大門実紀史の発言 (本会議)

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○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。
 三月六日、北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイルを発射したことは、核兵器の開発と不可分に結び付いた軍事行動であり、国連安保理決議、六か国協議の共同声明、日朝平壌宣言に違反する暴挙です。質問に先立ち、厳重に抗議するものであります。
 所得税法等の改正案に関連して、現下の経済情勢及び税制の在り方について質問をいたします。
 まず、アメリカのトランプ新政権の発足を踏まえ、日米経済関係と安倍内閣の政策対応についてお聞きいたします。
 アメリカでは、一九八一年のレーガン政権以来、歴代の共和党、民主党政権を通じ、多国籍大企業や金融資本の利益を最優先した新自由主義政策が進められてきました。その結果、国内産業の空洞化、正規雇用の減少、中間層の貧困化が進行する一方、富裕層に富が集中し貧富の格差が拡大しました。本来であれば、多国籍大企業のもうけ本位の好き勝手なやり方を規制し、格差是正と国民の暮らしを守る方向へ政策転換すべきですが、トランプ氏は、露骨な排外主義、差別主義を掲げ、メキシコ移民やイスラム系の人々への敵意を扇動することで大統領に当選をいたしました。
 二月二十八日の連邦議会における施政方針演説でも、トランプ大統領が打ち出した政策は、軍事費拡大、インフラ投資、法人税減税、規制緩和など大企業支援が中心であり、産業の空洞化や格差問題を解決するものではありませんでした。また、トランプ大統領は演説の中でアメリカ第一主義を強調しましたが、これは単なる内向きの話ではなく、他国に対しアメリカの要求を正面から押し付ける姿勢を改めて表明したことにほかなりません。
 安倍総理は、トランプ大統領の施政方針演説をどのように受け止められたか、お聞きしたいと思います。
 これらのことに関連し、日本政府の対応について二点質問します。
 第一は、二国間交渉についてです。
 安倍総理は、アメリカとの二国間交渉に際し、TPPの合意水準が前提になるという考えを示してこられました。そうなれば、今後、僅かに残った関税の撤廃にとどまらず、農業、医療、金融などの分野でアメリカが一層の規制緩和を求めてくることは必至です。安倍総理とトランプ大統領の首脳会談において日米経済対話の設置が決まりました。今までも、日米構造協議や年次改革要望書、この間のTPP交渉における日米並行協議など、二国間交渉が行われてきました。様々なやり取りはあったにせよ、アメリカ農産物の輸入拡大や保険分野へのアメリカ企業の参入など、結果的にアメリカの要求に日本が譲歩させられてきたのが二国間交渉の歴史ではなかったでしょうか。
 新設の日米経済対話においてそうならない保証はどこにあるのか、安倍総理、明確にお答えください。
 第二は、税の引下げ競争の問題です。
 トランプ大統領は、就任演説で現行三五%の法人税率を一五%に引き下げると公約し、下院の共和党も二〇%まで引き下げる案を示しています。イギリス政府は、既に法人税率を一七%に下げる方針を表明しています。これまで、各国の法人税の引下げ競争については、多国籍大企業の負担を限りなく軽くするだけで、どの国も国民生活向け予算の財源を失い、社会保障の削減と庶民増税に突き進むことになる底辺への競争だとOECDなどでも指摘され、世界のNGOや市民運動からも懸念が示されてきました。
 税の引下げ競争を加速するようなことはやめるよう、日本政府としてアメリカにきちんと意見を言うべきではありませんか。麻生財務大臣の答弁を求めます。
 次に、日本経済の現状と税制について質問します。
 昨年十―十二月期のGDPを見ても、個人消費の低迷が続き、相変わらず外需依存で、日本経済の基盤の脆弱さを示すものとなっています。個人消費が低迷している一番の原因は、賃金の伸び悩みと社会保険料などの負担増で可処分所得が減少していることにあります。
 今まで安倍総理や麻生大臣と何度も経済の議論をしてきましたけれど、対決点は多々ありますが、大企業の巨額の内部留保を国民の賃金や暮らしに回せという我が党の主張に対しては、総理も麻生大臣も共感を示されてきました。しかし、大企業の内部留保は、安倍内閣の四年間で七十二兆円も増加し、三百九十兆にまで膨らんでおります。いよいよ本気で内部留保の国民への還元を考えるべきときではないでしょうか。
 方法は二つあります。
 一つは、賃金政策による内部留保の還元です。
 この点では、長時間労働を追認し残業代をゼロにする働き方改革などもってのほか、直ちに撤回すべきであります。我が党は、低賃金の非正規雇用をこれ以上増やさず、正社員化を進めるための法改正に直ちに着手すること、中小企業に大胆な支援をしながら、最低賃金を大幅に引き上げることが必要だと考えます。安倍内閣として、大企業の内部留保を賃金に回させる具体的な政策をお示しください。
 二つ目は、税制を通じた大企業の内部留保の再分配です。具体的には、大企業に適正な税負担を求め、それを社会保障や教育など暮らしの予算に回すことです。
 今回の税制改正で最大の焦点になったのは、大企業優遇と批判されてきた研究開発減税の見直しでした。この三年間の実績を見ても、毎年の減税額は六千億円以上に上り、資本金十億円以上の大企業が減税額の九割程度を占め、上位十社だけで減税額の三割から四割を占めています。例えば、トヨタ自動車は一社で三千二百二十五億円、年間一千億円もの減税です。直近のトヨタの利益は二兆円を超えており、内部留保は十兆円近くも積み上がっております。一千億円もの減税が必要な企業とは到底考えられません。
 三年前に出された政府税制調査会の報告でも、この研究開発減税に対しては大胆な縮減が提案され、昨年の通常国会では、我が党の追及に対し、総理も財務大臣も見直しを約束していました。しかし、蓋を開けてみれば、大企業への増税は財務省の資料によると僅か百億円程度です。しかも、減税対象をサービス開発にまで拡大をいたしました。これでは、政府税調が求めていた大胆な縮減には程遠いのではありませんか。
 総理、本気で大企業の内部留保を国民に還元する気があるのなら、こういう優遇税制こそ見直し、国民の暮らしを応援する予算に振り向けるべきではありませんか。
 税金の取り方、使い方を国民の暮らし本位に抜本的に改革することを強く求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 大門実紀史

speaker_id: 16551

日付: 2017-03-08

院: 参議院

会議名: 本会議