藤野保史の発言 (本会議)

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○藤野保史君 私は、日本共産党を代表して、組織犯罪処罰法改正案、いわゆる共謀罪法案について質問します。(拍手)
 同法案は、過去三回、国会に提出されましたが、いずれも廃案に追い込まれました。なぜ三回とも廃案に追い込まれたのか、総理は、その理由をどのように認識していますか。
 共謀罪は、計画、すなわち話し合い、相談などを処罰の対象とするものであり、法益侵害の危険性のある行為が行われる前の段階で刑罰権を発動するものです。その人が何をしたかではなく、何を考えたか、何を合意したかが対象となるため、内心の処罰に限りなく近づいていきます。
 かつて国家権力が市民の内心を侵害したことへの反省から、近代刑事法は、犯罪行為が行われ法益侵害が発生した場合、すなわち既遂の処罰を大原則としています。
 犯罪が行われる前の話し合いを処罰する共謀罪は、この近代刑事法の大原則を覆すだけでなく、日本国憲法が保障する思想、良心の自由、表現の自由、適正手続保障などを侵害する違憲立法そのものです。
 過去三回の国会質疑ではさまざまな修正が行われました。しかし、憲法に根本的に反する共謀罪の本質を変えることはできなかった。だからこそ、過去全て廃案に追い込まれたのではありませんか。
 安倍政権は、国民を欺くために、過去三回と異なる説明を加えています。東京オリンピック・パラリンピックを開催するためには国際組織犯罪防止条約の締結が必要であり、テロ等準備罪はそのためのものだというのがその中心です。しかし、果たしてそうなのか。
 東京オリンピック・パラリンピック開催決定を受けて、安倍政権が二〇一三年十二月に閣議決定した治安対策の行動計画には、共謀罪という言葉は一つも出てきません。今になって突然、オリンピックのために共謀罪が必要だと言い出すのは、国民を欺く口実ではありませんか。
 もともと、国際組織犯罪防止条約は、マフィア等による国際的な経済犯罪の処罰化を主眼とするものであり、テロ防止条約ではありません。政府も、二〇〇〇年七月の条約起草委員会第十回会合で、テロリズムは他のフォーラムで行うべきであり、本条約の対象とすべきでないと主張していたではありませんか。
 与党に示された政府原案にはテロの文言が一つもありませんでした。その後、政府は慌てて、テロリズム集団その他という文言をつけ加えましたが、いまだに法案第一条の目的にテロという文言はありません。この経過自体が、テロ等準備罪という呼び名が看板のつけかえにすぎず、本質は共謀罪にほかならないことを物語っているのではありませんか。
 政府は、同条約の対象犯罪を六百七十六から二百七十七に絞り込んだと言っています。しかし、一体どのような基準で絞り込んだのですか。
 また、政府はこれまで、犯罪の内容で対象犯罪を選別することは条約との関係でできないと説明してきました。今回の対象犯罪の選別と過去の答弁との整合性はどうなるのですか。
 さらに、政府の判断で対象犯罪を選別できるとすれば、将来、時の政権の判断で幾らでも対象犯罪をふやすことができることになるのではありませんか。
 野党は、同条約を締結した百八十七カ国において、共謀罪や参加罪がどう規定され、運用されているかについての資料、国連が作成した立法ガイドに関する資料、条約起草段階の外務省公電などの情報開示を求め続けています。
 ところが、政府は頑として、これらの資料を開示しようとしません。これらの資料を隠したまま、条約締結には共謀罪が必要だと幾ら強弁しても、全く説得力はありません。本法案の審議に不可欠なこれらの資料の開示を強く求めるものです。
 同条約第三十四条一項は、自国の国内法の原則に従って必要な措置をとると定めています。この規定に照らしても、日本国憲法に反し、刑事法の大原則を覆す共謀罪を新設する必要は全くありません。
 日本は既に、テロ防止のための十三本の国際条約を締結し、六十六の重大犯罪について、未遂より前の段階で処罰できる国内法を整備しています。日本弁護士連合会も指摘するとおり、共謀罪を新設することなく、直ちに同条約を締結すべきです。
 政府は、本法案は共謀罪とは全く異なる、なぜなら、組織的犯罪集団や準備行為という要件を加えたからだと説明しています。
 組織的犯罪集団について、金田大臣は、テロ組織、薬物密売組織、暴力団の三つを挙げていました。しかし、その後、これらは例示にすぎないと答弁し、NPO法人もサークルも草野球チームも対象となり得ることを認めています。一般人が対象になることはあり得ないどころか、誰もが対象になり得るのではありませんか。
 準備行為は、予備行為とは異なり、客観的な危険性は要求されておらず、日常的な普通の行為も含みます。桜並木を歩いている人がいたとして、それが花見なのか犯罪の下見なのか、どうやって判断するのですか。金田大臣は、花見と下見の違いは目的であり、目的をしっかり調べると答弁しました。まさに、内心を処罰することになるではありませんか。
 そもそも、組織的犯罪集団や準備行為に当たるかどうかを判断するのは捜査機関です。何を目的として行動しているのか、外形からはわかりません。したがって、共謀罪の捜査では、盗聴、GPS、密告、スパイといった捜査手法が多用されます。
 実際、大分県警別府署による違法盗撮事件を初め、現在でも捜査機関は人権侵害の捜査を繰り返しています。我が国刑法学界の中心を担う刑事法学者百六十一名が指摘しているとおり、共謀罪の新設による捜査権限の前倒しは、プライバシー権を侵害し、捜査の公正性を著しくゆがめるものにほかなりません。
 戦前の治安維持法は、一九二五年二月の第五十回帝国議会で審議されました。当時の若槻礼次郎内務大臣は、まさにこの衆議院本会議場で、治安維持法が労働運動を制限するというのは甚だしき誤解であり、何ら制約を加えるものではないと繰り返し答弁しています。
 しかし、実際には、日本共産党だけでなく、労働組合、宗教団体、学生サークルなど、あらゆる団体が弾圧の対象になりました。
 一たび内心を処罰する法律をつくれば、時の政権と捜査機関次第で恣意的に解釈され、萎縮効果を生み、自由な社会を押し潰していく、これが歴史の教訓です。総理、あなたにその認識はないのですか。
 この間、安倍政権は、特定秘密保護法を強行し、盗聴法を拡大し、安保法制、戦争法を強行してきました。物言えぬ監視社会をつくり出す共謀罪は、こうした法制度と一体となって、日本を戦争する国に変質させるものです。
 だからこそ、今、全国各地で本法案に反対する声が急速に広がっています。長野県内の四分の一の地方議会で共謀罪に反対する意見書が採択されるなど、全国各地方議会で反対の声が広がっています。日弁連初め全国四十七の単位弁護士会、日本ペンクラブ、言論人、出版人など、広範な団体が反対を表明しています。
 現代版治安維持法というべき憲法違反の共謀罪法案を強行することは絶対に許せません。
 私たち日本共産党は、市民の皆さんの世論と運動とかたく連帯して、必ずこの法案を廃案に追い込む、その決意を表明して、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

発言情報

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発言者: 藤野保史

speaker_id: 3384

日付: 2017-04-06

院: 衆議院

会議名: 本会議