古川俊治の発言 (本会議)

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○古川俊治君 自由民主党の古川俊治です。
 自由民主党・こころを代表し、ただいま議題となりました組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案、いわゆるテロ等準備罪を新設するための組織的犯罪処罰法改正案について質問いたします。
 まず冒頭、本日午前五時四十分頃の北朝鮮による弾道ミサイル発射に対して強く抗議いたします。
 本院では、本年三月八日に抗議の決議を行ったところですが、それ以降も北朝鮮はミサイル発射実験を繰り返し実施しております。政府におかれまして、北朝鮮に対し厳重に抗議を行うとともに、引き続き、関係各国と緊密に協力し、挑発行為の自制を強く求めること、同時に我が国独自の制裁の強化を図るべきこと、今後も迅速、的確な情報提供を要望いたします。総理の御見解を伺います。
 一昨年のパリ同時多発テロ、昨年のベルギー・ブリュッセル空港、地下鉄でのテロ、バングラデシュ・ダッカでのレストラン襲撃人質テロなど、世界中でテロが立て続きに発生し、邦人も含め、大勢の貴重な命が失われました。今月二十二日には、イギリス・マンチェスターで自爆テロが発生し、八歳の女の子を含む二十二人が犠牲となり、百人以上が負傷するという大惨事となりました。犠牲となられた方々の御冥福をお祈りし、負傷された方々にお見舞いを申し上げます。今回のG7においても、テロ対策の強化に連携して取り組む方針が声明として打ち出されました。
 技術の発展により、人の移動や相互連絡が高速かつ容易に可能となり、さらに簡単な操作で瞬時に壊滅的な被害を与え得る攻撃手段が比較的容易に入手できるようになりました。その結果、近年の組織犯罪集団の活動は、国境を越えて行われるようになり、かつ国際社会にとって格段に危険なものとなっています。
 これに有効に対応するためには、従来の被害が発生してからの刑事対応では遅く、大規模な被害を未然に抑止するための国際的な連携関係を確立することが必要です。
 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約、いわゆるTOC条約は、国際社会のこのような認識の下に締結されました。日本がこの条約に基づく共同の取組に参加できていないことは、国際的な薬物犯罪やテロ犯罪の計画準備が日本では規制を受けずに行われてしまう、言わば我が国が国際犯罪対策の抜け穴となってしまうということであり、極めて危険な状況である上、日本の国際的な威信にも関わる問題でもあります。
 我が国は、二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックを開催いたします。オリンピックなどの大規模なイベントが開催される際には、多数の観客が開催地を訪れるため、テロだけでなく多様な組織的犯罪が増加すると指摘されており、このままでは、東京オリンピック・パラリンピックはテロその他の組織犯罪の格好の標的となりかねません。
 そこで、総理に伺います。TOC条約を締結することは、国民や我が国を訪れる海外の方々の安全の確保はもちろん、国際的組織犯罪防止に一体として取り組んでいる国際社会への貢献という観点でも我が国の責務だと考えますが、いかがでしょうか。
 TOC条約締結のために合意罪を新設する国内法整備が必要であるとの認識は、政権交代時を通じて我が国政府の一貫した考え方です。それが正しい認識であることは先日の国連薬物犯罪事務所からの口上書でも確認されていると考えますが、一部には、現行法のままでも条約に加入できるという主張もあるようです。
 そこで、TOC条約への加入には合意罪の新設が必要であるのか、現行法のままでの加入はなぜできないのか、外務大臣に伺います。
 また、TOC条約に加入することで我が国における国際的組織犯罪の防止に関してどのようなメリットがあるのか、具体的事例に即して、外務大臣より分かりやすく説明をお願いします。
 過去にも、TOC条約締結のための国内法整備として共謀罪の新設が議論されてきましたが、これにより、政府の方針に反対する活動ができなくなる、憲法が保障する言論の自由や思想、良心の自由に反するものとなるとの懸念が一部にありました。
 そこで、今回のテロ等準備罪では、適用対象を明文上組織的犯罪集団に限定した上で、主として組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定し難い犯罪等を除くことで対象犯罪を絞り込んでいます。さらに、二人以上での対象犯罪の計画を要件とするだけでなく、この計画に基づく実行準備行為を必要としています。
 計画及び実行準備行為の要件は、新設される犯罪の合意に関する構成要件が内心の自由とは別次元であることを明確にしており、評価できます。
 ただ、対象犯罪を絞り込んだ点については説明が必要だと思います。共謀罪審議当時でも、その適用対象である団体は犯罪の実行を共同の目的とする多人数の継続的結合体であり、解釈上、今回の法案に言う組織的犯罪集団と実質的に変わるものではありませんでした。
 そうすると、共謀罪審議当時でも今回と同様の対象犯罪の絞り込みは十分可能であったのではないか、要するに、共謀罪審議当時は外務省が深く考えていなかっただけなのではないかという疑問も湧いてきます。
 共謀罪審議当時と異なり、今回のテロ等準備罪を新設したことによってなぜ対象犯罪が絞り込めることになったのか、外務大臣にお聞きします。
 衆議院での審議でも、一般の方々がテロ等準備罪の対象となることがあるのかないのか、特に、株式会社や宗教団体であったものの実態が変化して、専ら犯罪の実行だけを行うような集団になった場合などについていろいろと議論がありました。
 ただ、株式会社や宗教団体だけでなく、環境保護や人権保護を建前とする団体がその主張を誇示するような場合であっても、犯罪の実行を共同の目的として集まり、役割分担や指揮命令系統が明確になっていると認められるようなものに関しては危険性が大きく、犯罪の計画と実行準備行為が行われれば被害を未然に防ぐ必要性に変わりありません。
 要は、一般の方々をどのように定義するかですが、このような例外的な場合であれば、環境保護や人権保護を建前とする団体の構成員であってもテロ等準備罪の対象になり得ると考えますが、いかがでしょうか。法務大臣に伺います。
 テロ等準備罪が新設されると監視社会になるのではないかという懸念も聞かれます。しかし、刑事訴訟法が改正されるわけではなく、テロ等準備罪が新設されたからといって、捜査方法が変わるわけではありません。
 刑事訴訟法上、犯罪が実行された場合や、犯罪が実行される蓋然性があって捜査の必要性があると認められるような場合でなければ任意捜査も行われず、また、令状なくして国民の重要な権利利益の侵害が許されないことは憲法上の基本原理でもあります。
 警察も検察も必要な業務以外に労力を割く余裕はないのが実情であり、恣意的に一般市民を監視することなどあり得ないと考えますが、いかがでしょうか。法務大臣に明確に説明していただきたいと存じます。
 TOC条約に加入し、我が国も国際的組織犯罪の防止のための体制を強化すべきなのは当然ですが、本条約により合意罪の創設が求められているのは金銭的利益その他の物質的利益を直接又は間接に得る組織犯罪であり、条文上から見ると、TOC条約はテロリズムの防止に正面から対応しているわけではありません。例えば、新設されるテロ等準備罪も単独犯によるテロは対象となっていません。
 東京オリンピック・パラリンピックを控え、テロリズム抑止の体制を強化するために、TOC条約に加入するほかにどのような対策を進める必要性があると考えられるのか、法務大臣にお聞きします。
 テロリズムその他の組織的犯罪は基本的人権と民主主義に対する最大の脅威の一つであり、参議院の責務として、十分な審議を重ね、一日も早く本法案を成立させ、TOC条約を締結させるべきことを皆様に呼びかけて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 古川俊治

speaker_id: 4087

日付: 2017-05-29

院: 参議院

会議名: 本会議