岩間剛一の発言 (資源エネルギーに関する調査会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○参考人(岩間剛一君) 今、上月先生の方から御質問のあった点に関してなんですけれども、まず、米国のシェールガス革命をどう生かしていくかということでいうと、一つの答えとしては、実は二〇一七年の一月からシェールガスを原料としたLNGの輸入が日本に始まっているわけなんですね。そういう意味で、日本では、例えば中部電力さんと大阪ガスさんがフリーポートで、これはテキサス州なんですけれども、あとルイジアナ州なんですけれども、米国でLNGの実際のところはプロジェクトに参画をしています。シェールガスを原料としたLNGの開発というものに日本企業が参画をし、そのLNGを、パナマ運河の拡張工事が完成していますので、二〇一六年にですね、そこを通過する形で入ってくるという形で実際に、ですから、米国のシェールガス革命というものを日本で生かすという、そういったやり方をまず第一に取っています。
これは非常に大きな意味を持っていまして、なぜかといいますと、やや専門的なお話になりますけれども、日本の場合は、従来は、LNG、液化天然ガスというのは、これは日本では今発電の大体四割に使っています。特に、東日本大震災以降、原子力発電所の再稼働が不透明な中において、ミドル電源であるLNG火力を最大限活用することによって実際に停電というものを回避してきているわけなんですね。
ただ、このLNGというのは、基本的には長期契約が八割あります。この長期契約は、原油価格連動ということで、LNGの需給関係に関係なく価格が決められます。それからあともう一つは、仕向地条項といいまして、LNGを輸出する先が決まっているんですね。ですから、そういう意味でいうと、必ず引き取らなければいけないというような条項があるわけです。
ところが、米国のシェールガスを原料としたLNGというのは、これは米国の天然ガスの需給関係を反映したルイジアナ州のヘンリーハブという、そういった市場価格を基にして、それに液化コストと船賃を含めた形で価格が形成されています。ですから、そういう意味では、LNGの需給関係を正確に反映した価格ということで新しい価格体系になっているので、原油の乱高下に振り回されません。
それからもう一つは、仕向地条項というのがないので、実際のところは、もっと高くLNGを買ってくれるところがあれば、日本が購入をしてそれを転売することによってディーリングによっての利益を上げることができるというふうなこともあるわけなんですね。ですから、そういう意味でいうと、従来のように、カタール産とか豪州産のように固定的な、要するにリジッドなそういったLNGの契約形態からかなり変わってきているということがあって、シェールガス革命というものはそういう意味で非常に大きな意味を持っているということはあります。
それから、二番目の御質問の点に関して、確かに私もJOGMECさんの方に出向していた経験があるんですけれども、以前の、例えば、実際のところ、一つ問題があるとすると、油田の開発だけではなくこれは事業一般、ビジネス一般について言えることなんですけれども、要するに、今盛んにですからトランプ政権が介入的な資本主義というのが問題があるというふうなことを言っていますけれども、実際のところは、政策的に過度な介入を行ってしまうとイノベーションが起こりにくいというふうなことというのは、これは油田開発についても言える部分があります。
ですから、資金支援とかあるいは要するにリスクマネー、簡単に言いますと、油田の開発とか天然ガスの開発というのは、一般的に言うと中東、アフリカといったような地政学リスクが極めて高い地域で行われているわけですね。そういう意味では、民間企業だけではなかなかリスクテークができないということがありますから、JBICさんとかNEXIさんのような政策金融によってのリスク補完というのをしないと実際のところは民間企業単独ではなかなか出ていけないと、これは現実としてあります。ですから、そういう債務保証というか、あるいは貿易保険によるリスク補償、地政学リスクとかそういった紛争リスク、そういったものを実際のところは補完するということは極めて重要なことではあるわけです。
ただ、実際のところ、過去のJOGMECさんの油田の開発の問題でやや難点があったとすれば、結局のところは、要するに油田の開発が失敗してもリスクマネーの返済はしなくてもいいという形になってしまうと、どうしても油田開発においての企業の責任というものが曖昧になってしまうという問題が出てくるんですね。
ですから、そういうことでいうと、例えば米国の場合において、エクソンモービルさんとかロイヤル・ダッチ・シェルさんというのは世界で優良企業です。エクソンモービルというのは、これは二〇〇八年の純利益が四百五十二億ドルということで、これは石油産業のみならず全ての産業を通じて世界最大の利益を上げている企業はエクソンモービルです。ですから、石油企業というのは本来極めて利益を上げられる産業なんですね。ところが、日本の場合にはそうなっていないというのは何かというと、エクソンモービルさんは自分のオウンリスク、つまり自分の手金を使って自分のリスクで油田の開発を行っているので、要するに油田の目利きというものを非常にきちんとしているということとイノベーションが起こりやすいということがあるわけです。
ところが、日本の場合、過去の失敗について言われているのは、これは石油公団さんの問題が今から十五年以上前に議論されたときにも言われていることなんですけれども、その油田の開発が失敗しても、そうすると、リスクマネーは返済しなくていいということになってしまうと、要するに経営責任が曖昧になってしまうんですね。結局のところは、そうするとリスクテークに対しての責任が不明確になってしまって、きちんとしたイノベーションが起こらないというふうなことがあるわけです。
ですから、そういった意味で、政府による要するに支援というものと過度な介入というものとの区別というのは非常に難しいんですけれども、そういうところでの配慮というものが実際のところは必要であるというふうなことが言えると思います。
ですから、そういう意味では、ちなみにまだ時間があるのでもう少し私の意見を言わせていただくと、実際のところは、米国でなぜシェールガス革命が起こったかというのは、これは米国のやっぱり基本的にアニマルスピリットが非常に大きいということがあると思います。
というのはどういうことかといいますと、米国は先ほども申し上げたように三千社から四千社の企業があります。実際に、これはほとんど米国の場合は政府と関係ない完全な私企業なんですね。その私企業が、結局のところは自分たちのイノベーションによって実際のところはシェールガス革命に成功しているわけです。
米国においてのシェールガス革命の理由について話すとちょっと一時間ぐらい掛かってしまうのでとてもこの時間では説明できないんですけれども、簡単にお話をすると、米国がまず百五十年の石油産業の歴史を持っていること、あと、米国においては実際のところシュルンベルジェを始めとして石油サービスカンパニーという石油技術を提供する会社を非常にたくさん持っているということ、それからあと、アニマルスピリットを持っている要するにベンチャー企業がいっぱいあって、そういった企業は従来の在来型の油田で使われていた水圧破砕、フラクチャリング、それから水平掘削、ホリゾンタルウエル、そういったような既存の技術というものを精緻に組み合わせるというイノベーションを使うことによってシェールガス革命が成功しているわけです。
そういう点からいうと、日本においては、そういった百五十年の石油産業の歴史も、それからあと、実際に日本全体をくまなくそういったような形で縦断したような形の多数の石油開発企業のベンチャー企業もありませんし、そういった意味での日本での状況というのはかなりですから違うということがあって、そういうところで日本の民間企業のイノベーションをどう生かしていくかということが非常に重要だというふうに私は考えています。
以上です。