片山虎之助の発言 (本会議)
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○片山虎之助君 日本維新の会の片山虎之助です。
私は、我が党を代表して、安倍総理に質問いたします。
今年で第二次安倍内閣が誕生してから五年目を迎えます。そして、我々日本維新の会も、旧党時代を含めれば、結党から五年となります。この間、我が党は安倍政権に対して是々非々の姿勢で臨んできました。野党であっても、単なる批判や反対ではなく、建設的な対案を示すように常に努めてきたつもりです。
安保国会では、新たな平和安全法制の必要性を認めつつも、包括的な対案を出し、政府・与党と、まとまりはしませんでしたが、修正協議を重ねてまいりました。TPP協定や本年度第二次補正予算案は、他の野党が反対しても賛成し、公務員給与引上げ法案には、与野党とも賛成の中で、我が党は毎年反対してきました。昨年の参院選で我が党は十二人となり、提案権を得て、参院に百一本の議員立法を提案いたしました。立法府復権のためにも、今後、各党各会派の御賛同を得つつ、順次立法化を進める考えであります。御協力をお願いします。
また、我が党は、引き続き健全な第三極として、是々非々で政府に緊張感を与え、与党を鍛える野党でありたいと願っています。そして、やがて国民の支持を拡大し第二極となり、政権を目指してまいります。
それでは、まず憲法改正についてお伺いいたします。
安倍総理は、施政方針演説で、未来を生きる世代のため日本をどのような国にするのか、その案を国民に提示するため、憲法審査会で具体的な論議を深めようと呼びかけました。昨年、どの政党よりも憲法改正に向けて汗をかいてきた我が党としては、この呼びかけを歓迎し、高く評価します。
憲法審査会では、これまで総論的な議論が中心でしたから、今国会からは各論に入るべきです。まずは具体的な項目の絞り込みが必要です。国民投票で過半数を得るためには、国民が心の底から実現したいと願うものを改正項目とすべきです。したがって、我が党は、九条改正や緊急事態条項のような国論を二分する問題よりも、国民全てが身近で切実に悩んでいる課題の解決を憲法改正で行うべきだと考え、教育の機会均等実現のための教育の無償化、東京圏一極集中打破のための地方分権・統治機構改革、平和安全法制等につき憲法判断を行う憲法裁判所の設置という三項目を選びました。
安倍総理にお伺いいたします。
これらの課題は今国会での憲法改正項目として望ましいとお考えですか。特に優先的に取り組むべきと思われる項目があれば御指摘ください。
憲法改正の具体的な項目につき絞り込みを行っていくためには、全ての党が賛成するのを待つのでなく、個別の項目ごとに各党間の協議を呼びかけ、国民の関心や支持を得て、どの党も議論に参加する環境をつくっていくべきと考えますが、どういう御認識でしょうか。
教育無償化の実現には必ずしも憲法改正によらなくてもという意見があります。しかし、我々は、憲法に規定することは、国の大方針を鮮明にし、以降の立法や予算措置が拘束されることになります。フランスのように憲法に定めることが恒久的な教育無償化のためには望ましいと考えますが、総理の御所見をお伺いします。
総理も施政方針演説で示唆されましたが、教育無償化の範囲を特に高等教育にまで広げることには大きな意義があります。高校も大学、大学院も、私立を含めて無償化する方向付けを今国会で思い切って総理に決断していただきたい。長期安定の安倍政権でこそできる骨太の政策だと私は信じております。総理の御決意をお聞かせください。
また、幼児教育を無償化すれば少子化問題の解決に大きく貢献します。待機児童問題も抜本的に解決します。政府・与党は既に一昨年から無償化の方針を打ち出していますが、いまだに実現していません。幼児教育の無償化も高等教育の無償化に併せて今国会で具体化することを強く望みます。いかがですか。
さらに、我が党は、先ほど述べました議員立法百一本出しておりますけれども、この中には幼児教育から高等教育に至る教育無償化に関する法案も入っております。今国会でも再提出を考えておりますけれども、その場合、成立に向けて我が党と真摯に御協議いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
次に、外交・安保政策についてお伺いいたします。
まず、日米関係についてです。
先日、アメリカでトランプ大統領の就任式が行われました。大統領選で激戦を制して勝利を収めたトランプ新大統領に心からお祝いを申し上げます。
トランプ氏は、就任演説で米国第一を繰り返し、経済・外交政策の抜本転換を訴えました。TPPを離脱する大統領令にも署名しました。しかし、トランプ政権の下でも、日米同盟を堅持し、日米両国が力を合わせて普遍的価値の普及を始め世界の平和と繁栄に貢献をしていく責務があると私は考えます。したがって、トランプ新政権の考え方に日本政府のこれまでの方針と相違する点があっても、日米同盟の重要性に鑑み必ず調整が行われなければなりません。仮に、トランプ大統領が日本にこれまで以上の防衛上の負担を求めてきたとき、真剣な検討を行うべきではないでしょうか。
我が党は、党の政治理念に、自立する個人、自立する地域、自立する国家を掲げています。自分の国は自分で守るという原則に向けて、防衛関係費の例えば対GDP比等につき必要な見直しがあるとすれば検討すべきではないか、その場合には、併せて日米地位協定の改定や沖縄基地再編の問題も論議すべきでしょう。総理のお考えをお聞かせください。
両国の経済関係について、今後とも、我が国の譲れない原則は原則として、世界情勢の変化やアメリカの政権交代という現実に柔軟に対応していく必要があります。トランプ大統領は、アメリカでの雇用創出で結果を出そうとしております。日本としても、それに何らかの協力をすることを考えてはいかがですか。
一九八〇年代の貿易摩擦の際、日本政府は、対外直接投資を増やすための企業代表団派遣や投資行動指針の作成等によりアメリカへの投資を増やそうとしました。同じように、企業の経済活動の自由を守りつつも、対米直接投資を増やす努力に官民挙げて取り組むことを今回も検討すべきではないかと思いますが、総理の御所見をお伺いします。
TPPについて、まずはアメリカの翻意を粘り強く促すという方針は正しいと考えます。我が党は、結党以来、一貫してTPP賛成を訴え、昨年の臨時国会ではTPP承認と関連法案に賛成しました。TPPは、自由で公正な貿易・投資のルールを作ることにより、経済上、さらに安全保障上の大きなメリットを加盟国に与えるとともに、中国、韓国を含めた東アジア自由貿易圏の形成のためにも極めて有効なものと考えます。
しかし、TPPは長期的には世界各国、特にアメリカに大きな利益をもたらすと説くだけでトランプ大統領の理解は得られるでしょうか。そこが問題です。自由貿易協定の恩恵を実感できないアメリカ国民が余りにも多いという現実も直視しなければなりません。
仮に、トランプ新政権が二国間協定を求めてきた場合、TPP加盟国は、しっかりと結束した上で、交渉には応じるべきだと考えます。現在のTPP協定の内容が交渉のゴールとなるよう加盟国同士であらかじめ合意をして、各国がアメリカとの二国間交渉に臨む、日本がリーダーとなって取りまとめていくべきではないでしょうか。総理の御所見をお伺いします。
一方、中国ですが、力による海洋進出の方向を改めず、また、経済的優位の確立を目指しての各国への更なる投資を行い、更にRCEPに積極姿勢を取ることにも言及しており、ダボス会議では習近平主席が自由貿易の堅持を訴え、存在感をアピールしました。こうした言わば中国の経済的攻勢にどう対処するのか。アメリカなどと連携して日本が主導的な立場を担うべきだと考えますが、いかがでしょうか。
次に、日ロ関係についてお伺いします。
安倍総理が、日ロ関係について新しいアプローチを取るべきだとの考えの下に、先日、日ロ首脳会談に臨み、北方領土と平和条約の問題を現実に動かそうとされた努力は評価します。また、旧島民の自由往来に併せて、経済協力により、経済人、ビジネスマンらとロシア住民との交流が進めば、ロシア化一色の中で日本化が交錯し、領土交渉の強い足掛かりになると考えます。
安倍総理は、共同経済活動が行われる際の特別な制度について特区を想定していると述べておられます。他方、ロシアは、ロシアの主権を前提にすると見られ、実現可能性を疑問視する見方もあります。この特別な制度を今後どのように実現させるのか、お伺いします。
次に、第三次補正予算案及び来年度予算案に関連してお伺いします。
今年度予算では税収が当初見込みより一兆七千億円少なくなったため、第三次補正予算案では赤字国債を発行することになります。年度途中の赤字国債の追加発行は七年ぶりなので、今後、補正予算が必要となった場合の財源や財政全体の先行きを懸念する声もあります。来年度の経済見通しは名目GDP二・五%プラスですが、過去十年で政府の見通しを上回ったのは二回だけです。アベノミクスの果実で新たな施策を講じていくこれまでの手法はこれから厳しくなるのではないか、総理の御見解を伺います。
来年度予算案の規模は九十七兆五千億円で過去最大となりました。安倍政権では、予算規模全体の膨張に歯止めが掛かっておりません。行財政改革による歳出削減の継続的な努力が足りないのではないかと考えますが、総理の御認識を伺います。
そうでありながら、財政再建、特にプライマリーバランスを二〇年黒字達成するとの旗は下ろしておりません。これをどう実現されますか。総理の答弁を求めます。
文部科学省で組織的な天下りが発覚し、政府は全省庁について調査するとのことです。言語道断の事態です。
来年度予算案で、国立大学運営費交付金は一兆円、私学助成金は四千億です。これらの一部が違法、不当な天下りで再就職した者への給与になっているとしたら、ゆゆしき問題でしょう。文科省の予算のこうした支出は徹底的に見直して削減すべきではないでしょうか。いかがですか。また、全ての独立行政法人への財政支出二兆八千億円についても、天下りの有無と併せて徹底して見直すべきではないか、お伺いします。
政府・与党の来年度税制改正大綱を見ると、配偶者控除の見直し等が明記されましたが、とても将来をしっかりと見据えたものとは言えず、いかにも小手先の改正の感が拭えません。
人口減、少子高齢化の我が国においては、世代間の格差を是正し、若年層、低所得者層が意欲を持って働き、安心して結婚して子供を産み育てることができるとともに、地域経済が活力を持つような、それを後押しする税制の確立が必須の課題です。
我が党は、こうした問題意識の下に、昨年末、税制に関する当面の考え方をまとめました。そのポイントは、第一に、配偶者控除を夫婦控除に改め、併せて所得控除から税額控除を基本とした所得税体系を構築すること、第二に、広く薄く相続税の課税ベースを拡大すること、第三に、大企業の内部留保を従業員給与の引上げや設備投資、研究開発等に誘導する内部留保課税を導入すること等であります。総理の強力なリーダーシップの下に、このような将来を見据えた税制の抜本改革に取り組む決意はおありでしょうか、お伺いします。
次に、働き方改革、特に高齢者の働き方改革と社会保障制度改革についてお伺いします。
既に述べたように、生産年齢人口の減少が我が国経済の根本的課題であることは論をまたず、政府も各般の働き方改革を検討、実行中であります。
この度、日本老年学会などが高齢者の定義を七十五歳以上に見直し、六十五ないし七十四歳は准高齢者として社会の支え手として捉え直すよう求める提言を発表しました。十年前に比べて、身体の働きや知的能力が五ないし十歳は若返っているとの判断です。
生産人口を増やすための最も効果的で即効性のある施策は准高齢者の就業です。それには多様な働き方を可能にする仕組みが必要で、法的整備のみならず、経済界や労働界も人事管理、健康安全管理の手法を准高齢者用に組み替えることが求められます。しかし、この場合、准高齢者個々人の価値観や身体能力の個人差が大きく、個別の対応は簡単ではありません。したがって、雇用や社会保障も、場合によっては複数の制度をつくり、かつ弾力的に運用される必要があるという難しさが残ります。
この際、企業の人事管理体制や労働関係法制、さらに、高齢者として六十五歳以上を支えられる側として設計されている年金、医療、介護などの社会保障制度についても、七十五歳を基本とした仕組みに改めることについてそろそろ総合的に検討を始めることも必要ではないかと考えますが、総理の御所見を求めます。
天皇陛下の譲位問題について、せんだって衆参で質問がありました。この問題については、衆参両院の正副議長が各党各会派の合意を得てそれぞれ個別に意見を聞く手続を既に開始しておりますその最中ですが、それは、言うまでもなく静かな環境で落ち着いた議論を行うためであります。このため、各党の率直な意見の開陳や交換は、少なくともその場で、衆参の正副議長が設置したその場で透明性を確保しながら行うことが私はベターではないかと考えますが、総理の御認識を伺います。
本年は、各国のリーダーの交代も予想される、先の読めない不透明な年と言われております。逆に言えば、多くの新たな可能性を秘めたチャンスやチェンジの年でもあります。本年をそのチャンスやチェンジを生かす節目の年としたい。我が党は、身を切る改革、徹底行革の党として、また地方分権、統治機構改革の党として本年も最大限努力することをお誓い申し上げまして、私の代表質問とします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕