サーラ・スヴェンの発言 (国際経済・外交に関する調査会)

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○参考人(サーラ・スヴェン君) ありがとうございました。御紹介にあずかりましたサーラです。
 今日は、ドイツの政治財団の制度とその活動について紹介し、特に私が関わっているフリードリヒ・エーベルト財団という組織を紹介し、特に国際交流事業を紹介したいと思います。
 皆様の手元にあるパワーポイント資料に沿ってお話進めさせていただきたいと思います。このカラー印刷で皆様に配付されているものです。よろしくお願いします。
 ドイツの政治財団の中でフリードリヒ・エーベルト財団は唯一戦前にルーツがある財団です。一九二五年に初代ワイマール共和国大統領のフリードリヒ・エーベルトが亡くなった後に設立されました。一九三〇年代のナチス支配下に一度解散させられましたが、戦後直後再建されました。
 ワイマール共和国は民主主義者のいない民主主義体制だったので失敗したという歴史認識を踏まえて、戦後において、民主主義の重要性について啓発活動を行い、成熟した自立している民主主義者を養成することを目的として政治財団が設立されました。この歴史的背景と戦後の財団の目的について、各政党が共通認識を持ち、一党を超えて幅広いコンセンサスになっております。そのために、現在はドイツの六つの政党それぞれに一つの政治財団があります。最も大きいのは、キリスト教民主連合に近いコンラート・アデナウアー財団と、ドイツ社民党に近いフリードリヒ・エーベルト財団です。
 今日は、特にドイツの外交との関連において政治財団はどのような役割を果たしているかについて説明したいと思いますが、その前に、エーベルト財団の活動の全体像を簡単に紹介したいと思います。その際、エーベルト財団は一例でありますが、そのほかの財団も同様な活動を行っています。
 財団の活動は主に四つの分野に分けることができます。これは配付資料の三ページにあります。
 一番目は、国内向けの政治教育です。
 さっき言いましたように、ドイツのワイマール共和国が民主主義者がいなかったために失敗したのではないかという歴史認識に立って、戦後ドイツの政治財団は政治教育を行っています。エーベルト財団の場合は、ドイツの主要都市の十二の拠点の下で、財団が民主主義に関する啓発活動を行い、考える市民を養成し市民の政治への参加を促す、そして民主主義に対する理解力を深めることを目指しています。
 その具体的な手段と対象、そして活動の効果ですが、パワーポイント資料の六ページにありますように、一般市民向けの講演会等、公開セミナー、シンポジウムを企画したり、市民社会のネットワークを深化させるイベントを開催したり、そして、主に学者を対象とする学術的会議、学問的な会議を企画しています。その数ですが、二〇一五年一年間に、ドイツ国内だけに二千六百回のイベントを行いました。
 さらには、このイベント開催以外には、刊行物を出版したり、ウエブサイトで情報を提供しています。二〇一五年一年間に一千件以上の出版物を出しております。ウエブサイトへのアクセス数ですが、ドイツ国内、本部のウエブサイトだけで月五百万回のヒットに達しております。
 二番目の活動領域は、研究とコンサルティングです。
 これは財団のシンクタンク的な機能を指している領域です。具体的には資料の八ページにありますが、近年は、特に重点的に研究されているテーマは経済政策、社会福祉問題、そして特にここ二、三年間重要性を増しているのは移民政策に関する研究、そして右翼台頭に対する対抗策であります。これらのテーマは、財団員が研究して、政治と政治家に対して提言をしたりしています。
 三番目の活動領域は、学生の支援です。
 やはり民主主義を養成するという目的で、特に若者に対する啓発が重要視されますので、大学生の奨学金制度を設けています。二〇一五年の時点で三千人弱の大学生に奨学金を給付しています。なお、中学校、高等学校で主権者教育を行う活動も支援しております。
 次は、財団の国際対話事業を紹介したいと思います。
 資料の十二ページにエーベルト財団の組織図がありますが、組織的には国際対話事業は二つの課で推進されています。一つは国際開発協力課、もう一つは国際対話部でございます。
 十三ページですが、国際開発協力課は、主に中南米、アフリカ、南アジアと東南アジアという範囲で活動しています。これらの諸国において、政治、経済界、労働組合、学界、メディア、文化施設などと交流を促し、シンポジウムを開催したり、技術とノウハウを提供したり、教育を支援しています。一部の国において紛争解決というところにも取り組んでいるところがあります。その代表例はアフガニスタンです。今でもエーベルト財団がアフガニスタンに事務所を持って、紛争解決の議論を促しております。
 次は国際対話課なんですけれども、その国際対話課の行動範囲はいわゆる産業国でありまして、北米、欧州、そして日本となっております。これらの国では、ドイツと相手国の社会と政治が共有する問題を議論し、安全保障に関する議論を推進し、相手国に関する情報をドイツに発信することが主な仕事になっております。この情報発信という研究成果ということは、またドイツの国民のために世界情勢に関する重要な情報源になっております。もちろん、必要に応じてドイツに関する情報を相手国に紹介することもあります。
 この国際協力部の下で、世界百か国以上の国と地域にエーベルト財団の事務所があり、国際交流が行われています。パワーポイント資料の十五ページにその海外事務所を示す地図が載っておりますので、併せて御参照ください。
 フリードリヒ・エーベルト財団において国際協力の重要さは財団の予算からも簡単に分かります。国内の活動よりも国際的な活動は大きな位置を占めて、大きな予算が割り当てられているのが資料の十六ページのグラフで明らかになっております。国際事業は明らかに最も大きな財団内の事業になっています。
 これは二〇一四年の数字ですが、二〇一四年に海外との交流の予算だけは八千二百万ユーロに達しておりました。約百億円になっております。このような予算を使って、幅広い活動と世界中の市民団体、研究者、研究団体そして政治家を取り巻く交流は可能になっております。
 次は十八ページですが、東京事務所の紹介ですが、東京事務所はエーベルト財団の海外事務所ネットワークの中では規模の小さいものではありますが、既に五十年前に設立されて、それ以来、継続的に活動しています。東京事務所においては、主に日本とドイツの社会が共有している問題に取り組んでいます。パワーポイント資料の十八ページにありますように、現在の重点テーマがここにリストアップされていますが、ここ数年間は主に日独の人口動態の変化と高齢化社会、移民政策と移民の社会的統合、エネルギー安全保障とエネルギー政策、そして東アジアと欧州における地域統合というテーマに取り組んでいます。一例を挙げると、ちょうど二か月前に、日本国際交流センターという団体との共催で、人口動態の変化とグローバルな人の移動という国際シンポジウムを開催し、日本とドイツの移民政策を議論しました。
 今年は東京事務所の五十周年に当たって、フリードリヒ・エーベルト財団東京事務所の五十周年という冊子を作成しましたが、この冊子も皆さんのお手元に配付されています。この冊子の中にまたFES東京がここ五十年行ってきたシンポジウムとかの詳細もリストアップされていますので、また時間がありましたら御参照ください。
 次は財団の予算の問題ですが、冊子ではなくてパワーポイント資料の十九ページにあるように、ドイツの政治財団の予算は基本的には国から出ています。国から出ているということは、すなわち納税者の税金を利用して仕事をしています。十九ページは二〇一四年度のフリードリヒ・エーベルト財団の財源を示すものでありますので、ここでほとんどの予算が連邦省庁から出てくることが明らかになっております。
 予算が省庁から出てきますが、研究しているテーマとか内容について全ての財団が自由に仕事しておりますが、財源である省庁に対して説明責任と報告責任を負いまして、さらに、経理に関して連邦行政庁に定期的に監査を受けます。パワーポイント資料の二十、二十一ページです。
 ドイツの政治財団について、政党との関係についてよく聞かれます。基本的には、今説明したように予算は国、納税者から出ますので、政党から一切お金が出ません。そのために、財団は公益のために働き、政党のために働くことはできません。なお、ワーキングレベルにおいても、政党との関係が求められておりませんが、理事会のレベルでは、各政党からその理事会のメンバーが選出されますので、そこが重要な接触点になっております。
 つまり、全体的に、党の直接影響は極めて限定的ですが、各政党に一つの財団がありますので、当然ながら、どの財団がどの政党と協力関係を持つかは明らかになっております。一方、特に海外活動において、二つ以上の財団が協力することも決して珍しいことではありません。全体的に競争よりも協力を重視しております。
 次は、財団の活動と国会、政府との関係について説明したいと思います。
 政治に関する全ての決定権はやはり、先ほど川口先生からも説明があったように、国会にありますので、政治的なシンクタンクである政治財団が議員に専門的知識を提供し、議会と省庁による政策決定プロセスをサポートすることは、重要な仕事であります。
 外交に関しては、財団は、政府の外交を補う、いわゆる民間外交という形で取っておりまして、海外におけるドイツのイメージをより多様化させ、正式外交が必ずしもカバーできない交流を促進しています。
 海外事務所の予算は外務省、経済協力省から出るので、省庁との協力関係は不可欠であります。現場において、在外ドイツ大使館と財団の現地事務局も非常に密接に連携して活動しております。例えば、ドイツから国会議員が来日する際には、財団の現地事務局が例えば日本側の議員との会談の場を設けたり、議員が参加するシンポジウムを企画しております。日本の場合は、例えば言論NPOという組織との共催で開催したシンポジウムで川口先生も出ていただいたこともあります。
 全体としては、現代社会には多数のステークホルダーが存在し、政策に影響を与えるべくそれぞれの正当性を主張しています。その中で政治財団は、多元主義的な政治と外交に貢献し、多元主義的な社会的組織形成を促進し、民主主義の発展を深めることに尽力することを根本的な理念にし、活動を行っております。
 このようなドイツの政治財団の活動は、国際的にも高く評価されています。このフリードリヒ・エーベルト財団東京事務所設立五十周年の冊子の四十五ページを見ていただくと、アメリカの研究所が作成した世界のシンクタンクのランキングが掲載されています。その総合ランキングには、ドイツの二つの大きな政治財団であるコンラート・アデナウアー財団とフリードリヒ・エーベルト財団は十六位と十七位でランクインしています。
 その次の四十六ページにシンクタンクネットワークというランキングがありますが、そこはやはり海外事務所が多いために、コンラート・アデナウアー財団は一位、フリードリヒ・エーベルト財団は二位に入っており、特にやっぱりその世界的な事務所ネットワークの高い評価がうかがえます。
 これで私の説明は終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。

発言情報

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発言者: サーラ・スヴェン

speaker_id: 30026

日付: 2017-04-12

院: 参議院

会議名: 国際経済・外交に関する調査会