逢坂誠二の発言 (本会議)

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○逢坂誠二君 私は、民進党の逢坂誠二でございます。
 民進党・無所属クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました共謀罪法案及び同法案修正案に対し、反対の立場から討論を行います。(拍手)
 今回の法務委員会の運びは極めて異常でありました。
 共謀罪法案の審議の直前、自民党内の仲間割れだったのでしょうか、与党筆頭理事が、理事懇談会の最中に突然机をたたいて席を立ち、辞任を口にするという驚くべき事態が発生しました。
 それ以降、委員長の職権の乱発が始まります。委員会の開催を職権で決めるのは日常茶飯事。委員会法案審議の全ての期間における政府参考人の登録も職権。私は、こんな強権的な委員会運営を体験したことはありません。その上、質疑三十時間で強行採決。これも異常なことでありました。
 このような荒れた状況の中で、共謀罪法案は充実した審議が行われたとは言えません。何のチェックもせずに、法案を右から左に通すことが国会の役割ではありません。今の与党を見ていると、立法府としてのチェック機能を果たさず、単なるベルトコンベヤーの役割しか果たしていないと言わざるを得ません。
 共謀罪法案をめぐり金田大臣は、答弁のできない大臣として一躍有名人になりました。大臣の背後からマスク姿の官僚が常に答弁資料を差し出す姿は、二人羽織、さらには三人羽織とやゆされる、実にお粗末な答弁でした。
 政府は、法律案の閣議決定前から、共謀罪法案をテロ等準備罪と呼び、従前の共謀罪法案とは全く別物、一般の方々は対象にならないなど、極めてよこしまなイメージ戦略を開始しました。
 金田法務大臣は、成案を得てから答弁するというせりふを繰り返しましたが、質問の意図を的確に理解しないまま、官僚が作成する答弁資料の棒読みを繰り返し、答弁が迷走、共謀罪に対する疑念を一層深めてしまったのであります。これほど充実感のない法案審議は記憶にはありません。
 ここに来て、この法案を採決できない、さらに大きなことが発生しました。世界の人権状況を調査する国連の特別報告者が、この共謀罪法案に関し、プライバシーに関する権利と表現の自由への過度の制限につながる可能性があるという懸念を示す書簡を十八日付で安倍総理宛てに送付したのです。
 この書簡の中で、組織的犯罪集団や計画、それに準備行為、これらの定義が曖昧なことが問題視される上、処罰対象となる二百七十七の犯罪の中には、テロや組織犯罪とは関係のないものも広く含まれ、法が恣意的に適用される危険があると指摘しています。また、法案の成立を急いでいるため、十分に公の議論がされておらずに、人権に有害な影響を及ぼすとも指摘しています。これらは、法務委員会で指摘された懸念事項とも合致する極めて重要な指摘であります。
 金田法務大臣は、共謀罪の立法事実に関し、頭の中にはたくさんあると明言しましたが、いまだにその事実が公表されず、十九日の法務委員会では、国連のTOC条約の締結だけが唯一の立法事実と認めざるを得ない状況となっています。しかし、その国連から逆に、そのための国内法整備に対して根本的な疑問が突きつけられたのであります。そこで、この立法作業は中断し、再検討すべきであります。
 ところが、この書簡に対し、菅官房長官は昨日の会見で、不適切なものであり、強く抗議を行っていると述べ、特別報告者という立場は独立した個人の資格で、国連の立場を反映するものではないと強調しました。
 しかし、これは的外れで、その場しのぎの会見と言わざるを得ません。十八日に日本政府が行った抗議によりますと、特別報告者を、国連の立場から懸念を表明したことを認めています。国内、国外でのこのようなダブルスタンダードはやめるべきであります。
 また、昨年十一月二十五日、岸信夫外務副大臣が、国連北朝鮮人権状況特別報告者の表敬を受けております。その際、岸副大臣が、特別報告者としての初の訪日を歓迎するとともに、人権の専門家として豊富な経験を有する同報告者の活動に日本として全面的に協力する旨を述べているのです。
 政府に都合のよい特別報告者は歓迎し、都合の悪い特別報告者はその存在までも否定するかの姿勢、これは政府の御都合主義とも言えるものであり、こうした政府の姿勢こそが批判されるべきものであります。
 しかも、この書簡は、菅官房長官が指摘するような一方的な内容ではありません。
 書簡では、共謀罪法案について、早まった判断をするつもりはありませんと前置きをした上で、人権理事会から与えられた権限のもと、私は担当事件の全てについて事実を解明する職責を有しておりますとし、日本政府に対し、この書簡に対する見解を求めているのです。
 つまり、この書簡は、共謀罪法案に関して、国連が一方的に断定するものではなく、特別報告者が抱く懸念について、この書簡を皮切りにして日本政府とやりとりをしたいというのがその真意だと思われます。それを一刀両断に批判し、切り捨てる菅官房長官の会見は、極めて不適切なものであります。
 私は、書簡の中の次のくだりを読んで、改めて我々の主張の正当性を確認すると同時に、日本政府に突きつけられた国連からの厳しい指摘にショックを受けております。
 要請があれば、国際法秩序と適合するように、日本の現在審議中の法案及びその他の既存の法律を改善するために、日本政府を支援するための専門知識と助言を提供することを謹んでお受けいたします、こう述べているわけであります。
 つまり、共謀罪法案は、国際法秩序に適合していないと指摘されたも同然であると同時に、国連特別報告者としては、日本政府の法律立案能力が十分ではないとの認識を示したのであります。法治国家日本として、極めて不名誉な指摘を受けてしまいました。
 国連特別報告者からのこうした極めて重要な書簡を的外れな批判で葬り去るのではなく、ここで法案審議を中断し、指摘された事項について真摯な姿勢で検討し、法案提出を再考することこそが、今、政府に求められているのです。
 こうした点からも、この時点での共謀罪法案の採決はすべきではないことを強く主張させていただきます。
 以上が、政府提出法案、修正案及び採決に反対する主な理由です。
 また、この法案に賛成しようとする皆さんに改めてお考えをいただきたいのであります。
 国連の特別報告者が、共謀罪法案は人権への悪影響が懸念され、国際法秩序に合致しないことを指摘しています。共謀罪法案は、悪法、欠陥法なのであります。それにあえて賛成するのであれば、後世に賛同者として確実に御自身の名前を残し、歴史の厳しい洗礼を受ける覚悟で賛同していただきたいと思います。それが立法府の一員としてのせめてもの矜持だと思います。また、その覚悟が持てないなら、確実に反対を表明されるべきであります。
 問題点がいまだ尽きていない法律案を我が院で可決することは、将来に禍根を残すことを指摘し、私の反対討論を終了させていただきます。
 御清聴ありがとうございます。(拍手)

発言情報

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発言者: 逢坂誠二

speaker_id: 4539

日付: 2017-05-23

院: 衆議院

会議名: 本会議