富田茂之の発言 (本会議)
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○富田茂之君 公明党の富田茂之です。
ただいま議題となりました法律案につき、公明党を代表して、松野文部科学大臣、麻生財務大臣に質問いたします。(拍手)
安倍内閣総理大臣は、一月二十日の施政方針演説において、「どんなに貧しい家庭で育っても、夢をかなえることができる。そのためには、誰もが希望すれば、高校にも、専修学校、大学にも進学できる環境を整えなければなりません。」と指摘され、無利子奨学金の残存適格者の解消、成績要件の事実上撤廃、新所得連動返還型奨学金制度の導入、給付型奨学金制度の創設を宣言されました。
そもそも、現在の奨学金制度の原型は、一九四三年、昭和十八年に、後に第六十八代内閣総理大臣になられた若き日の大平正芳大蔵省主計局主査が制度設計されたものです。大平元総理は、御自身が地元の篤志家の支援で大学に進学できた経験を踏まえ、育英事業を国が行う以上、本来、給付制にすべきと考えておられました。しかしながら、限られた財源のもと、当時の主計局長や文部省の意向もあり、できるだけ多くの人を対象にした貸与型にすることから日本の奨学金制度は始まりました。
衆議院予算委員会公聴会において、奨学金制度研究の第一人者である小林雅之東京大学教授は、今回の制度改正は、七十年余り続く学生への経済的支援制度の転換であり、画期的な制度の創設であると高く評価されました。
このような評価を受け、新所得連動返還型の有利子、既卒者への適用等を含め、今後の制度の充実に向けた文部科学大臣の御決意をお伺いいたします。
平成二十九年度予算並びに本法案が成立しますと、給付型奨学金が、平成二十九年度進学者は約二千八百人で、本格実施となる平成三十年度進学者からは約二万人規模で実施されます。住民税非課税世帯から大学や専門学校などへの進学者のうち、高校など学校の推薦を受けた人に毎月二万円から四万円が給付されます。
規模が小さいとの批判もありますが、二〇一二年の東京大学の保護者調査によれば、経済的理由で四年制大学へ進学できなかった者は一・九万人とされています。小林教授も、住民税非課税世帯を対象とすることは、低所得層の進学を促すという趣旨から見て非常に意味があると評価されています。
今回の制度設計は、貸与型から給付型への転換点として、十分進学の後押しになると考えます。
しかし、諸外国の代表的な給付型奨学金制度と比べると、給付額については、今後の検討課題として、さらなる拡充も望まれます。
例えば、アメリカのペル奨学金は、年間最大六十六・八万円、イギリスの生活費給付奨学金は、最大六十二・五万円となっております。
公明党のヒアリングにおいても、私立大学、専門学校の設置者から、年間の授業料、施設整備費等約百二十万円の半分程度の給付がないと、進学のインセンティブとしては十分とは言えないとの意見がありました。児童養護施設出身の学生や生活保護世帯出身の学生からも、アルバイトや無利子奨学金に加えて、給付型として五万円の支給があれば、しっかり勉学に取り組めるとの切実な声がありました。
今後の給付額の拡充に向け、どのように取り組まれるのか、文部科学大臣の御決意を伺いたい。
また、給付額の拡充は、未来への投資として政府挙げて取り組むべき課題と考えますが、財務大臣の御所見を伺いたい。
公明党は、今回の制度設計に当たり、社会的養護を必要とする学生等に対する特別な配慮を要請いたしました。具体的には、一般学生への支給額に月額プラス一万円を提案しました。
児童養護施設退所者等については、大学等への入学とともに自立する必要があり、生活のための資金に加えて、大学等の入学金の負担が発生します。その際、一般の学生と違い、家族からの支援が困難な状況にあることは明らかです。
児童養護施設出身の子供の進学率が、平成二十六年四月の厚生労働省調査によれば、二二・六%。これに対し、文部科学省の平成二十七年度学校基本調査によれば、全世帯の大学等の進学率は七三・二%であり、児童養護施設退所者等への特別な配慮が望まれるところであります。
最終的に、文部科学省、財務省等との協議の結果、入学時に二十四万円を給付することといたしました。
厚生労働省の調査によると、児童養護施設出身者の進学先は、短期大学、専門学校等が大半であることがわかりました。これらの修学期間二年分、一カ月、一般学生への支給額プラス一万円相当で、合計二十四万円となります。
また、短期大学、平均二十四万五千七百八十三円、専門学校、平均十六万二千四百八十七円の入学金も、この追加給付で賄えることもわかりました。
安倍総理は、昨年三月二十九日の総理大臣会見において、家庭の経済事情に関係なく、希望すれば誰もが大学にも専修学校にも進学できるようにしなければなりません、本年から、児童養護施設や里親のもとで育った子供たちが進学した場合、毎月家賃相当額に加えて五万円の生活費を支給し、そして、卒業後、五年間仕事を続ければ、その返還を免除する新しい制度を始めました、本当に厳しい状況にある子供たちには、返還が要らなくなる給付型の支援によってしっかりと手を差し伸べてまいりますと力強く宣言されました。
この厚生労働省の支援措置に加えての、給付型奨学金制度における入学時特別給付金の支給は、児童養護施設を退所した学生に対し、進学への大きな後押しになると確信します。
これら制度の組み合わせの教育的、社会的効果を、文部科学大臣はどのように考えられますか。
公明党は、給付型奨学金の財源として、平成十六年度採用者から廃止になっている教育・研究職特別返還免除制度が、平成三十二年度以降、毎年必要額が減少していき、最大約百五十億円の枠が生まれることに着目し、この枠百五十億円を活用すべきと提案しました。
最終的に、この枠の一部に加え、奨学金事業の見直し、既定経費の見直し等を加えて、平年度ベース約二百二十億円の必要財源を確保することとしました。
この奨学金事業の見直しとして、大学院業績優秀者免除制度を見直し、修士課程から博士課程へのシフトに伴う免除枠を活用することとされていますが、大学院進学希望者の進学意欲を阻害するようなことにならないような配慮が望まれます。
この点につき、文部科学大臣はどのように対応されようとしているのか、お聞かせ願いたい。
今後の給付型奨学金制度の安定的な運営のために、我が党が提案し、改正案第二十三条の二第一項に、学資支給基金を新たに設け、民間の寄附を可能としました。
この基金の充実、安定化に向けて、文部科学省としてはどのように取り組んでいかれるのでしょうか。
基金の充実、安定化には、財務省の協力が不可欠です。財務大臣の御所見をお伺いします。
奨学金の拡充に伴い、多額の奨学金返還債務に苦しむ卒業生がふえたことも事実です。
小林教授は、どんなに立派な制度でも、利用する学生に趣旨が周知徹底できなければ意味がない、授業料減免や奨学金返済猶予の対象になるのに、制度を知らずに苦労している人の事例を幾つも見てきた、必要な人に正確な情報を届けるために、国や高校、大学が果たすべき責任は大きい、情報格差の解消も奨学金改革の大きな柱なんだとインタビューに答えられています。
学生や保護者が奨学金を正しく理解し、安心して利用できるよう、スカラシップアドバイザーを派遣、わかりやすい資料の作成、配布や相談窓口の設置、制度の周知ときめ細やかな学生サポートを行うこととしていますが、大事な取り組みであると考えます。
さらに、減額返還制度について、減額幅の拡充を行うとともに、適用期間を延長することを検討しております。加えて、新所得連動返還型奨学金の導入に伴い、機関保証制度の保証料率を一五%程度引き下げることも検討しております。
しかし、マイナス金利が続く中、より一層の引き下げを検討すべきではないでしょうか。
昨年四月、都内に住む一人親世帯の私立大学四年生から、次のような要望をいただきました。
機関保証を利用する人は、身近に保証人や連帯保証人になり得る人がいないので、やむを得ず機関保証を利用しているのです、にもかかわらず、現行の機関保証の保証料は高く、その金額は毎月の奨学金から差し引かれます、私の場合、月額五万四千円の奨学金から、毎月二千二百六十九円差し引かれています、たかが二千二百六十九円と感じるとは思いますが、学生が学生食堂で食事をすると考えた場合、一食三百二十円と仮定すると、約七食分の食事代を賄うことができます、このように、機関保証の利用者は、高過ぎる保証料によって学生生活が圧迫されてしまっているのです、機関保証の保証料の値下げを要望いたしますと。
一五%の引き下げでは、学食一食分にしかなりません。経済的に困難な中、懸命に学んでいる学生の立場に立った保証料率の見直しを検討すべきと考えますが、文部科学大臣、いかがでしょうか。
最後に、今回の制度設計に当たり、文部科学省、財務省等の担当の職員の皆様には大変な御苦労をおかけするとともに、大変お世話になりました。
皆様の努力を無にすることのないよう、公明党は、社会のための教育ではなく、教育のための社会の実現に向け、より一層努力することをお誓いし、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣松野博一君登壇〕