松野博一の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○国務大臣(松野博一君) 富田議員から六つ質問がございました。
初めに、今後の奨学金制度の充実に向けた決意についてお尋ねがありました。
文部科学省では、これまで、貸与型の奨学金の拡充により、大学等進学者の経済的負担の軽減に努めてきましたが、今般、誰もが希望すれば進学できる環境を整えるため、給付型奨学金の創設を含む奨学金制度の抜本的拡充を図ることといたしました。
給付型奨学金制度は、意欲と能力がありながら、経済的理由により進学を断念せざるを得ない者の進学を後押しするため、我が国として初めて返還不要の給付型奨学金として創設するものです。
また、無利子奨学金については、住民税非課税世帯の子供たちに係る成績基準を実質的に撤廃するとともに、基準を満たしながら、予算上の制約により貸与を受けられなかった残存適格者を解消し、必要とする全ての学生が奨学金を受けられるようにしてまいります。
さらに、返還負担を大幅に軽減する所得連動返還型奨学金制度も来年度から導入することとしております。
所得連動返還型奨学金制度の有利子奨学金への導入については、返還者の所得が低く返還月額が低額となる場合、利息の支払いが増大し、返還が非常に長期にわたることが予想されることから、まずは無利子奨学金での運用状況を見つつ、導入に向けて検討を行うこととしております。
また、既に返還を開始している方への適用については、減額返還制度を拡充することにより負担軽減を図ることとし、返還月額を二分の一から例えば三分の一に減額し、より長い期間をかけて返還できる制度へ拡充するなど、返還が困難な方へのさらなる負担軽減策について検討を進めてまいります。
こうした一連の施策を進めることで、経済的に困難な状況にある子供の大学等への進学を大きく後押ししてまいります。
次に、給付額の拡充についてお尋ねがありました。
給付型奨学金の給付額については、学生生活費の実態を踏まえ、国公私立といった進学先や、自宅、自宅外といった通学形態の違い、また、対象とならない世帯との公平性等を考慮の上、月額二万円から四万円と設定しております。
加えて、児童養護施設の退所者など社会的養護が必要な学生については、入学金相当額として二十四万円の一時金を追加給付することとしています。
また、今般、無利子奨学金についても、所得連動返還型奨学金制度を導入するなど負担軽減に努めており、進学に当たっては、給付型とあわせて無利子奨学金などを活用いただくことを想定しています。
給付型奨学金については、まずは制度を安定的に運用し、定着を図ることで、進学の後押し効果を十分に発揮することが重要であります。引き続き、高等教育の負担軽減を進めるべく、必要な財源を確保しつつ、しっかりと取り組んでまいります。
次に、児童養護施設退所者等への支援施策の教育的、社会的効果についてのお尋ねでありますが、今回の給付型奨学金においては、対象者の中でも特に経済的に厳しい、児童養護施設退所者や里親出身者といった社会的養護を必要とする学生に対して特別な配慮を行うこととし、月額の給付に加えて、入学金相当額として二十四万円の一時金を追加給付することとしております。
児童養護施設退所者等が大学等へ進学する場合、進学のための準備のみならず、自立のための生活基盤を整える必要があり、また、学生生活を送る上でも、保護者からの支援が見込めないことから、他の学生に比べ非常に大きな負担を伴います。
このような厳しい状況にあっても、厚生労働省の自立支援資金貸付事業による支援と給付型奨学金による支援とを組み合わせて利用していただくことにより、安定した生活基盤を築きながら、学生生活に必要な資金を賄うことができるようになるものと考えております。
厚生労働省と連携して、両制度の周知を図るとともに、両制度が相まって、進学の後押し効果を十分に発揮できるよう努めてまいります。
次に、財源確保のための奨学金事業の見直しについてお尋ねでありますが、奨学金制度については、給付型奨学金の創設や無利子奨学金の大幅な拡充などの抜本的な制度改正を行うことを踏まえ、奨学金制度全体を見直すこととしたところであり、より低所得の方や、より必要性の高い方への支援を手厚くする観点から、現在、制度の見直しの検討を行っております。
具体的には、無利子奨学金について、比較的所得が高い世帯の学生については、所得に応じた貸与額を設定するとともに、大学院業績優秀者返還免除制度について、修士課程から博士課程の学生へのシフトを図るなどの見直しを行うことを検討しております。
このうち、大学院業績優秀者返還免除制度については、博士課程進学者の減少が課題となっている現状を踏まえ、特に国立大学において、博士課程の学生への支援を相対的に厚くし、経済的負担の軽減の充実を図ろうとするものです。
国立大学の大学院進学者への支援については、あわせて授業料減免の拡充を図っており、来年度予算案においても、全体として経済的支援の充実が図られているものと考えております。
今後とも、こうした支援を通じて、我が国のあらゆる分野で活躍し、発展に貢献する中核的な人材を育成するとともに、大学院進学のインセンティブを高めることができるよう努めてまいります。
次に、学資支給基金の充実、安定化に向けた取り組みについてのお尋ねでありますが、給付型奨学金を安定的に運用し、毎年度確実な支給を可能とすることが必要であり、学資支給基金を充実、安定させることは極めて重要です。
このためには、一定の余裕金も含めた基金を造成し、年度を超えた弾力的な支出を可能とすることが求められ、平成二十九年度予算案においては、二十九年度先行実施の対象者二千八百人分について、在学期間分の支給額を見込んで七十億円を計上しております。
この学資支給基金には、毎年度、予算の範囲内において政府から補助する資金をもって充てることとしていますが、民間企業や個人からの寄附など、政府以外の者から出捐も可能としております。
給付型奨学金制度を将来にわたって安定的に運用できるよう、政府として必要な規模の資金を確保していくことはもちろん、企業や個人からの寄附も促進しつつ、基金の充実、安定化を図ってまいりたいと考えております。
最後に、機関保証料率の引き下げについてお尋ねがありました。
来年度から無利子奨学金において導入する新たな所得連動返還型奨学金制度においては、所得が低い返還者は返還期間が長期化することから、人的保証である連帯保証人の返還能力が返還終了まで確保されないケースがふえることが懸念されるため、機関保証に移行するべきであることが有識者会議において示されており、その際、保証料の引き下げについてもあわせて検討するべきとされております。
文部科学省におきましては、有識者会議の議論を受けて関係機関と協議を行い、このたびの所得連動返還型奨学金制度の導入に合わせて、加入者数が増加することを前提に、二十五年後まで安定的に運用するためのシミュレーションを行った上で、機関保証の保証料率を〇・六九三%から〇・五八九%へと約一五%分引き下げることといたしました。
機関保証制度は、連帯保証人や保証人を立てることなく、学生みずからの意思と責任において大学等で学ぶことを可能にする制度であるとともに、奨学生全体で保証を分担するという互助会的な仕組みであります。今後についても、機関保証制度の安定的運用を図りつつ、運用状況を見ながら、適切な保証料となるよう検討を進めてまいりたいと考えております。(拍手)
〔国務大臣麻生太郎君登壇〕