歌川学の発言 (資源エネルギーに関する調査会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○参考人(歌川学君) 産業技術総合研究所の歌川です。よろしくお願いいたします。
またエネルギーに戻りまして、省エネがどういう大きな意義を持っているのか、説明をさせていただきます。豊田先生、中上先生が説明したところは省きながら説明をしたいと思います。(資料映写)
まず、省エネ、私、技術屋ですので、こんないい技術が工場で出荷を待っているので、どんどん普及をしたら大変大きな意義がある、効果があると思うんですけれども、省エネは、現場で我慢するものだという、そういうちょっと誤解がございます。現場の行動、大事なんですけれども、これだけに頼りますと、模式的なグラフ描かせていただきましたけれども、省エネ行動だけですと、省エネ行動の積み重ねというのはなかなかそんなにうまい具合にいかないところがあります。無理をしてしまうと、だんだん我慢がきつくなって、現状維持が難しくなる。
それに対して、省エネの設備更新をすると、一年目はLEDの改修をして、二年目に空調をしてというふうに積み重ねができて、それが、その対策効果をずっと継続ができるということで、こうした行動、こうした設備投資をどんどんやっていくことで全体の効率を上げていくと、それにプラスして省エネ行動も生きて、全体として大きな削減ができると期待できるということです。
省エネ対策の利点で、釈迦に説法で恐縮ですが、環境保全とエネルギー安定供給と経済とで大きな意義、効果があります。
温暖化防止、豊田先生紹介されていましたが、まず、科学の要請で、これからの気候変動、非常に厳しいものがあるので、化石燃料消費を大幅に削減をしないと異常気象ですとか生態系の破壊ですとか大きな悪影響があるんですが、これを防止する、あるいは緩和、その悪影響を小さくしていくために温室効果ガスを大きく削減をしなければいけないと。
これを、この科学レポートを国際政治が受け止めて、パリ協定で大変厳しい全体目標、気温上昇を産業革命前から二度に抑えよう、努力目標として一・五度にしよう、今世紀後半に人為的な温室効果ガス排出量をゼロにしようと、そんなことが話し合われて、全体目標としては出てきています。
そうすると、今見付かっている化石燃料の資源どれぐらい使えるのかということをいろんな機関が試算をして、IEA、国際エネルギー機関の試算でも、今見付かっている分、石炭が百年、石油、天然ガス五十年分ぐらいあると思いますが、それの三分の一ぐらいしか使えないと。さらに、カーボントラッカー、もっと厳しい数字を出しているところだと、全体の五分の一しか使えないのではないかという、そういう厳しいことが言われています。そうした環境制約を考えながら私たちはエネルギーの使用を考えていかなければいけないということです。
次が、大気汚染の防止と有害物質、これは化石燃料の消費、公害やいろんな有害物質の排出がございます。省エネをすれば当然こうしたものを削減できますし、また、省エネをうまくやることによって環境負荷の大きな資源から減らしていくと、そういう工夫もできると思います。
安定供給は、海外依存度の低下、こうしたことを、省エネをうまくすることによって大きく寄与することができるということですね。
あと、経済を三つ書きました。企業や家庭で光熱費を大きく削減して、省エネをすれば当然光熱費削減されるわけですけれども、設備投資が掛かります。多くの対策の場合には設備投資費も光熱費で回収ができます。エネルギーを使う側にこうしたメリットがあるということです。
今度、この省エネ設備投資をするということは、これを受ける産業がございます。この産業は需要が拡大します。省エネ工事を受注するような建設業ですとか機械産業ですとか関連サービス業などで大きな需要が拡大するということです。
これらを全体、トータルにして化石燃料の輸入費、今石油の値段下がっていますけど、石油の値段下がる前は年間で二十五兆円、高い年は二十八兆円、国民一人当たり年間二十万円を毎年毎年石炭、石油、天然ガスの輸入に費やしてきました。大変もったいないことです。こうしたことを大きく削減して、国外に流出しているこういう燃料費を、国内にお金の流れを取り戻すという、そういう大きなメリットがあるということです。
では、そうした省エネ、どういうことが考えられるかで、象徴的なところで、これは中上先生の審議会の資料ですけれども、日本の工場、石油危機以来、大きな省エネ対策をしたんですが、八〇年代に大々的に省エネ設備投資をして、それが少々老朽化して傷んでいるところがございます。それによって、このように断熱をきちんとしていたはずの配管が傷んで、ここからエネルギーロスが生じているというようなことがあります。こうしたことを点検をして、確実に防止をして省エネ対策を取っていかないと大変もったいないことになるということです。
日本の省エネの可能性といいますか、日本のエネルギー、実は三分の一しか有効に使えていなくて、三分の二は残念ながら廃熱などでロスをしてしまっているということです。この三分の二のロスは、完全には今の技術でゼロにはできませんけれども、いろんな省エネ技術を導入していくことによってこれを大きく削減することができるということです。
では、そうしたことがこれまで行われてきたかどうかですが、このグラフ、縦軸はエネルギー効率、製造業ですと生産量当たりのエネルギー、オフィスなどですと床面積当たりのエネルギー、あと車ですと輸送量当たりのエネルギー、こうしたものが九〇年に比べて良くなっていれば一より下に、つまり下に来ていて、一より上に来ているということは効率が悪くなっているということになります。
二〇一〇年までを見ますと、製造業でも運輸の旅客でも貨物でも、業務部門というのがオフィスなどです、あと家庭などでも余り効率改善が進んでいない。あと、運輸旅客については大きく効率が悪化してしまっているということがありました。二〇一一年以降、大きく省エネモードに転換をして効率が大きく改善をしています。
エネルギー総量も、二〇一〇年から見ますと、あの東日本大震災、原発事故を契機にだと思いますけれども、一〇%ほど下がってきているという、大きくモードが転換をしたということです。
では、どういう対策がこれから可能性があるのか、それを示唆するような過去の事例を見てみますと、西日本の工業都市で調査された環境省の補助事業で、ここでは四〇%削減という大きな削減値が出て報告されていました。これ、高い対策をいっぱいやったのではないかというふうに見られますけれども、全体で投資回収年が四年程度という非常に費用対効果もいいようなことでこれだけ大きな削減ができたということです。
次に、環境省の自主参加型の排出量取引、これ、取引をやっていたのではなくて、一部ありますけれども、省エネ設備投資補助も出ていて、ほとんどは自社で削減をしていたということで、これがやはり三〇%近い削減が参加工場で得られたということです。
あと、東京都が排出量取引制度を導入して、取引制度といっても、ここも取引自体は非常に制約があるような制度で、ほとんど自社で削減をされていると。これで、参加しているところの平均で、二〇一五年に基準年から二六%削減が得られて、ほとんど省エネでされているということです。
あと、ESCO事業、これは省エネサービス産業の取組ですが、オフィス系で設備更新を伴うような工事をやったところが二〇%削減、あと、工場では少し率が落ちますけれども、やはり設備更新を伴うところでは一六%削減で、いずれも結構大きな削減が過去に得られていて、それが結構日本の工場やオフィス、サービス業施設などでも可能性がありそうだということが分かります。
そうしたことの見分けとして、床面積当たりのエネルギーや床面積当たりのCO2が、同じ業種、業種が違いますと、オフィスと病院では当然病院の方がたくさんエネルギー使いますけれども、同じオフィスで比べてもどうも大きく差があるということが限られたデータですが分かってきます。
これは東京都の民間オフィスの例で、エネルギーのデータがちゃんと得られなかったのでCO2で見てみますけれども、山の中心のところに比べると、その二倍、三倍もエネルギーを使ってCO2を出しているような、そういうビルが結構あるということが分かりました。
こういうエネルギーをたくさん使ってCO2を出しているところは、別にそこの従業員がだらしないわけではなくて、そこの例えば照明器具が旧型であるとか空調設備が旧型である、あるいは断熱性能が悪い、そういうことでよそよりも二倍も三倍もエネルギーを使ってしまっていると、そういうことになっているということが考えられます。ですから、こうしたところが自社の点検をして、どういう省エネ設備を入れたらいいのかということを点検をして実際に行動に移していくと、順番にこうした行動をやっていくと、全体として大きな削減になるということが考えられます。
東京都はデータが公開されているのでこうしたことができるんですけれども、こうした整理をしていくと、各企業の経営者やエネルギーの担当の責任者の方が、自分の会社は一体、同業他社に比べてどうだろう、よそと比べてどうかという立ち位置を確認することができるので非常に自社の対策を立てやすい、そうしたことが考えられると思います。
今後の省エネ対策の模式図として、これまで省エネ法で毎年一%の効率改善が示されて、それに基づいて多くの大きな事業所では対策をやってきたと思いますが、この絵のように、よその二倍、三倍エネルギーを使っているようなところがあるとすると、そういうところは一%効率改善ではなかなか済まなくて、よそに追い付き追い越すような、そういう省エネ設備投資をやっていく、そういう可能性があるということです。それは、その会社にも、よその三倍もエネルギーを使っている、それだけ余計に使って、同業他社に対して光熱費で負けているようなところがありますので、いかに費用効果的なもので省エネ対策をやって追い付いていくかというようなことが課題になると思います。
業種別の省エネ可能性、幾つかのデータで、どれぐらいできるのかというのを示唆するような数字があります。ここに発電所は書いていないんですけれども、例えば火力発電所ですと、ここ二十年ぐらいで天然ガス火力発電所の効率向上、大変著しいものがあります。一九九〇年ぐらいまでですと発電効率四〇%以下、つまり一〇〇の燃料を使っても四〇しか電気にならない、そういう発電所が多かったわけですが、その後、八〇年代の終わりぐらいから、ガスタービンと蒸気タービン、二段階の発電をすることによって、今の最高ですと発電効率五四%、一〇〇の燃料を入れて五四が電気になると、そうした発電所まで成長してきています。そうしますと、同じ発電量でも燃料消費量が二五%から三〇%削減ができるという、今、LNG価格が安いところでも百万キロワットで大体百億円から百三十億円ぐらいは節約ができるような、そういう優秀な発電所ができてきています。
次に、素材製造業、鉄ですとかセメント、化学、紙パルプなど、こういうところはエネルギーをたくさん使ってエネルギーコストもたくさん掛けていたので、それなりに対策はやってきたところですけれども、省エネ法のベンチマークと経済産業省の制度で業種平均と優良事業者との比較ができるようになりました。そうしますと、その差が製鉄業でも九%程度、もっと大きな差があるところがあります。仮に全体が、全部の工場がいくか分かりませんけれども、全体の平均が今の優良事業者レベルになるとこうした大きな削減がどうも既存の技術でできそうだというようなことが示唆されます。
右側はオフィスなどでの削減なんですが、二段になっていますが、東京都の制度では基準年から二〇一四年までに平均で二六%も総量の削減ができて、効率も一六%から三〇%ぐらい改善をしているんですけれども、これでもう省エネ余地はないのかと見ますと、そうした削減をした後でも、平均レベルと優良レベル、ここでは上位一五%、偏差値でいいますと偏差値六十のレベル、その偏差値六十のレベルの事業所の効率を比較すると、まだまだ、一六%から大きな業種ですと半分になるような、そういう可能性があるということです。そうした可能性がこの効率を見ることによって示唆されますので、こうしたことはもっと広く情報提供されると、こうした事業者の経営者に非常に有力な判断材料になると見られます。
研究ではどんな数字が出ているかというのを、レビュー結果を、二〇三〇年の省エネ可能性をレビューしたところで、まあいろんな研究がありますけれども、二〇一〇年に比べて一〇%ぐらいの削減というところから大きなところですと三五%削減ぐらいまで、結構幅を持っていろんな研究があることが分かります。二〇五〇年ですとまだ研究は余りないですけれども、三〇%から四〇%ぐらいの大きな省エネが二〇一〇年からできるという、そういう研究もあることが分かりますので、そうすると、温室効果ガス、二〇五〇年、日本は八〇%削減という、そういう目標を地球温暖化対策計画で出ているんですけれども、こうしたことが省エネをこれだけ大きなことでやっていくとその前進に寄与するということになると思います。
これが、今度、経済性のところでどういうメリットがあるのかというのを見ますと、省エネはほとんどの場合、ほとんどの対策は光熱費の削減で元が取れますので、例えば三年で回収するようなLED化のような対策ですと、間、三年間、光熱費が下がった分、省エネ設備投資費の返済に充てて、四年目からはもうけになるということで、このもうけを人件費に回したり新規の投資に回したりという、いろんなことができるということです。
この費用対効果ですが、大まかな目安で、照明ですとか先ほどの断熱配管の改修ですとか、あと、モーターなどで融通が利かなくて常にフル出力になっているような、そういう古い機械がたくさんありますけれども、それを出力の調整が可能なものにして大きく省エネができるようにする、そうしたものは結構短期間で省エネ改修ができます。それに比べると、空調の更新などではもっと長い投資回収年になる。これは厳密には使い方と古い機器をよく調べてみないといけないんですけれども、こうした大まかな相場観を持っていただくと企業の方が安心して同意ができるんじゃないかと。
あと、お金の使い方、光熱費はほとんど、特に化石燃料代は海外に出てしまうのが、省エネ設備投資費やメンテナンス費ですと国内企業の取り分が非常に多くなって、うまくすると国内企業、地場産業でこうしたことができるということです。地元の雇用に大きく寄与する可能性があります。
経済発展で、これはGDPを成長させながらエネルギーを減らしている例です。日本ですと二〇一〇年以降そういう傾向が見られて、ヨーロッパの国はそれより前からそういう傾向が見られるということです。逆に、そういう成長が可能だということでもあります。
地域からの光熱費で、都道府県で数千億から二兆円ぐらいの光熱費の支出があって、恐らくほとんど都道府県の外に流出していると思います。これを省エネあるいは再生可能エネルギーで投資をして光熱費を減らして、その減らした分を県内の建築業ですとか機械産業などに回すことができれば、地域で省エネを達成して、かつ地場産業振興になるということです。その規模は結構大きな規模で、産業連関表でざっと計算すると数千人から数万人の雇用増になる可能性があります。
全国で対策の雇用がどれぐらい増えるかで、二〇二〇年あるいは二〇三〇年の対策試算で百六十万人から二百万人ぐらいの、これ、省エネだけでなくて温暖化対策などで再生可能エネルギー産業なども入っていますが、それぐらい大きな試算があります。
対策を更に進めるために、公的、中立な情報を出すですとか、あと相談窓口ができる、あるいは省エネの専門家の情報を提供する、いろんな施策が考えられると思いますので、そろそろ時間だと思いますので、こうした情報提供、寄与をすることによって企業あるいは地域での省エネを進めて、それが地場産業の振興や地域の雇用増加にもなるという、非常においしいメリットにもなり得るということで、省エネ対策の意義、効果などについて紹介をさせていただきました。
時間超過して申し訳ありませんでした。