藤野保史の発言 (本会議)
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○藤野保史君 私は、日本共産党を代表して、組織犯罪処罰法改正案、いわゆる共謀罪法案について、断固反対の討論を行います。(拍手)
まず、十九日の法務委員会での強行採決に満身の怒りをもって抗議します。
自由と民主主義がかかった重大法案であるにもかかわらず、本法案の審議は全く尽くされていません。法務大臣がまともに答弁できず、国民の約八割が説明が不十分だという法案を数の力でごり押しすることは、国民の代表機関である国会の役割をみずから否定するものであり、断じて認められません。
法案に反対する理由の第一は、本法案が、具体的に危険な行為があって初めて処罰するという近代刑事法の大原則を覆し、日本国憲法が保障する思想、良心の自由、表現の自由などを侵害する違憲立法そのものだということです。
五月十八日、国連人権理事会が任命した国連プライバシー権に関する特別報告者ジョセフ・カナタッチ氏から、本法案がプライバシー権や表現の自由への過度の制限になると強く懸念する書簡が安倍総理に届けられました。
菅官房長官は、この指摘は全く当たらない、強く抗議するなどと述べましたが、共謀罪が必要な理由として国際条約の締結や国際社会との連携をあれほど強調しておきながら、当の国際社会、国連から問題を指摘されるや、全く当たらないなどと切り捨てるその姿勢は御都合主義そのものであり、到底許されるものではありません。
国連特別報告者はこう指摘しています。これだけ拙速に深刻な欠陥のある法案を押し通すことを正当化することは絶対にできません、今こそ日本政府は、立ちどまって内省を深め、世界基準の民主主義国家としての道に歩を進めるべきときです。
安倍政権は、この指摘を重く受けとめ、国連と協議を行うべきであり、採決強行をするなど絶対に許されません。
第二に、本法案について政府は、テロ対策のため、一般人は対象にならないなどと説明してきましたが、今やその説明はぼろぼろです。
国際組織犯罪防止条約を締結するための国連立法ガイド作成の中心人物であるニコス・パッサス米ノースイースタン大学教授は、条約の目的はテロ対策ではないと断言しています。同条約の作成過程では、日本政府初めG8のほとんどの国が、テロリズムは本条約の対象とすべきでないと主張していました。当事者の証言からも条約作成の経過からも、本条約がテロ防止条約でないことは明らかです。
日本は既に、テロ防止のための十三本の国際条約を締結し、六十六の重大犯罪について、未遂より前の段階で処罰できる国内法を整備しています。日本弁護士連合会が指摘するとおり、同条約の締結に共謀罪の新設は不要です。
政府は、組織的犯罪集団や実行準備行為を要件としているから内心を処罰するものではないと主張していますが、いずれも判断するのは警察です。
実行準備行為について、花見と下見は外形上区別できないではないかと聞くと、金田大臣は、ビールと双眼鏡など、外形上区別できると強弁しました。しかし、それでは区別にならないではないかと聞くと、今度は、計画に基づくかどうかで判断すると言い出しました。
外形上判断できると説明してきたのに、結局は、計画、すなわち内心でしか区別できないことをみずから認めたものにほかなりません。内容も答弁もぼろぼろの本法案は直ちに廃案にすべきです。
第三に、本法案は、物言えぬ監視社会をつくり出す現代版治安維持法であり、安保法制、戦争法、特定秘密保護法、盗聴法などと一体となって、日本を戦争する国に変質させるものです。
質疑の中で、岐阜県大垣署の市民監視事件や堀越事件など、警察による監視活動の実態が明らかになりました。警察は、裁判でみずからの活動の違法性が認定されても謝罪も反省もせず、適正な職務執行だったと開き直っています。ここに共謀罪が新設されたらどうなるのか。警察が今以上に大手を振って一般市民の監視に乗り出すことは火を見るよりも明らかです。
今、戦争法、原発再稼働、TPP、沖縄の米軍新基地建設など、安倍政権の暴走に対して物言う市民が声を上げ、野党と市民の共同が広がり、新しい日本の民主主義が動き始めています。
安倍総理による九条改憲発言は、本法案が戦争する国づくりの一環であることを改めて浮き彫りにし、広範な市民が怒りの声を上げています。共謀罪は、日本の民主主義の発展を恐れ、物言う市民を萎縮させようとするものです。しかし、この新しい民主主義の流れを押しとどめることは絶対にできません。
法務委員会に続いて、この本会議場でも共謀罪法案の採決を強行するならば、虚構の多数で暴走する安倍政権への怒りがさらに沸き上がり、安倍政権打倒のうねりとなって広がることになるでしょう。
私たち日本共産党は、法案採決に断固反対するとともに、多くの市民とかたく連帯して、必ず本法案を廃案に追い込む、この決意を表明して、反対討論といたします。(拍手)