平川則男の発言 (文教科学委員会)

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○参考人(平川則男君) 連合総合政策局の平川と申します。よろしくお願いいたします。
 本日は、学校教育法の一部を改正する法律案に対しまして意見を述べる機会を与えていただき、感謝申し上げたいと思います。
 それでは、連合の考え方を述べさせていただきたいというふうに考えております。
 この間、中央教育審議会の特別部会において、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度に関する議論の審議が行われておりまして、連合からも副会長が参加をして議論を深めてまいりました。その際には、連合としましては、学生や保護者に分かりやすい制度とするために大学や専門学校など既存の高等教育機関との違いを明確にすべき、二つ目には、社会人の学び直しを進めるため、有給教育休暇の制度化など生涯学習の観点から検討すべきである、三つ目には、社会人を含めまして学生の負担を軽減するために学費を低額にしていくことなどについて指摘をしてまいりました。
 今回の法律案につきましては、こういった学ぶ側の学生やその保護者、そして社会人の観点からまだまだ議論を深めていく点があるのではないかなというふうに考えておりまして、意見三点、それから要望二点について述べさせていただければというふうに考えているところであります。
 まずは意見でございます。
 そのうち一つ目でございますけれども、先ほど言いましたように、大学や専門学校など他の高等教育機関との違いの明確化でございます。法律案では、第四次産業革命の進展に伴って産業構造が変化する中、新たな価値を創造できる専門職業人材を養成するために専門職大学などを設置するということとされているところでありまして、これについては、連合としては基本的に賛同できるというふうに考えております。
 ただ、一方におきまして、やはり既存の大学や専門学校などにおいても既に職業教育が行われているということや、新たに制度化される専門職大学及び専門職短期大学については既存の専門学校からの転換が主になるのではないかということが予測されているということであります。二〇一九年四月に制度化されるということでありますので、現在の高校二年生ぐらいから専門職大学を選択をするというふうなことになると思いますが、そういった意味で、現在の高校二年生そしてその保護者にとって、既存の高等教育機関との違いがまだまだ見えてこない、分かりにくいというふうな現状があるのではないかというふうに思っているところであります。
 連合としましては、特別部会の中で、連合副会長参加をしておりますけれども、物づくり産業の労働組合の立場から少し発言させていただいております。少し紹介させていただきますと、やはり産業の高度化というのは目覚ましいものがありますし、情報産業と自動車産業、さらにはエネルギー産業との融合領域に新たな産業構造が生まれているというふうなことであります。今日も地下鉄に乗っていまして、旭化成が自動車を造るというふうなこともありまして、しかし、産業の高度化、そしてさらに産業の融合というのが更に進んでいくということでありますので、それを開発する人材というのはやはり求められているのかなというふうなことであります。そういったことで、新たな高等教育機関、職場で起きることに基づく実践的な知識、そして実践知を基にした教育機関ということにしてほしいということで特別部会の中で発言をさせていただきました。
 今後、具体的な制度設計は政省令で定められるということになっておりますけれども、やはり先ほど言ったように、衆議院の方でも附帯決議の中に入っておりますけれども、既存の高等教育機関との教育課程の違いを明確にすべきということが入っておりますし、今後カリキュラムはどうなっていくのか、どのような仕事を対象としていくのかということを明らかにして、学生や保護者にとって分かりやすいものにするようにしていくということが必要ではないかというふうに考えているところでございます。
 それで、意見の二つ目でございます。社会人の学び直しの問題でございます。
 法律案では、社会人が学びやすくするための措置としまして、社会人としての実務の経験について一定期間を修業年限として通算することができるとしておりますが、まだまだ対応としては十分ではないのかなというふうに考えているところであります。
 現在、高等教育機関で学び直しをしている方は約十一万人おりますが、学生全体の二%でございます。OECDの平均では一八%となっておりますけれども、大きく下回っているという状況であります。東京大学の調査によりますと、社会人が学び直しする際に壁となっているのは、やはり勤務時間が長くて十分な時間がないということや費用が高過ぎるということが上位を占めているところであります。
 現在、政府が進めております働き方改革の方針に基づいて長時間労働の是正というのが求められておりますけれども、やはりその中に、その一つとして有給教育休暇という、定める法律、法整備を進めた上で、有給教育休暇を定めましたILO百四十号条約を批准をして、社会人が学び直しをしやすくするための環境整備を整えるということが求められているのではないかというふうに考えているところであります。
 先ほど言いましたように、長時間労働の是正や有給教育休暇の制度、そして先ほど言いました学費の低額化の取組ということも含めて、時間と費用の問題を解消し、誰もが生涯を通じて学び続けられる社会を実現するということが重要ではないかというふうに考えているところであります。
 三つ目でございます。先ほど言いましたように、学費の低額化の問題でございます。
 中教審の答申においても、産業界などにおける職業教育への支援、協力体制の構築に向け、行政レベルでも省庁間の連携を推進する必要があるほか、学生の費用負担の軽減策についても検討を求めたいというふうに記載をされているところであります。加えまして、衆議院の方の附帯決議においても、私学助成関係予算の大幅な増額を図ることというふうな記載がございます。是非とも、私学助成の適用についてでありますけれども、卒業生を出した翌年度からというふうになっておりますけれども、専門職大、専門職短期大学卒業生が出てから一年後の二〇二一年度までに運営に必要な経常的経費の額を算定し、私立大学等経常費補助を増額することで学費の引下げをしていく必要があるというふうに考えているところであります。
 一方で、本年四月から給付型奨学金が実施されております。本格実施となる来年度以降でも最大で月額四万円、対象者二万人と、その事業規模については非常に限られたものになっております。この新たな専門職大学の制度化をきっかけにして、より多くの学生が充実した奨学金を受けられるような形になるように、奨学金制度の充実も求めていきたいというふうに考えております。
 最後に、要望を二点述べさせていただきたいと思います。
 まずは、学生が専門職大学と専門職短期大学に学ぶ際の企業内実習の在り方についてでございます。
 衆議院の附帯決議にもありましたように、企業などが学生を受け入れやすくするよう、実習期間、実習内容などについて指針を示すよう努めるというふうに記載がございます。受入れ側の企業が積極的に学生を受け入れ、企業内実習をきっかけとして働きやすい職場となるような職場環境の改善や、職場においては後輩を育てるという職員の意識改革などにつながるよう前向きな指針を示していただければというふうに考えているところであります。
 加えまして、一年間に百五十時間という長時間にわたる企業内実習を重ね、いざ専門職大学あるいは専門職短期大学を卒業した際に、せっかく培った専門性の高い就職先が見付からないということでは、これは困ります。事実、福祉系大学においても、苦労して取った資格が、就職先が限られているために資格を生かせない実態も生じているところであります。また同時に、教育の質の保証も重要でございます。学士教育でありますので、卒業時の到達目標を明確にするなど、質の保証についても確実に行っていただければと思います。
 二点目は、労働教育、つまりワークルール教育のカリキュラム化についてでございます。
 連合は、全ての学校現場で、働く上で必要なワークルールや労働安全衛生、使用者の責任、雇用問題に関する知識を学び、知識を深め、活用できるよう労働教育のカリキュラム化を進めることを求めております。是非とも、新たに制度化される専門職大学においてもこのような労働教育のカリキュラムを進めることを要望したいというふうに考えているところであります。
 以上、新たな制度について今国会において十分な審議が行われるよう要望いたしまして、私の意見とさせていただきます。
 ありがとうございました。

発言情報

speech_id: 119315104X00920170518_005

発言者: 平川則男

speaker_id: 16013

日付: 2017-05-18

院: 参議院

会議名: 文教科学委員会