井出庸生の発言 (本会議)

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○井出庸生君 民進党、信州長野の井出庸生です。
 私は、民進党・無所属クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました法務委員長鈴木淳司君解任決議案に強く賛成する立場から討論を行います。(拍手)
 共謀罪をめぐる今国会審議は、国会審議のあり方、政治家同士の議論を深めようという国会改革の流れに大きな波紋を投げかけました。
 平成十一年七月、国会審議の活性化及び政治主導の政策決定システムの確立に関する法律、いわゆる国会審議活性化法が成立し、公布されました。国会審議活性化法は、特に第二章の国会法の改正で、政府委員制度の廃止という、国会審議のあり方に大きな変革をもたらしました。
 過去の政府委員制度は、帝国議会以来存在してきたものですが、かつて、政府委員は、国務大臣とともに、憲法上、議院への出席発言権が認められていたのに対し、日本国憲法では、議院への出席発言権は国務大臣についてのみ規定されており、政府委員について規定する国会法においても、当然の出席権を与えず、その任命に当たって両院議長の承認を要することとし、発言通告、出席要求など、国会側の立場を強くしております。
 さらに、委員会審議の実態において、政府委員に対する質疑が中心となり、国会ひいては国民に対して直接の責任を負わない政府委員が、本来政治家が担うべき政策議論の枢要な部分についてまで大きな影響力を持ってきたとの指摘もありました。このことが議員同士の政策論争の場であるべき国会審議を形骸化させているとの批判が強まり、一連の国会改革の流れの中で、政府委員制度そのものを廃止するべきであるとの結論に至ったのであります。
 鈴木淳司君が、ことし四月十九日、法務委員会において、全ての野党と無所属の委員が反対をする中、政府参考人林眞琴刑事局長の出席を強引に議決し、また、わずか二日後、四月二十一日の法務委員会冒頭には、あろうことか、本法案審査中、すなわち共謀罪法案審議の間ずっと、刑事局長の常時出席を強制的に議決したことは、政治家同士の議論を深めようという現在の政府参考人登録制度の根幹をぶち壊す悪行と断じざるを得ません。
 振り返れば、ことし二月、金田法務大臣が予算委員会審議期間中にいわゆる金田ペーパーを発表したことが問題の始まりでした。
 金田ペーパーには、共謀罪が成案を得てから、専門知識を有する政府参考人、刑事局長も加わって審議を行うことが審議の実を高めるとし、国会法や政党間の申し合わせに一切規定されていない、通告の内容、中身についてまでも、質問通告が大まかな項目では不十分と注文をつけ、さらには、外務大臣を登録することを求めた上で、法務委員会で議論を重ねるべきと、国会運営に公然と口出しをしたのであります。
 いや、金田大臣は、ペーパー発表以前からも、予算委員会の場で大手を振るって、参考人を入れろと連呼し、また、その後の法務委員会でも相変わらず刑事局長を答弁させてほしい趣旨の発言を繰り返しております。
 ちなみに、党首討論の導入などに当たり我が国が参考にしたイギリス議会では、事前の通告制度はあるものの、答弁の準備は大臣、政治家を中心に行われ、官僚が遅くまで残ることはないという話を、当時、イギリス議会について学んだ方から、今回の件で伺いました。イギリス議会がいかに政治家同士の議論を重んじるか、その一端を私も改めて学んだ次第です。
 法務委員長たる鈴木淳司君がやるべきことは、法務大臣に責任感を持って答弁できるよう促すことであり、政府参考人を強制出席させ、答弁のできない大臣を守ることではありません。
 私は、金田大臣が就任した昨年来、金田大臣と質疑を重ねてまいりました。政府参考人の登録は省庁に一任し、質疑中に、大臣に対する質疑で意に沿わず政府参考人が答弁に立ったときも、殊さらそのことを非難したことはございません。
 しかし、私は、私のそうした審議姿勢すらも、金田大臣の委員会への参加姿勢、責任感を失わせる一因になったのではないかと反省をしております。このため、私は、以後、不要不急の政府参考人登録を厳に慎み、金田大臣に答弁の改善を求めてまいりました。
 再三の参考人登録の要請があったというお話がございましたが、共謀罪法案の趣旨説明の後、初めての質疑となった四月十九日、その日の民進党質疑者の中核を担った枝野幸男委員は自発的に刑事局長を登録するよう通告、四月二十一日には、枝野幸男委員、山尾志桜里委員が、委員会開催自体が委員長の職権立てであったにもかかわらず、その前日に、刑事局長の登録を自発的に法務省に伝えております。さらに、四月二十八日の審議では、逢坂誠二委員、それから私も、刑事局長並びに人権擁護局長の登録を求めております。
 私はともかく、我が党は、必要とあらば政府参考人登録を自発的に進めてまいりましたし、また、他党、特に日本共産党からは、参考人登録は質疑者の自主性に委ねるべきだと再三にわたって抗議があったことも申し添えます。
 鈴木淳司君が強行した刑事局長の強制登録の後も、刑事局長と大臣の答弁の大事なところでの食い違い、また、刑事局長が発言をした後、大臣が同じ発言を繰り返すなど、いたずらに審議時間を答弁で浪費しております。このままでは、審議時間は通常の二倍必要であると今後の審議でお願いせざるを得ません。
 金田大臣は、法務委員会への介入、侮辱ともとれる文書を、国会運営に介入する意図はないとして撤回をされましたが、大臣の本心までを撤回することができなかったことは、いまだ刑事局長に答弁をさせてほしいと繰り返すそのお姿を見れば明らかであり、鈴木淳司君は、残念ながら、その金田大臣の守り神となってしまったと言わざるを得ません。
 また、共謀罪の法務委員会審議では、総理大臣の出席、金田大臣みずからが要求された外務大臣の出席、そして国家公安委員長の出席を求めることも、法案の重要性に鑑み、特例ではあるが妨げないという合意が理事会でされております。しかし、残念ながら、質疑者の要求する出席が必ずしも全てかなっているわけではありません。
 与党におかれましては、政府と立法府との間でいろいろ御苦労があることは推察をいたしますが、立法府の一員、立法府の中心を担われているということに思いをいたしていただきたい。
 さて、私どもと日本共産党は、共謀罪審議について、刑法の諸原則、条約締結のあり方、テロ対策の穴、計画、実行準備行為、組織犯罪集団の解釈、捜査のあり方、憲法に照らした内心捜査のおそれなど、七つのテーマに分けて、複数回参考人質疑を行って、これらのテーマに参考人の意見を求めるよう理事会で要請をしておりますが、いまだ回答はいただけず、今後の審議でも強くその実現を求めてまいります。
 以上を踏まえ、ここまで私は大臣の答弁を注視しながら議論に参加してまいりましたが、もはや、今の体制では、議論が深まるどころか、議論は混迷を深めると言わざるを得ません。
 鈴木淳司君は、充実審議のために参考人の強制登録をした旨弁明されておりますが、大臣と刑事局長答弁の大事なところでの食い違い、そして、同じ答弁の繰り返しによる時間稼ぎ。充実した審議をするためには、大臣の答弁が改善されることこそが唯一の方法であることは明らかであります。
 委員長として、大臣に猛省を求めないばかりか、国会改革に逆行する政府参考人常時登録によって大臣を守った鈴木淳司君の責任は極めて重く、解任以外ございません。同時に、即刻、政府参考人強制出席の議決の撤回を強く求めるものであります。
 私どもは、共謀罪という法案が、そもそも被害者のいない、実行可能性に疑義のある犯罪計画を捉え、捜査開始を時間的に大きく前倒しし、断片的な少ない情報の中で捜査機関が見当違いに捜査対象を広げることを強く懸念しております。共謀罪を二百七十七もの犯罪に一気に創設するリスクは、日本の良好な治安を守ってきた謙抑的な刑法を根幹から変えかねません。
 刑法、刑罰に謙抑的で、かつ、良好な治安をつくり上げてきた先人たちの努力の積み重ね、日本の国柄を台なしにしかねない重大な懸念を改めて表明するとともに、国際的な組織犯罪対策の連携を進めるために日本のとるべきよりよい方法、さらに、共謀罪はテロ対策にあらずということを今後の審議で一層鮮明にしてまいります。
 以上で、私の法務委員長解任決議案に対する賛成討論を終わります。(拍手)

発言情報

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発言者: 井出庸生

speaker_id: 30597

日付: 2017-05-09

院: 衆議院

会議名: 本会議