志位和夫の発言 (本会議)
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○志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。(拍手)
まず、安保法制、戦争法の問題です。
安倍政権は、昨年十一月、安保法制に基づいて、南スーダンPKOに派兵されている自衛隊に駆けつけ警護などの新任務を付与しました。重大なことは、安倍政権が、内戦状態が続き、戦闘が繰り返されている南スーダンの深刻な現実に目をつぶり、覆い隠す、極めて無責任な態度をとっていることです。
三つの点について総理の見解を伺います。
一つ。南スーダン政府軍によって国連PKOに対する敵対的行為が繰り返されているという事実を認めますか。
昨年十二月の党首討論で私がこの問題をただしたのに対して、総理は、南スーダンのキール大統領は自衛隊を歓迎していると答弁しました。しかし、建前は歓迎でも、実態は、国連PKOに対する敵対的行為が持続的、組織的、恒常的に繰り返されていることは、国連報告書が克明に述べていることです。
こうしたもとで駆けつけ警護を行えば、自衛隊が南スーダン政府軍に対して武器を使用することになり、憲法が禁止する海外での武力行使となる危険性があることは明らかではありませんか。
二つ。国連PKOに参加する陸上自衛隊幹部が、首都ジュバで昨年七月に大規模な戦闘が発生した際の状況を記録した日報を廃棄していたことが明らかになりました。
陸自は廃棄の理由として、上官に報告したからと説明していますが、こういう理由で廃棄がまかり通れば、組織にとって都合の悪い文書は全て闇に葬られ、国民は南スーダンで自衛隊が置かれている状況について知るすべがなくなるではありませんか。
総理、日報を廃棄した自衛隊幹部の行為を是とするのか非とするのか、明確な答弁を求めます。
三つ。昨年十二月、大量虐殺を回避するために国連安全保障理事会に提出された南スーダンに対する武器輸出を禁止する決議案に、日本政府は中ロなどとともに棄権し、廃案にしてしまいました。米国のパワー国連大使は、棄権した国々に対して歴史は厳しい審判を下すだろうと批判しましたが、総理はこの批判にどう応えますか。
決議案に賛成すれば、日本政府が現地の危機的な状況をみずから認めることになる、これが棄権した理由ではありませんか。自衛隊の派兵を続けるために、大量虐殺の悲劇を抑え込むための国際社会の努力を妨害するとは、理不尽きわまりないことではありませんか。
自衛隊への新任務付与を直ちに撤回し、自衛隊を南スーダンから速やかに撤退させ、日本の貢献を非軍事の民生支援、人道支援に切りかえることを強く求めます。
日本共産党は、憲法違反の安保法制、戦争法を廃止し、集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回するために、他の野党、市民の運動と連携し、全力を挙げることを表明するものであります。
次に、経済政策はどうあるべきかの根本について質問します。
まず、今日までの二十年間に日本の経済社会にどのような変化が生まれたかについて、総理の基本認識を伺います。
私は、三つの特徴的な変化が生まれたと考えます。
第一の特徴は、富裕層への富の集中が進んだことです。純金融資産五億円以上を保有する超富裕層では、一人当たりが保有する金融資産は、この二十年間で六・三億円から十三・五億円へと二倍以上にふえました。
第二の特徴は、中間層の疲弊が進んだことです。労働者の平均賃金は、一九九七年をピークに、年収で五十五万六千円も減少しました。政府の国民生活基礎調査では、この二十年間で、生活が苦しいと答えた人が四二%から六〇%と大きくふえる一方で、普通と答えた人は五二%から三六%と大きく減りました。
第三の特徴は、貧困層の拡大が進んだことです。この二十年間で、働きながら生活保護水準以下の収入しかないワーキングプア世帯は、就業者世帯の四・二%から九・七%と二倍以上となりました。貯蓄ゼロ世帯は三倍に急増し、三〇・九%に達しています。
総理、事実の問題として、今日までの二十年間に、富裕層への富の集中、中間層の疲弊、貧困層の拡大が進んだという認識がありますか。その認識があるのならば、格差と貧困を正し、中間層を豊かにすることを国の経済政策の根本に据えるべきだと考えますが、いかがですか。答弁を求めます。
日本共産党は、格差と貧困を正す経済民主主義の改革として、次の四つの改革を提案するものです。
第一は、税金の集め方の改革です。格差拡大に追い打ちをかける消費税増税は中止し、富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革を実行すべきです。
特に、日本では、株の配当と譲渡に対する税率は二〇%と、欧米主要国の三〇から四〇%と比べて著しく低い大株主天国となっており、年収一億円を超える富裕層ほど所得税の負担率が軽くなる逆転現象が生まれています。
大株主優遇の不公平税制の是正は急務であります。経済同友会が昨年十月に発表した税制改革提言でも、高所得者層の実効税率の適正化を図るためにも、株式等譲渡所得及び配当所得への課税を強化する必要があると提言しています。大株主優遇税制の是正は、日本共産党から今や財界まで求める税制改革であり、直ちに実行すべきと考えますが、いかがですか。
第二は、税金の使い方の改革です。五兆一千億円と史上最高となった軍事費や不要不急の大型開発にメスを入れ、社会保障、教育、子育て支援など、格差と貧困の是正につながる予算をふやすべきです。
自公政権が二〇〇〇年代になって始めた社会保障費の自然増削減額は、合計三兆三千億円に上ります。総理が施政方針で、これを改革の成果と自慢したことには驚きました。自然増削減の一つ一つが、年金、介護、医療、生活保護など社会保障のあらゆる分野での制度改悪の傷跡をつくり出しています。それによる国民の苦しみの声は耳に入らないのですか。
財源がないと言いながら、第二次安倍政権だけで四兆円もの法人税減税が行われています。一方で社会保障費の自然増を削りに削って三兆三千億円、他方で大企業を中心に四兆円もの減税ばらまきを行う。これは余りにゆがんだ政治ではありませんか。社会保障費の自然増削減路線を中止し、拡充へとかじを切りかえるべきではありませんか。答弁を求めます。
総理は施政方針で、給付型奨学金を創設すると表明しましたが、その規模はスズメの涙としか言いようのないものです。対象はわずかに二万人。住民税非課税世帯で、かつ成績優秀者に限定される。学生五十五人にたったの一人です。私は、率直に言って、こうした制度設計を行った政府の認識が根本から間違っていると言わざるを得ません。
この二十年間に、奨学金は、貸与額で約五倍、貸与人員で約四倍に急速に拡大し、今や学生の二人に一人は奨学金を借りています。総理は、その原因はどこにあるとお考えか。この二十年間に、中間層の所得が減少し、貧困層が拡大し、学費の値上げもあり、若者自身が借金をしなければ大学に進学できない社会に急速に変わってしまった結果にほかなりません。この現実を正面から直視した改革が必要ではありませんか。
日本共産党は、月額三万円の給付型奨学金を、七十万人、学生総数の四人に一人に支給する制度をまず創設し、規模を拡大することを提案するものであります。
第三は、働き方の改革。八時間働けば普通に暮らせる社会への改革であります。
格差と貧困の拡大、中間層の疲弊の根底には、人間らしい雇用のルールの破壊があります。その最大の特徴は、労働者派遣法の連続改悪を初めとする労働法制の規制緩和によって、この二十年間で非正規雇用労働者の割合が二〇%から三七%へと急増したことです。それは、労働者全体の賃下げ、労働条件全体の悪化をもたらし、正社員には異常な長時間過密労働の常態化を招きました。
それは、働く人の体と心を深く傷つけ、過労死、過労自殺の労災認定件数は、一九九八年度の五十二件から、二〇一五年度には百八十九件へと、四倍近くに激増しました。昨年、電通の若い女性社員が労災認定され、大きな社会問題になりましたが、こうした痛ましい出来事は、個々の企業の問題ではありません。それにとどまりません。自民党政治がつくり出した政治災害と言わなければなりません。総理にその自覚はありますか。お答えいただきたい。
総理は、施政方針で、同一労働同一賃金を実現すると述べました。しかし、政府が作成したガイドライン案は、基本給の格差を容認するなど、正規と非正規との格差を固定化する危険を抱えたものとなっています。本気で格差をなくすというのなら、労働者派遣法を抜本改正して非正規から正規への流れをつくるとともに、労働基準法、男女雇用機会均等法、パート労働法、派遣法などに、均等待遇、同一労働同一賃金の原則を明記すべきです。総理にその意思はありますか。
総理は、施政方針で、長時間労働の是正に取り組むと述べました。それならば、まず、幾ら残業しても残業代を一円も払わなくても済む制度、高度プロフェッショナル制度を導入する残業代ゼロ法案を撤回すべきであります。
総理は、抽象的なスローガンを叫ぶだけでは世の中は変わらない、時間外労働の限度は何時間なのか具体的に定めることですと述べました。日本共産党は、残業は週十五時間、月四十五時間以内という厚生労働大臣告示を直ちに法定化すること、インターバル規制、連続休息時間として、EU並みの最低十一時間を確保することを具体的に提案しております。我が党の提案に対して、抽象的なスローガンでなく、具体的な答弁を求めるものであります。
第四は、産業構造の改革です。
大企業と中小企業で働く労働者の間には、事業所規模で見ても、中規模で大企業の約六割、小規模では五割程度という大きな賃金格差が存在しています。総理は、同一労働同一賃金と言いますが、大企業と中小企業の賃金格差を解消する意思はありますか。
一九九九年に改悪された中小企業基本法は、それまでの基本法が掲げていた中小企業と大企業の格差是正の理念を捨て去ってしまいました。強いものを育てるという政策のもとで中小企業の淘汰が進み、一九九九年には四百二十三万だった小規模事業者が、二〇一四年には三百二十五万に、実に九十八万も激減しました。格差是正という理念と政策目標を、中小企業政策の基本に据え直すべきです。総理にその意思はありますか。答弁を求めます。
日本共産党は、一%の富裕層と大企業のための政治から、九九%の国民のための政治へと経済政策を抜本的に切りかえるために、全力を挙げて奮闘するものであります。
次に、外交政策はどうあるべきかの根本について質問します。
総理は、施政方針で、五百回以上の首脳会談を行ってきたと自賛しました。しかし、問題はその中身であります。安倍首相の外交の最大の致命的問題点は、異常なアメリカ追随外交にあります。私は、二つの問題について総理の姿勢をただしたいと思います。
第一は、核兵器廃絶の問題です。
昨年十二月、国連総会は、核兵器禁止条約の締結交渉を開始する決議を、賛成百十三カ国という圧倒的多数で採択しました。二カ月後には、国連本部で締結交渉が開始されます。この動きは、文字どおり画期的意義を持つものです。
核兵器禁止条約を仮に最初は核保有国が拒否したとしても、国連加盟国の多数が参加して条約が締結されれば、核兵器は、人類史上初めて違法化されることになります。そうなれば、核保有国は、法的拘束は受けなくても、政治的、道義的拘束を受け、核兵器廃絶に向けて世界は新しい段階に入ることになるでしょう。
ところが、日本政府は、アメリカの圧力に迎合して、この歴史的決議に反対票を投じました。
総理、地球儀俯瞰外交と言いますが、一体どこに目をつけているんですか。核兵器廃絶を求める世界の画期的な流れがあなたの目には入らないのですか。唯一の戦争被爆国の政府にあるまじき、日本国民の意思を踏みにじる態度ではありませんか。しかと答弁をいただきたい。
第二は、沖縄を初めとする在日米軍基地の問題です。
総理は、施政方針で、日米同盟の強化を前面に打ち出し、名護市辺野古の新基地建設を強権的に進める姿勢をあらわにしました。沖縄の基地負担軽減と言いますが、今進められていることは正反対のことです。
北部訓練場の一部返還の代償に、東村高江のオスプレイ着陸帯の建設が強行されました。辺野古新基地は、普天間基地の移設などという生易しいものではありません。一千八百メートルの滑走路を二本持ち、強襲揚陸艦も接岸できる軍港を持ち、耐用年数二百年の最新鋭の巨大基地がつくられようとしています。沖縄の海兵隊基地を世界への殴り込みの一大拠点として抜本的に強化し固定化する、これが今進められていることの正体ではありませんか。
沖縄では、名護市長選挙、県知事選挙、総選挙、参議院選挙と、繰り返し新基地建設反対の圧倒的審判が下されています。総理、日米同盟のためなら沖縄県民の民意を踏みにじっても構わないというのがあなたの立場ですか。辺野古新基地建設は断念し、普天間基地の無条件撤去を求めてアメリカと正面から交渉すべきではありませんか。
昨年十二月、米海兵隊のオスプレイが名護市の海岸に墜落しました。(発言する者あり)不時着じゃありません。墜落です。米軍は、事故後わずか六日でオスプレイの訓練を再開し、事故後三週間余りで空中給油の訓練も再開しました。
驚くべきことに、安倍政権は、いずれに対しても理解すると表明しました。日本の捜査機関が独自の情報を何も持っていないのに、さらには米軍の調査でも事故原因が特定されていないのに、理解するとは一体どういうことですか。沖縄県民や国民の安全よりも日米同盟を優先する、主権国家の政府とは言えない恥ずべき態度ではありませんか。答弁を求めます。
トランプ米国新大統領が米国第一を宣言するもとで、今後、日本に対する軍事的、財政的負担の強化を求めてくる可能性があります。そのときに、日本政府が、これまでのような日米同盟第一、日米同盟絶対という硬直した思考を続けるなら、その矛盾はいよいよ拡大し、対応不能に陥ることになるでしょう。
日本共産党は、異常なアメリカ追随外交を根本から見直し、対等、平等、友好の日米関係に切りかえることを強く求めて戦うものであります。
総理は、施政方針で、憲法改定案をつくるため憲法審査会で具体的な議論を深めようと、改憲への前のめりの姿勢をあからさまにしました。
端的に二問伺います。
第一に、総理は、新しい国づくりのためには憲法改定が必要だと主張していますが、総理の考える新しい国づくりにとって、現行憲法のどこが問題で、どう変えなければならないとお考えなのか、具体的に提示していただきたい。
第二に、自民党改憲案は、憲法九条二項を削除して、国防軍創設を明記するとともに、公益及び公の秩序の名で基本的人権の大幅な制約を可能にするなど、憲法によって権力を縛るという立憲主義を全面的に否定するものとなっています。この案はきっぱり撤回すべきではありませんか。答弁を求めます。
日本国憲法は、憲法九条という世界で最も進んだ恒久平和主義の条項を持ち、三十条にわたる極めて豊かで先駆的な人権規定が盛り込まれています。変えるべきは憲法ではありません。安保法制の強行に見られるような、憲法をないがしろにした政治こそ変えるべきであります。
最後に、共謀罪法案について質問します。
政府は、名前をテロ等準備罪に変えて今国会に提出しようとしています。
法案のレッテルを張りかえても、共謀、すなわち、相談、計画しただけで犯罪に問えるという本質は変わりません。それは、犯罪の実際の行為のみを罰するという刑法の大原則に真っ向から反するだけでなく、日本国憲法第十九条が侵してはならないとする国民の思想や内心を処罰の対象とする違憲立法にほかなりません。
政府は、オリンピック・パラリンピックに向けて、テロを防ぐ国際組織犯罪防止条約を締結するためという新たな口実を持ち出していますが、そもそも、この条約は、マフィア、暴力団などによる経済犯罪への対処を目的にした条約です。テロ対策というならば、日本は既にテロ防止のための全ての条約を締結し、国内法も整備しています。
テロ対策の名で国民を欺き、国民の思想や内心まで取り締まろうという共謀罪は、物言えぬ監視社会をつくる現代版の治安維持法にほかなりません。提出の企てを直ちに断念することを強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕