志位和夫の発言 (本会議)

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○志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、安倍内閣不信任決議案への賛成討論を行います。(拍手)
 まず、中間報告による審議の一方的打ち切りという乱暴きわまる方法で共謀罪法案を強行しようとしている安倍政権に対して、満身の怒りを込めて抗議するものです。
 安倍政権は一昨年九月の安保法制、戦争法の強行を境に、憲法を無視し、民意を無視した暴走政治に全く歯どめがなくなってしまっています。国会での数の力に慢心し、国政を私物化し、目を覆うばかりのモラル崩壊が進んでいます。もはや、この内閣に我が国の国政を担う資格はありません。
 不信任の理由は数多くありますが、以下三点に絞って具体的に述べます。
 不信任の第一の理由は、憲法違反の共謀罪法案を強行しようとしていることであります。
 この法案の最大の問題は、何を考え、何を合意したかが処罰の対象となる、心の中、内心を処罰するということです。それは、具体的な行為があって初めて処罰するという刑法の大原則を根本から覆すものです。思想や内心の自由を絶対に侵してはならないと定めている憲法十九条に反する違憲立法と言わなければなりません。
 政府は、共謀罪法案をごり押しするために、国民を欺くうそを幾つも重ねてきました。
 一つは、テロ対策といううそであります。
 政府は国際組織犯罪防止条約の批准のためと言いますが、この条約はマフィアなど経済犯罪に対応するためのものであり、テロ対策の条約ではありません。このことは、この条約を締結するための国連立法ガイドを作成したニコス・パッサス教授が、条約の目的はテロ対策ではないと断言していることからも明らかです。
 大体、日本政府自身が条約の起草過程で、テロリズムは本条約の対象にすべきではないと主張していたではありませんか。
 いま一つは、一般人は対象とならないといううそであります。
 参議院の審議で、政府は、環境保護団体や人権保護団体を隠れみのとした場合には処罰されることがあり得ると言い出しました。さらに、組織的犯罪集団の構成員ではない周辺者が処罰されることがあると言い出しました。しかし、隠れみのかどうか、周辺者かどうかを判断するのは誰か。捜査機関ではないですか。どうやって判断するのか。広く一般市民を日常的に監視することになるではありませんか。
 大体、質疑の中で政府は、岐阜県大垣署による市民監視事件、風力発電所に反対する市民運動を監視し、情報を中部電力に流していた事件について、謝罪も反省もせず、適正な職務だったと開き直っています。既に行われている市民監視を適正と開き直っている政府が、一般人は対象にならないと言って、一体誰が信用するでしょうか。
 五月十八日、国連人権理事会が任命した特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏から、共謀罪法案がプライバシー権や表現の自由への過度の制限になると強く懸念する書簡が安倍総理に届けられました。ところが、日本政府は、ケナタッチ氏から寄せられた質問に一切答えないまま、強く抗議するという問答無用の態度をとりました。
 日本政府は、国連人権理事会の理事国に立候補した際に、特別報告者との建設的な対話を公約したはずです。国際公約をほごにしてはばからない安倍政権の態度は、世界の恥と言うほかないではありませんか。
 共謀罪法案をめぐって、かつての治安維持法の再来になるとの危惧が強く寄せられています。それは決して杞憂ではありません。
 金田法務大臣は、治安維持法について、適法に制定され、適法に執行されたと言い放ちました。安倍政権に問いたい。それならば、治安維持法による弾圧、拷問で犠牲になった多くの人々、作家の小林多喜二の虐殺も哲学者の三木清の獄死も適法だと言うのか。
 このような勢力に共謀罪法案を与えるわけには断じていきません。共謀罪法案は廃案にするしかありません。
 国民をうそで欺き、国際社会からの批判に耳をかさず、憲法違反の共謀罪法案を強行しようとする安倍政権に日本のかじ取りをする資格はありません。速やかに退陣すべきであります。
 不信任の第二の理由は、安倍政権が、森友疑惑、加計疑惑、権力による国政の私物化の二つの重大問題への関与の疑惑を隠蔽し続けていることであります。
 森友疑惑の核心、八億円もの国有地の値引きがどうして行われたかをめぐって、総理夫人の昭恵氏の関与の疑惑が極めて濃厚になりました。にもかかわらず、総理は、昭恵氏の証人喚問を拒否する許しがたい態度をとり続けています。
 それに加えて、加計疑惑が大問題になっています。疑惑の核心は、総理が腹心の友と呼ぶ加計学園理事長との関係によって、公平公正であるべき行政がゆがめられたのではないかということにあります。問題は、岩盤規制の是非一般ではありません。岩盤規制に穴をあけると称してあけた穴が加計学園にしか通れない特別の穴であったことが問題となっているのであります。
 総理の御意向、官邸の最高レベルが言っていると明記された文書が明るみに出され、前川喜平前文部科学事務次官が文書は省内で共有されていたと証言し、疑惑はいよいよ決定的になりました。にもかかわらず、安倍政権のとった態度は、文書を怪文書呼ばわりし、前川氏に対する卑劣な人格攻撃を行うということでした。
 追い詰められた政府は、加計文書の追加調査をすると表明しましたが、その結果はいまだに発表されていません。総理は徹底調査を指示したと言いますが、文書を隠蔽し続けたことへの反省もなく、まともな調査ができるわけはありません。
 大体、徹底調査といいながら、なぜ圧力をかけた側の内閣府の調査を拒否するのか、なぜ前川氏の証人喚問を拒否し続けるのか、説明がつかないではありませんか。
 国会質疑における安倍総理の態度は余りにもひどいものでした。やじがあれば、静かにしろと、延々と時間を潰す。そのくせ自席から、反論させろよ、いいかげんなことばかり言うんじゃないとやじるというルール違反を繰り返す。都合の悪い質問には、印象操作と言って答えない。野党議員の質問に興奮して、恫喝まがいの答弁を行う。
 余りにも傲慢不遜。一国の首相としての品位もなければ、品性もありません。こうした態度一つとっても、総理失格と言わなければなりません。
 ある識者が、今、日本で真実という価値が脅かされている、真実を共有しなければデモクラシーは成立しないと発言しておられましたが、全く同感であります。赤信号を青と言え、あったことをなかったことにしろ、このようなことの横行を許すならば、およそ民主政治は成り立たないではありませんか。
 安倍政権が破壊しようとしているのは、まさに真実という価値だということを私は厳しく指摘しなければなりません。
 国政は、安倍総理とそのお友達の私物では断じてありません。そして、安倍総理は、森友、加計疑惑のどちらについても、自分が関与していたら総理をやめると約束していたことを忘れてはなりません。
 疑惑解明にふたをする態度をとり続ける安倍総理に、もはや総理の資格はありません。私たちは、真相の徹底究明を引き続き強く求めるものであります。
 不信任の第三の理由は、安倍総理が憲法九条改定に手をつけようとしていることにあります。
 五月三日、総理は、憲法九条を改定して自衛隊を明記する、二〇二〇年までには施行すると宣言しました。
 大体、内閣総理大臣が、こうもあからさまな憲法改定を、期限まで決めて宣言することが許されるでしょうか。総理は、自民党総裁としての発言であって、総理と総裁は違うと弁明していますが、そのような使い分けは絶対に通用するものではありません。
 総理の発言は、全ての公務員に憲法を尊重し擁護する義務を課した憲法九十九条に反する、憲法違反の発言と言わねばなりません。
 総理は、九条一項、二項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込むと述べています。これは、単に存在する自衛隊を憲法上追認することにとどまりません。文字どおり、無制限の海外での武力行使を可能にすることになります。
 政府は、自衛隊を合憲としたものの、九条二項の制約から、それを、自衛のための必要最小限度の実力組織であって、戦力に当たらないと説明してきました。戦力に当たらないことを建前としたため、海外派兵、集団的自衛権行使、国連軍への参加はできないとしてきました。
 安保法制、戦争法によって、集団的自衛権行使の大きな穴があけられましたが、それでも政府は、それを限定的だと説明し、武力行使を目的にした海外派兵はできないという建前を続けざるを得ませんでした。
 九条二項は、安保法制、戦争法をも縛る力となって働いているのであります。
 ところが、別の項目を立てて自衛隊が明記されたら、どうなるでしょうか。たとえ九条二項が残されたとしても、それが死文化、空文化されてしまいます。なぜなら、別の項目で自衛隊の存在理由が書かれれば、それがひとり歩きし、自衛隊の役割はとめどもなく拡大することは避けられないからです。それが、安保法制、戦争法を合憲化するだけでなく、この法制のもとでもできないとされてきた集団的自衛権の全面的行使、武力行使を目的にした海外派兵を可能にすることになることは明らかではないでしょうか。
 国民の目、耳、口を塞ぐ秘密保護法、物言えぬ監視社会をつくる共謀罪、安保法制、戦争法に続く憲法九条改定の企て、海外で戦争する国への暴走をこれ以上続けさせるわけにはいきません。安倍政権を一刻も早く打倒しなければなりません。
 野党四党は、六月八日の党首会談で、安倍政権のもとでの憲法九条改悪に反対することを確認しました。憲法に対する野党の立場には違いもありますが、立憲主義を平気で壊す安倍政権に憲法を変える資格はない、この一点で野党はかたく結束しています。来るべき総選挙で野党と市民の共闘を必ずや成功させ、安倍政権を打ち倒し、憲法が生きる新しい政治をつくるために全力を挙げる決意を表明して、私の賛成討論といたします。(拍手)

発言情報

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発言者: 志位和夫

speaker_id: 1300

日付: 2017-06-15

院: 衆議院

会議名: 本会議