佐藤正久の発言 (政府開発援助等に関する特別委員会)
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○佐藤正久君 ODA調査派遣第一班について御報告いたします。
当班は、本年一月十日から二十日までの十一日間、アンゴラ共和国、南アフリカ共和国、マラウイ共和国及びモーリシャス共和国の四か国に派遣されました。今回の派遣先決定に当たっては、我が国にとって外交上重要であると考えられる国の中で、参議院派遣団の訪問実績のない国を優先しております。
派遣議員は、堀井巌議員、杉尾秀哉議員、そして私、団長を務めました佐藤正久の三名でございます。
本日は、調査を通じて得られました所見を中心に、その概要を御報告いたします。
まず、アンゴラについて申し上げます。
第一の所見として、日本の特徴を生かしたきめ細やかな支援の必要性を指摘したいと思います。
今回、当班では、ヴィアナ職業訓練センター、ジョシナ・マシェル病院の二か所を視察しました。
ヴィアナ職業訓練センターは、インフラ整備のための人材の育成を進めている施設であり、石油依存体質からの脱却を図り経済の多角的発展を目指すアンゴラにとりまして重要な役割を担っています。これまで施設、機材等の量的拡充を中心に支援を行ってまいりましたが、今後は、質的充実を目指し人材の高度化に対応するため、能力強化プロジェクトを実施し、ブラジルの専門家の協力を得て、より高度な指導を行うこととしております。
ジョシナ・マシェル病院は、アンゴラで最大規模の総合病院であり、我が国から複数回にわたり機材を供与してきました。機材は日常的に使用されており、コストパフォーマンスに優れた支援となっておりますが、一部の機材では老朽化が目立ち、故障等で利用できなくなっているものも見受けられました。また、同病院には日本人スタッフが不在でしたが、今後要請があれば人的、技術的支援も考えられるところであります。
また、アンゴラでは、内戦終了後十五年を経過した現在もなお多数の地雷が埋設され、経済復興や民生安定の妨げとなっていることから、NPOであるJMAS、日本地雷処理を支援する会が、地雷除去だけではなくインフラ整備や子供たちへの教育を行っています。JMASの活動は本年五月での終了が予定されているため、その後の継続支援の在り方を考える必要があります。
以上、いずれの支援も、現地の要請に応じて、魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えるという手法、すなわち、将来の成長、発展につながる適切な方法で支援が行われています。今後とも我が国らしい創意工夫を通じ、成長段階に応じて、将来の発展につながるきめ細やかな支援を継続することが望まれます。
アンゴラについて付言すると、現在、同国には青年海外協力隊員が派遣されていません。派遣のための技術協力協定が早期に締結されるとともに、隊員の派遣等を通じて我が国のプレゼンスが高まることを期待しています。
次に、南アフリカ共和国について申し上げます。
南アフリカ共和国は、アフリカ唯一のG20参加国であり、既に一定水準以上の経済発展を達成しているため、利用可能な無償資金協力は限定的です。また、今回の訪問でお会いした閣僚や国会議員には、有償資金協力など制約が伴う制度の利用よりも、技術協力等を通じた人的支援や企業の進出による直接投資の増加を求める声が強い上に、今後の成長モデルとして日本の長所を積極的に学びたいという姿勢がうかがえました。
したがって、今後の南アフリカ共和国との関係は、共にG20の参加国としての水平関係を基調としつつ、経済、技術分野における世界有数の先進国として的確な助言を行い、同国が中所得国のわなに陥らず順調に成長、発展を遂げるよう協力することが適切と考えます。
今回の訪問では、ケープタウン市子供病院を視察しました。同病院は二〇一四年度の草の根支援として七百五十万円相当の機材の無償供与を行った施設ですが、不可欠な機材としていずれも日常的に利用されていました。また、研修医として同病院に派遣されている日本人医師からは、珍しい臨床事例を豊富に経験することができるという話がありました。同国との人的交流を進めることで我が国では得ることができない貴重な経験をすることが可能であり、我が国にとっても意義があると考えられます。
次に、マラウイについて申し上げます。
マラウイについては、将来を見据えた支援の在り方を考える必要があります。
マラウイは、我が国から青年海外協力隊員が既に千七百名以上も派遣されており、全世界でも一、二を争う実績のある派遣先国となっています。
我が国は、マラウイに対して有償資金協力及び無償資金協力を合わせて約一千億円の支援を二〇一四年度までに行ってまいりました。しかし、二〇〇六年度に円借款の債務免除を実施するなど、同国の経済財政状況は悪く、近年では干ばつが発生するなど、アフリカでも最低レベルの生活水準にとどまっています。
今回、当班は、マラウイの第二の都市であるブランタイヤ市から首都のリロングウェ市まで自動車で一日掛けて移動しながら、我が国のODAの実施状況を視察いたしました。
ブランタイヤ市では幹線道路の整備状況を視察しました。我が国の約三十億円の無償資金協力により、輸送時間の短縮と渋滞の解消及び維持管理費用の削減に寄与している現場を確認しました。
次に、マラウイ国道三号線にあるマンゴチ橋を視察しました。我が国の約十四億円の無償資金協力により木造一車線からアスファルト敷設二車線に架け替えられており、同国の経済活性化に寄与しているとのことでした。なお、同橋梁建設の際の銘板が喪失しており、早急に復旧するように求めたところ、マラウイ政府により三月二十五日に再設置されたと聞いております。
さらに、マンゴチ県ナンクンバ村にあるゾコマ・ハニー・グループによる蜂蜜生産を視察しました。JICAによる一村一品運動活動支援を受けて村全体で蜂蜜生産に取り組んでいるものであります。試食いたしましたところ、バオバブの花粉から取られた蜂蜜は大変高品質でありました。
翌日はリロングウェ市内を視察しました。
最初に訪問したのがムクイチ中学校です。我が国の約十一億円の無償資金協力により、設備、機材の整備が行われました。日本人青年海外協力隊員が担当する理科の授業を拝見しましたが、生徒は全員が意欲的に取り組み、教育レベルも高いと感じました。
次に訪問したのがカムズ国際空港です。同空港は我が国からの円借款等の資金により整備され、一九八二年に開港されました。近年利用者数が増加し、ターミナルビルの拡張など設備増強が喫緊の課題となっています。また、同空港の航空保安機材についても国際基準から逸脱し改善勧告を受けていました。保安機材については、約八億円の無償資金協力が行われ、空港整備には二〇一九年までに約三十七億円の無償資金協力が行われることとなっています。今回の視察では、機材が整備、活用され国際基準達成が見込まれることや、今後の空港の整備計画について現場で説明を受け、確認しました。
最後に、空港に隣接する航空学校を訪問しました。JICAを通じて航空管制人材育成プロジェクトによる技術協力が実施されており、供与されたシミュレーターを用いた授業の様子を視察しました。
以上の視察結果を踏まえて、当班が考える今後のマラウイへの支援の方向性は次のとおりです。
第一に、主要産業である農業の生産性向上のためにかんがい施設の整備が必要となります。特に、電力インフラであるダムの整備が理想です。
第二に、道路、空港などのインフラ整備は極めて重要です。今後とも要請に応じて我が国から質の高い支援を行っていく必要があります。
第三に、一村一品運動はJICAの支援を通じて着実に成果を上げており、マラウイの農工業製品の付加価値を高めています。今後は、民間の専門家の知恵を生かして販路開拓を進め、生産規模を拡大することが課題です。
第四に、全ての産業の発展に必要なのは人材の質の向上です。教育面では、教育専門家の派遣、日本への留学制度の活用が考えられます。
最後に、青年海外協力隊については、志の高い隊員も多く、現地での評価が大変高いのが印象的でした。隊員の将来の勤務先を考える際に国際機関職員へのキャリアパスを整備することも検討の余地があると考えます。
最後の訪問国としてモーリシャスについて申し上げます。
モーリシャスは一人当たりGDPが九千二百十八ドルの高中所得国であり、我が国の協力分野は限られています。一方、小島嶼国連合等で中心的な役割を果たすことから、我が国の外交戦略上も重要な国であります。
今回の訪問では、島の高台にある建設中の気象レーダーサイトの視察を行いました。モーリシャスは島嶼国であり、海面上昇やサイクロン等の自然環境の影響に対して脆弱であるため我が国の気象観測における経験を活用しようとするものであり、大きな期待が寄せられていました。また、三名の閣僚と意見交換を行いましたが、いずれも我が国からのODAによる支援の継続を求めていました。ロボット、ナノテクノロジー等の高付加価値産業だけでなく、水産業でも我が国からの積極的な投資が求められました。特に、IT担当大臣からは政府職員の訪問を含むIT分野での両国間の交流強化の要望がありました。
モーリシャスの現在の経済発展の状況や将来性を考慮すると、今後は、技術協力を中心とするODA関係事業にとどまらず、観光、IT、水産等分野の民間投資を含めた二国間の協力関係を戦略的に発展させていくことが適切であると考えます。
最後になりますが、今回の派遣に当たり御協力いただきました外務省及び在外公館、JICAを始め、現地で御活躍される青年海外協力隊や日本企業の方々に心から感謝を申し上げ、報告といたします。
ありがとうございました。