北神圭朗の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○北神圭朗君 民進党の北神圭朗であります。
 ただいま議題となりました原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案について、民進党・無所属クラブを代表して、経済産業大臣に質問いたします。(拍手)
 東日本大震災の悲劇が我が国を襲ってから、はや六年たちました。まことに残念なことながら、復興はまだまだ道半ばであります。いまだにふるさとに帰ることができない方々が、現時点で約五・六万人もおられます。こうした中で、復興に最も重くのしかかる課題の一つが、東電福島原発事故の後処理であります。
 事廃炉に係る費用については、これまで想定されていた二兆円が八兆円となりました。これまでの仕組みではお金が足りません。
 今回の法案は、より廃炉を着実に進めるために、東京電力ホールディングスに対して、必要なお金を機構に積み立てる義務を課すものであります。
 具体的には、廃炉等は引き続き東電の責任とし、毎年廃炉費用三千億円をみずから捻出しなさいというものであります。これに加えて、賠償費用二千億円もあり、東電が毎年負担しなければいけない費用は、合計で五千億円となります。
 ここ数年の東電の経常利益が四千億円程度で、廃炉が最低でも三十年、四十年もかかる中で、本当に五千億円もの金額を確保できるのか、実に心配であります。
 だからこそ、東電を改革して、さらに利益を上げるんだと言われても、結論ありきの論文は誰にでも書けます。三、四十年の間には景気の変動もあります。四十年後に労働力人口が四割減るという政府の試算もあります。よほど生産性が上がらなければ、経済成長率そのものが低下することになります。
 そこで、まず、東電改革については、東京電力一F問題委員会という有識者会合が具体策を示しております。
 その第一段階としては、経営合理化により年間五千億円捻出するとしておりますが、具体的な内容について大臣に伺います。
 第二段階としては、柏崎刈羽原発の再稼働で年間一千億円生み出すことになっています。しかし、立地自治体、とりわけ新潟県知事の方針もあります。加えて、同原発免震棟の耐震性をめぐる東電の対応で、地元は不信感を募らせています。こうした中で、当然のように再稼働を前提に東電が廃炉費用を生み出すとするのは、やや首をかしげざるを得ませんが、大臣の真意をお聞きします。
 第三段階としては、送配電と原子力の分野で他社と共同事業体を設立するとしております。具体的にどういうことを考えているのでしょうか。また、これによりどのくらいの効果を見込んでいるのか、大臣にお聞きします。
 なお、送配電事業の再編統合も検討されるようであります。しかし、余り国や機構が再編統合に介入してくると、ほかの電力会社が、自分たちも、結果として廃炉費用の負担をさせられるのではないかと疑って、かえって引いてしまうという声も聞いております。本来は、民間企業同士、お互い利益のある形で再編統合を進めるべきだと考えますが、大臣の見解をお聞きします。
 以上の東電改革により、三、四十年もの長きにわたって、毎年毎年相当な利益を上げることができるんだ、そして、そこから年間三千億円、賠償費用を加えると五千億円のお金をひねり出すことができるんだという自信は、一体どこからくるのでしょうか。来年の景気すら誰にも予測がつかないのに、このように四十年間にわたり民間企業について超長期的見通しを立てること自体、非現実的ではありませんか。大臣の見解を伺います。
 いずれにせよ、どんなに希望的観測の上に希望的観測を積み上げたとしても、現実は思いどおりにはいきません。東電の幹部の、今までの負担を上回る資金を継続的に出していくのは厳しいとの嘆きを新聞紙上で拝見いたしましたが、これは率直な思いでありましょう。
 そこで、お尋ねしますが、こうした中で、今回、東電が八兆円負担することが確定したのであれば、この時点で、東電は債務超過に陥り、継続企業として認められないという判断になるのが、大臣、企業会計上の常識ではないでしょうか。
 他方で、廃炉費用八兆円の試算については、機構の責任において評価したものではない、また、経済産業省として評価したものではないと明記されています。ということは、機構も、政府も、この廃炉費用の試算の責任をとらないということなのでしょうか。大臣のお立場を聞かせてください。
 また、国は東電の筆頭株主でもあります。東電の企業価値を上げて、株主への配当をふやすことが本来の使命でもあります。誰も責任をとれないあやふやな数字に基づいて毎年三千億円もの負担を義務づけられることについて、ほかの少数株主たちにどう説明するのか、大臣の考えを伺います。
 つまり、東電に負担を義務づける行政としての国の立場と、筆頭株主としての国の立場との間には利益相反があるのではないでしょうか。その結果として、東電の少数株主への配当が不当に減るという不利益が生じてしまうことに対して、大臣の見解を聞きます。
 確かに、本法案ができた当初は緊急事態でありました。事故の全貌が見えない中、東電が当事者意識を持って全面的に責任を負うのはやむを得なかったと思います。過去のことをとやかく言うつもりはありません。私は至って前向きな男でございます。しかし、今回の事故は前代未聞の規模と性質のものであり、今回、廃炉費用が四倍膨張したように、今後もさらに膨張する可能性は十分あります。
 具体的な条文で申し上げれば、第五十五条の四第二項で、廃炉のために東電が積み立てなければいけない金額は次の二つの条件を満たすことが求められています。
 一つは、廃炉を適正かつ着実に実施するために十分な金額であること、もう一つの条件は、電気の安定供給のための東電の事業の支障とならない金額、または電気の消費者に著しい負担を及ぼすおそれのない金額であることと規定されております。
 しかし、廃炉の見通しが極めて不透明である中で、この二つの条件が両立しない可能性は高いと言わざるを得ません。東電の収支が悪化する場合も考えられます。あるいは、廃炉費用がさらに膨張することも考えられます。さらには、東電の収支が悪化し、かつ、同時に廃炉費用が膨張することも十分考えられます。
 こうした場合に、消費者に著しい負担を求めなければ、東電の収支が悪化し、その電力事業が破綻することは容易に想定できます。大臣、こうした二つの条件が両立しない事態は絶対に起こらないと言い切れますか。お答えください。
 そもそも、法案で言う著しい負担とは具体的にどの程度のものか、はっきりさせる必要があります。
 まず、毎年三千億円負担をすることで、東電管内の電気料金はどのくらい値上げされるのか。これは、経営合理化によって本来値下げすべきであるのにもかかわらず廃炉費用等の負担により値下げできない部分、すなわち消費者への実質負担も含めてお聞きします。電気料金といえども、これはいわば税負担と同じ国民負担であり、当然、このくらいの試算はしてあるでしょう。
 次に、電気料金が何割増しになれば著しい負担とみなされるのでしょうか。これも実質負担を含めて大臣にお聞きします。
 以上、申し上げたいのは、東電が、事実上、電気料金への転嫁により廃炉費用を捻出するという、隠れみの的徴税機関のようなやり方には、かなり無理があるのではないかということであります。
 本法案においては、ただいま申し上げた二つの条件が両立しない場合、国が足りない部分を支援するという規定があってしかるべきでしょう。そうでなければ、法律本来の目的である廃炉の適正かつ着実な実施のための仕組みとしては完結しないのではないでしょうか。大臣の答弁を求めます。
 確かに、原発村と戦うという姿勢は受けがいいでしょう。また、あからさまな税負担よりも、電気料金で負担を求める方が財政の庭先をきれいにお掃除できるのかもしれません。国民の反発が少ないのかもしれません。さしずめこれは、取りやすいところから取るという政府の隠れたる租税原則の応用編だということなのでしょうか。
 しかしながら、福島県を初め、東日本の復興を一番に考えると、財源の心配なく一日でも早く廃炉を実行することが国家の責任というものではないでしょうか。これは私一人の意見ではございません。国の責任のあり方を検討すべきだということは、衆参両院の附帯決議にもたびたび示されてきた国会の意思でもあります。もうかれこれ五年以上たちますが、この間、政府は一体何を検討してきたのでしょうか。大臣の答弁を求めます。
 いずれにせよ、今回の仕組みでは、百歩譲っても、廃炉費用がぎりぎり確保できるかできないかの綱渡りだと言わざるを得ません。
 こうした中で、廃炉作業は、効率よくかつ効果的に進める必要がございます。そのためにも、現場の皆さんが強い責任感を持って、やる気と創意工夫を発揮し、無駄を極力省くことが極めて重要であります。
 ところが、私の耳には、国や機構がどうしても東電の経営陣との対話に偏ってしまっているという現場からの叫び声が届いています。また、東電の中の部署部署によって、廃炉事業の情報や認識が共有されていないことから、必ずしも一体感が生まれていないという憂慮の声も上がっています。
 大臣におかれましては、ぜひとも、上層部だけではなく、現場の皆さんとも積極的に意思疎通を図り、特に人材確保を含めた労働環境の改善を図っていただきたいと思います。また、組織の縦割りの弊害を取り除くための指導もあわせて求めます。いかがでしょうか。
 以上、福島第一原発の廃炉は、東日本の復興という大目的を踏まえれば、最後は国家の責任であります。したがって、廃炉費用の負担のあり方については、つらくても、厳しくても、批判が巻き起こっても、現実を直視し、ただただ廃炉まっしぐらに突き進むべきであります。
 兵糧が万全の上で、国、機構、東電の経営陣、さらには現場の皆さんが一丸となってこの戦に臨めば、必ず勝利を得られると確信しております。世耕経済産業大臣の今後の御英断を強く期待して、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣世耕弘成君登壇〕

発言情報

speech_id: 119305254X01420170330_005

発言者: 北神圭朗

speaker_id: 4662

日付: 2017-03-30

院: 衆議院

会議名: 本会議