金田勝年の発言 (本会議)
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○国務大臣(金田勝年君) 真山勇一議員にお答えを申し上げます。
まず、本法案の内容と水際対策についてお尋ねがありました。
テロ等準備罪を設けることにより、テロを含む組織犯罪について、実行着手前の段階での検挙、処罰が可能となり、その重大な結果の発生を未然に防止することができるようになります。また、テロ等準備罪を整備して、国際組織犯罪防止条約、TOC条約を締結することにより、国際的な逃亡犯罪人引渡しや捜査共助、情報収集において国際社会と緊密に連携をすることが可能となります。
このように、テロ等準備罪を含む国際組織犯罪防止条約、TOC条約を締結するための国内法の整備は、テロ対策として有効であります。
議員御指摘の羽田空港における擦り抜け事案につきましては、厳格な水際対策が求められている中にあってこのような事案が発生をいたしましたことは遺憾であります。再発防止を徹底するよう入国管理局に指示をしているところであります。
法務省としましては、引き続き、関係省庁等と連携をして、水際対策にも万全を期してまいる所存であります。
次に、テロ等準備罪の立法事実に関してお尋ねがありました。
法務省からお示しをした三事例は、テロ等準備罪について、その成案を得られていない段階で、条約を締結してテロを防ぐため、現行法上のどこに不十分な点があるかについて分かりやすく御理解をいただくための例としてお示しをしたものであります。これらの事例によって示される現行法に不十分な点があるということが、立法の必要性を裏付けるいわゆる立法事実の一つであると考えています。
すなわち、国際組織犯罪防止条約第五条は、締約国に対し、重大な犯罪を行うことの合意又は組織的な犯罪集団の活動への参加の少なくとも一方をその未遂又は既遂とは別に犯罪化することを義務付けております。
しかし、現行法上、参加罪は存在しない一方、共謀罪、陰謀罪が設けられているのはごく一部の犯罪にすぎません。これに加え、予備罪は予備行為を処罰するものであって、合意を処罰するものではない上に、客観的に相当の危険性がなければ処罰の対象とはなりません。
このように、現行法が条約第五条が定める犯罪化義務を果たしておらず不十分であることは制度の対比からして明らかであり、政府としては十分に立法事実をお示ししていると考えております。
次に、一般の方々がテロ等準備罪の対象となるか否かについてお尋ねがありました。
そもそも、一般の方々という言葉は、使用される文脈によってその意味は異なるものと思いますが、我々は、一般の方々はテロ等準備罪の対象とならないという文脈においては、組織的犯罪集団と関わりがない方々、言い換えれば、何らかの団体に属しない人はもとより、通常の団体に属し、通常の社会生活を送っている方々という意味で用いています。
その上で、テロ等準備罪は、犯罪の主体を組織的犯罪集団に限定したことにより、組織的犯罪集団と関わりがない一般の方々に適用されることはありません。また、組織的犯罪集団と関わりがあるという疑いがなければ、その者に対する捜査が行われることもありません。
そして、組織的犯罪集団とは、国内外の犯罪情勢等を考慮すれば、テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織などの違法行為を目的とする団体に限られ、一般の方々がこれらと関わりを持つことがないのはもちろん、関わりを持っていると疑われることも考えられません。
したがいまして、組織的犯罪集団と関わりのない一般の方々、すなわち何らかの団体に属しない人はもとより、通常の団体に属し、通常の社会生活を送っている方々は、テロ等準備罪で処罰されることも、テロ等準備罪の被疑者として捜査の対象となることもないと言えます。
次に、一般の方々もテロ等準備罪の幇助犯の嫌疑で捜査の対象となるのではないかとのお尋ねがありました。
例えば、テロ等準備罪の被疑者に計画を話し合う場所を提供した者には、御指摘のように、テロ等準備罪の幇助犯が成立する場合があります。そのような事案においてテロ等準備罪の幇助犯が成立するためには、場所を提供した者において、提供の相手方が組織的犯罪集団であることだけではなく、提供した場所で組織的犯罪集団が団体の活動として組織により行う特定の重大な犯罪の計画の話合いが行われることを認識していない限り、テロ等準備罪の幇助犯は成立しません。
先ほども申し上げましたとおり、組織的犯罪集団は条文上明確に定義されており、国内外の犯罪情勢等を考慮すれば、テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織など違法行為を目的とする団体に限られ、一般の方々がこれらと関わりを持つことがないのはもちろん、関わりを持っていると疑われることも考えられません。したがって、組織的犯罪集団に関わりがない方々が先ほど申し上げたような認識を持って場所を提供することも想定されません。
このように、組織的犯罪集団と関わりのない一般の方々、すなわち何らかの団体に属しない人はもとより、通常の団体に属し、通常の社会生活を送っている方々にテロ等準備罪の幇助犯が成立することもあり得ず、テロ等準備罪の幇助犯の嫌疑を受け、被疑者として捜査の対象となることもありません。また、このような組織的犯罪集団と関わりがない方々について告発を行った場合には、虚偽告訴罪で処罰される可能性があり、そのような一般の方々を告発することは通常想定されません。
次に、組織的犯罪集団の判断主体、判断基準や団体に対する監視の可否等についてお尋ねがありました。
まず、組織的犯罪集団に該当するか否かの認定及び判断は、捜査を開始する時点においては捜査機関が行うこととなりますが、捜索差押えや逮捕などの強制捜査を行うためには、令状請求を受けた裁判官において、組織的犯罪集団か否かの点も含めてテロ等準備罪の嫌疑が客観的に認められるか、刑事訴訟法の強制捜査の要件を満たしているかについて慎重に判断されることとなります。最終的にテロ等準備罪で処罰されるか否かは、裁判所が、公判に提出された証拠に基づき、組織的犯罪集団であるか否かの点も含めまして、テロ等準備罪の要件を満たすか否かを判断して決定することとなります。
次に、具体的な事案において、ある団体が組織的犯罪集団に該当するか否かは、当該事案の時点において、当該団体の活動実態等を総合的に考慮し、構成員の結合の目的が一定の重大な犯罪等を実行することにあるか否かにより判断をすることとなります。
なお、団体の性格が一変することは、テロ等準備罪の要件となるものではありません。したがって、テロ等準備罪の新設により、団体を常時監視の対象とする必要はありません。加えて、テロ等準備罪についても、他の犯罪の捜査と同様に、犯罪の具体的な嫌疑がなければ捜査が行われることはなく、同罪の新設によって団体を常時監視の対象とすることが許されることにはなりません。
次に、ストライキやデモと本法案との関係についてお尋ねがありました。
テロ等準備罪は、組織的犯罪集団が関与する犯罪、重大な犯罪の計画行為、その計画に基づく実行準備行為という厳格な三つの要件を設けております。そして、組織的犯罪集団とは、一定の重大な犯罪等を行うことを構成員の結合関係の基礎としての共同の目的とする団体をいうことから、国内外の犯罪情勢等を考慮すれば、テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織など違法行為を目的とする団体に限られます。したがって、正当な活動を目的とする一般の団体は組織的犯罪集団に当たらず、その活動については、組織的な威力業務妨害罪や騒乱罪に係るものを含め、テロ等準備罪が適用されることはありません。
最後に、テロ等準備罪処罰法案が政治的、恣意的に運用される懸念についてお尋ねがありました。
まず、テロ等準備罪につきましては、対象となる団体を明文で組織的犯罪集団に限定をして、一般の会社や市民団体、労働組合などの正当な活動を行っている団体が対象とならないことを一層明確にするとともに、対象犯罪についても、組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定されるものをリスト化し、対象犯罪を明確にしました。また、犯罪の計画行為だけでは処罰されず、実行準備行為があって初めて処罰の対象とすることにより、内心を処罰するものではないことについても一層明確にするとともに、処罰範囲も限定しました。このように、テロ等準備罪は、条文上成立要件を明確かつ厳格なものにすることにより、政治的、恣意的に運用されることはないものとなっております。
また、法案が成立した後には、テロ等準備罪を含む本法案が適切に運用されるよう、その趣旨、内容を関係機関に周知をしてまいります。(拍手)
〔国務大臣岸田文雄君登壇、拍手〕