堀内照文の発言 (本会議)
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○堀内照文君 日本共産党の堀内照文でございます。
私は、日本共産党を代表して、地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)
介護保険制度が始まって十七年を迎えます。目標とされた介護の社会化に誰しも希望を見出しました。しかし、この間、介護離職は毎年十万人の規模で推移し、介護殺人、介護心中も後を絶ちません。家族によって引き起こされた、六十歳以上の要介護者に対する殺人、心中事件は、未遂も含めればほぼ一週間に一度のペースで発生しています。介護疲れが動機の自殺者もふえています。献身的に介護し続けた末、経済的に追い詰められ、家族介護が限界になり、悲劇が生み出され続けているのです。
総理は、悲劇を生み出す原因はどこにあるとお考えですか。
医療、介護の制度で相次ぐ負担増、給付抑制が、過酷過ぎる家族介護に追い打ちをかけているのではありませんか。
とりわけ、二〇一四年の介護保険法改悪では、給付を抑制するため、要支援一、二の訪問介護やデイサービスを介護保険から外し、市町村に丸投げしました。
このもとで、無資格者やボランティアによる支援が推奨されました。その結果、専門職の支援を受けられず、心身の状態が悪化する高齢者がふえ、また生活援助の時間を削られて家族の負担が一層重くなるなど、深刻な悲鳴が上がっています。
総理は、こうした事態をどう認識していますか。
ところが総理は、昨年十一月の未来投資会議で、これからは、高齢者が自分でできるようになることを助ける自立支援に軸足を置くと述べられました。この会議では、要介護度改善のみを尺度とする自立支援介護が提起され、そのための報酬改定が検討されています。
一体、総理が考える高齢者の自立した生活とは何ですか。介護サービスを使わないことなのですか。
本来、自立とは、障害があっても、病気になっても、公的制度、社会的支援を利用し、尊厳を持って生きることです。年をとって、次第にできることが限られていく中にも、その人らしく暮らしていけるよう支援することが介護保険の役割ではありませんか。介護保険からの卒業を求め、サービスを使わない自立を強要することは、高齢者の尊厳を傷つけ、介護者の一層の負担増を招き、地域で安心して暮らすことを困難にするものです。明確な答弁を求めます。
以下、法案について具体的に質問します。
法案は、自立支援、重度化防止等に向けた市町村の取り組みを支援するため、目標の達成状況を評価し、交付金を支給するとしています。
国は、何を指標に評価するのですか。要介護認定率の低下や介護給付費の縮減を競わせるのですか。
介護保険からの卒業を目標に、交付金によって介護度軽減を競わせれば、サービス利用の阻害につながりかねないではありませんか。答弁を求めます。
次に、利用者負担の見直しについてです。
前回の改定で、一定以上の所得や預金がある方へ、利用料二割負担の導入や施設利用時の食費、居住費補助の打ち切りが行われました。負担増の影響を調査した認知症の人と家族の会は、施設を退所させる、ショートの回数を減らした、家族の生活も破綻してしまう、こつこつためた老後の介護資金は見る見る減るなどの実態を示し、余りに過酷と見直しを求めています。
全国百を超す介護施設で、支払い困難を理由にした退所者が出ているとの報告もされています。厚労省は、受給者数だけを取り上げ、変化なしとしていますが、それで深刻な実態をはかることはできません。
総理、この間の負担増は、要介護者を支える家族の生活をさらに窮地に追い込んでいるのではありませんか。
本法案では、この上に三割負担を導入しようとしています。
前回改定の検証もせず、年金収入等三百四十万円であれば三割負担が可能であるとどうして言えるのですか。利用抑制や介護者、家族の生活圧迫につながらないのか、その根拠を明確に示すべきです。
高齢者を狙い撃ちにした社会保障の負担増と年金削減の中で、これ以上の重い負担を課せば、高齢者のみならず、介護者、家族の暮らしが破綻しかねません。今後、二割負担、三割負担の対象者を拡大することはないと断言できますか。総理の答弁を求めます。
介護医療院について伺います。
法案は、介護療養病床を廃止し、新たに介護医療院を創設するとしています。
介護療養病床は、医療的ケアが必要な重介護の高齢者の受け皿として、施設や在宅介護の困難な高齢者、家族を支えてきました。
介護医療院は、この介護療養病床とどう違うのですか。なぜ介護療養病床を廃止するのですか。
介護医療院は、生活の場としての機能を強調し、みとり、ターミナルケアの場であるともしています。そうであれば、患者の生活の質の向上と尊厳が守られるよう、医療、介護の人員配置、施設基準について、現行の介護療養病床より抜本的に拡充することが当然必要ではありませんか。厚労大臣の答弁を求めます。
続いて、共生型サービスについてです。
共生型サービスは、障害福祉の事業所が介護サービスも実施できるよう、基準緩和を行うものです。
しかし、障害を持つ方たちが真に望んでいるのは、六十五歳になったというだけで、サービス支給の縮小、打ち切りとともに定率負担が課せられる介護保険優先原則を廃止することです。障害福祉事業所が介護事業所を兼ねれば済むということでは断じてありません。大臣の見解を求めます。
障害者自立支援法違憲訴訟団との基本合意は、障害福祉サービスと介護保険の統合を明確に否定しています。本法案は、この基本合意に反するのではないですか。障害者サービスの介護保険への統合に踏み出したのではないと言えますか。
障害者の生存権、平等権、尊厳を公的に保障する障害者福祉制度を確立すべきであり、保険原理を持ち込むことは許されません。
本法案は、我が事・丸ごと地域共生社会づくりを進めるとしています。厚労省の目指す地域共生社会とは、効率化、生産性向上、自助、互助、地域住民の助け合いを最優先に求め、公的責任を後退させ、福祉、介護費用の抑制を狙うもので、今後の社会福祉のあり方を大きく変質させかねません。
厚労省は、この地域共生社会で、障害者も高齢者も子育て支援も含めた包括的な支援体制を提起しています。
この体制とは、効率化や人材不足解決のために、相談支援窓口や施設、専門職員の共用、兼務を進めることにすぎません。本来必要なことは、福祉労働者の処遇を抜本的に改善し、それぞれの専門職をしっかりと配置することではありませんか。
また、厚労省の提起する地域共生社会は、地域の困難はまず住民同士の支え合いで解決せよと言うのですか。地域の助け合いやボランティアは、不足する人材を補うものではありません。厚労大臣の答弁を求めます。
憲法二十五条は、国民の生存権を保障し、そのための社会保障の向上、増進へ国の責務を定めています。その国の責任を果たすことこそ今最も切実に求められているということを強く指摘して、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕