金田勝年の発言 (本会議)
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○国務大臣(金田勝年君) 井出庸生議員にお答えを申し上げます。
まず、強制性交等罪の保護法益についてお尋ねがありました。
強姦罪の保護法益については、一般に、性的自由または性的自己決定権と解されていると承知をしており、強制性交等罪の保護法益についても同様と考えております。
強制性交等罪などの性犯罪は、被害者の人格や尊厳を著しく侵害するものであると認識をしております。もっとも、刑法上の罪の保護法益は、一定程度具体化された利益として把握されていると考えられます。そして、被害者の人格や尊厳を侵す犯罪は性犯罪に限られないことからも、人格や尊厳を性犯罪の保護法益とするのは抽象的に過ぎると考えられます。
次に、強制性交等罪の処罰対象となる行為の範囲についてお尋ねがありました。
ただいま答弁しましたように、強制性交等罪の保護法益は、性的自由または性的自己決定権であると考えております。
膣や肛門への異物等の挿入行為については、異物にもさまざまなものがあり、その被害の重大性が一律に性交等と同等とまでは言いがたいことから、強制性交等罪の処罰対象とはしておりません。
なお、御指摘の行為に対しては、強制わいせつ罪等により、事案の実態に即した対処がなされるべきであると考えております。
次に、暴行または脅迫を強制性交等罪の構成要件とすることの合理性についてお尋ねがありました。
強姦罪における暴行または脅迫は、その保護法益である性的自由または性的自己決定権を侵害する行為であることを示す客観的な要件であり、その程度は、反抗を著しく困難ならしめる程度のものであれば足りると解されております。具体的には、被害者の年齢、精神状態のほか、行為の場所の状況、時間等諸般の事情を考慮し、御指摘のように被害者が恐怖感から抵抗できない場合においても、事案に即した適切な判断がなされているものと考えております。
このような客観的な要件を定めていることには合理性があると考えております。
次に、現行法の強姦と準強姦を一本化すべきではないかとのお尋ねがありました。
現行法における強姦罪と準強姦罪との区別は適切に機能しているものと考えられますので、直ちに御指摘のような改正が必要とは考えておりません。
次に、十三歳の者が性交に同意することが可能であるかについてお尋ねがありました。
十三歳の者の心身の発育の程度には個人差があると思われますが、現行刑法は、十三歳未満の者については、暴行、脅迫がなくても、一律に、同意の有無を問わず強姦罪が成立するとしているものであります。
この年齢を引き上げることは、若年者の性的自由を過度に制約する側面がある一方、未成熟な児童については児童福祉法や条例により保護が図られていることなどを考慮し、今回の改正案では、この年齢の引き上げを行うこととはしておりません。
次に、監護者性交等罪における要件の認定に関するお尋ねがありました。
監護者性交等罪は、行為者が十八歳未満の者を現に監護する者であることが要件であります。その上で、十八歳未満の者を現に監護する者であれば、一般に、その十八歳未満の者に対して、監護する者であることによる影響力があるものと考えており、その影響力を及ぼしている状態で性交等をすれば、監護者が影響力があることに乗じていると言えると考えております。
次に、教師に対し監護者性交等罪が成立する場合があるかとのお尋ねがありました。
監護者性交等罪の、現に監護する者に当たるか否かは、個別の事案における具体的な事実関係により判断されるものでありますが、一般的には、現に生活全般にわたって依存、被依存ないし保護、被保護の関係が認められ、かつ、その関係に継続性が認められることが必要であると考えております。
その上で、一般論として申し上げれば、教師については、通常は、生徒との間に生活全般にわたる依存、被依存ないし保護、被保護の関係が認められないことから、現に監護する者に当たらない場合が多いものと考えられます。
次に、未成年者を被害者とする性犯罪の公訴時効を停止する制度の導入についてお尋ねがありました。
時の経過による証拠の散逸等に基づく法的安定の要請と犯人処罰の要請の調和という公訴時効制度の趣旨等に鑑みますと、未成年者を被害者とする性犯罪についてのみ公訴時効を停止する制度を設けることについては、慎重な検討を要するものと考えております。
次に、性犯罪が非親告罪化された場合における犯罪被害者の保護のための方策についてお尋ねがありました。
強姦罪等を非親告罪としても、事件の処分等に当たっては被害者の心情に適切な配慮がなされるものと考えており、また、公判等の刑事手続においては、ビデオリンク方式による証人尋問等の被害者のプライバシーを保護するための方策が活用されることとなると考えております。
次に、司法面接の導入についてお尋ねがありました。
現行法のもとでも、例えば、被害児童の事情聴取に際し、児童相談所、警察及び検察の三者において協議を実施し、いずれかが代表して、司法面接の手法を活用した聴取を行う取り組みを積極的に進めており、引き続きこのような取り組みを進めてまいります。
最後に、性暴力被害者の支援に関する法律案をあわせて成立させるべきではないかとのお尋ねがありました。
性暴力被害者支援に関する法律案は、議員提案により既に本院に提出されているものと承知をいたしております。国会における法案審議のあり方につきましては、国会においてお決めいただく事柄であり、法務大臣として申し上げるべきことではないと考えております。
いずれにせよ、政府として、引き続き性犯罪被害者支援のための取り組みを進めることは重要であると考えております。(拍手)
〔国務大臣松野博一君登壇〕