日比野克彦の発言 (国民生活・経済に関する調査会)
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○参考人(日比野克彦君) いわゆる今障害を持った方々が収入を得ようと思うと、職業訓練をして、就労施設に行って、一般よりかは随分少ない金額でというのが現状であるかと思いますけれども、いわゆる単純作業をやるとかということではなくて、このTURNが今目指しているところというのは、彼らの働いている施設なり、そして利用している施設なりを文化施設にならないかというちょっと実験的な試みです。
我々が美術館に行くときに、やはり日常にない価値観をそこに見付けに行くことによって、自分の日常に持ち帰ったときに自分の価値観が広がっていったりとか、新たな視点がそこに生まれたりとか、物の見方が変わっていくというのがあるかと思うんですけれども、そういうようにして、大地の芸術祭とか瀬戸内にも行きます。
同じように、日常の中に自分の地域にある違う価値観を持っているものとして、障害者の施設とか就労施設に行くことができないだろうか。それは今の状態では行けないんですけれども、アーティストがメディアになることによって、そこで行われていることを、そこで過ごしていることを、そこで過ごして利用している方々の行いなり人柄なり行為なりをアートとして見立てて、先ほどの例えばタオルの糸を紡ぎ出すようなことも、普通はそれは何の意味もないものだけれども、そこに価値を見出すということがアートにはあるんですね。違う価値観をそこに見出すことができる。
そうすることによって、今までそこはただ単なる障害者の福祉施設でしたねということでなくて、そこが地域にとっては新しい価値観を体験させてくれるところであったりとか、多様性というものを体感させてくれるという文化的な施設にすることによって、行政なりがそこにちゃんと文化的な投資をできる。美術館とか音楽ホールに年間予算、企画予算を投資して地域の文化を高めるように、障害者施設とか地域のいろいろな就労施設にそういう文化予算を、地域に対して文化を高めるという施設として予算を投資することによって、そこで働いている人、そこで利用している人たちの収入になっていくことができないだろうかという考え方が一つあります。