのが実態です。こういう偏見を何とかしてほしいなと思っています。
 一時保護など行政の支援につなごうとすると、本人が嫌がる場合もあります。
 両親からの身体的、精神的、性的虐待があって家出。いる場所もお金もなく、公園のベンチ、友人宅やファミレス、ネットカフェを転々と、また、援交しながら大学に通学しているという事例もありました。
 公的機関に相談しても、学生だから生活保護を受けることができないと言われたり、シェルターに入るためには学校をやめること、そして携帯電話の使用ができなくなるので友人との連絡がとれなくなるなどから、入所の決意はできず、不安定な暮らしを続けています。
 やはり、彼女たちが困っているときに助けてくれたのは、大人たちではなく、周りの友達だったりということもあって、電話の連絡がとれなくなるというのをすごく嫌がるんですね。なので、彼女も入所の決意ができなくて、今もネットカフェ暮らしで暮らしているという女の子です。
 こういうときは、私たちのシェルターを使ってもらったりしていますけれども、彼女のような状態になると、もう十八歳以上なので児童虐待でもなく、DVでもなく、障害手帳もなければ根拠になる法律もないので、結局たらい回しにされる、そういう現状です。
 自分のせいで親を犯罪者にしたくないし、家族を壊したくない、自分さえ我慢すればいいんだと、受けている暴力を我慢して、自傷行為をしてやり過ごしている子だっています。
 こんなことだってありました。弱さにつけ込まれる被害だってあります。家に居場所がなくて、家出をしていて、場所を確保するために援助交際をしている地方の十九歳の学生から相談があったので、面談に行きました。
 その子は、援助交際をやめたい、そういう相談でした。そのため、地元にある青少年支援をしている団体を一緒に訪ね、何かあったときはとつなぎました。その後、何と、頼った男性支援者から、人生変えられるから信じてついてきてと言われて、そのついていった先がラブホテルでした。もう一度言いますが、男は青少年支援を行う支援者です。体をさわられたのは、家出中の援助交際経験者でした。その男の非は明らかなのに、世間からは、体を売ったことがある、性産業に携わっているなどと、女の子の被害については、そんなこと、大丈夫なんじゃないのとか、自分から誘ったりしたんじゃないのと、その被害さえも信じてもらえないこともあります。結局、自分が責められたり、根掘り葉掘り日ごろの行いを聞かれることに精神的に耐えられず、被害を届けられない子も少なくないと思います。あなたは悪くなかったと言える大人をふやすことがとても大事だと思っています。
 若い女性たちは、社会の中で見守られているのではなく、性的なターゲットになっているということが、状況がわかっていただけましたでしょうか。児童虐待という言葉ではくくれない被害、虐待を受け、回復支援につながれないたくさんの若年女性たちがいます。その子たちの顔を思い浮かべながら、今回の法改正について考えたことをお話しします。
 ポイントは、司法関係者の関与の強化だと伺いました。私は、どんどん介入してくださいと言いたいです。ただし、女の子たちの状況をよく知っている人がです。
 改正案の概要を読みましたけれども、私たちにも難しかったです。女の子たちは、こんな話があっても、誰かそういうふうに彼女たちの立場に立って考えてくれるのかな、改正されたら、女の子たちにも届くように宣伝してくれるのかなと、少し不安な気持ちになったりしました。
 支援をしていると、児童相談所にも家庭裁判所にも行く機会があります。一番困るのは、女の子たちの気持ちを考えてくれない担当の人に当たったときです。それと、女の子たちの行動を非難して説教をする担当者です。そういう担当者に家庭裁判所の勧告のもとでの保護者指導をされても、良好な家庭養育の確保となるはずはありません。その子供たちが抱えている問題を、見えにくい家庭の状況の中できちんと発見できる担当者が必要だと思います。
 特に、性的虐待のように、見た目にわからなくて、その相手が否認している場合など、判断する専門家がつくのでしょうか。担当者が性的虐待を確認できなかったら、指導はできないのでしょうか。法改正の在宅の保護者指導というのは、どういう指導になるかというのが、とても私は心配です。
 今の児童相談所などの体制が十分だとは思えません。性虐待について、特別のセクションを設けて対策をする必要があると思います。民間支援団体の取り組みをぜひ積極的に活用して、人材の育成をお願いしたいです。
 さらに、二カ月を超える一時保護には家庭裁判所の承認を必要とするという案ですが、これも、家庭裁判所に専門的な方がいてくださるという体制の拡充が大事だと思います。
 次に、接近禁止命令の拡大ですが、これは絶対にやってほしいと思っています。年齢も、十八歳以上でも対応できるようにはできないでしょうか。性的虐待の加害者への接近禁止命令を裁判所が出してくれるとわかったら、すごくたくさんの女の子たちが法律に興味を持つと思います。その被害の現場から逃げ出してくるようになると思います。そこは、どうか議員の皆さん、この改正案の拡大について、ぜひ検討してください。
 今苦しんでいる若い女の子たちのためにも、使える法律ができるようにと願っています。どうぞよろしくお願いします。
 ありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 119304260X02420170530_004

発言者: 橘ジュン

speaker_id: 18340

日付: 2017-05-30

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会