金田勝年の発言 (本会議)

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○国務大臣(金田勝年君) 浜田昌良議員にお答えを申し上げます。
 まず、テロ等準備罪の新設と我が国の刑法体系、憲法の諸規定との関係についてお尋ねがありました。
 テロ等準備罪は、組織的犯罪集団が関与する一定の重大な犯罪の計画行為に加えて、実行準備行為が行われた場合に限って成立するものであります。このような場合には、その計画された犯罪が実行される可能性が高い上に、一たび実行されると重大な結果や莫大な不正利益が生ずることが多く、特に悪質で違法性が高く、未然防止の必要性が高いことから、実行の着手前の段階であっても処罰する必要性が高いと考えられます。
 我が国の刑事法においては、特に重大な犯罪や取締り上必要がある犯罪について、予備罪や共謀罪等、実行の着手前の行為をも処罰することとしており、テロ等準備罪もその処罰の必要性の高さに着目して創設をするものでありまして、我が国の刑事法における刑罰の基本的な定め方に整合するものと言えます。
 また、テロ等準備罪は、一定の重大な犯罪の計画行為と実行準備行為という行為を処罰の対象とするものでありまして、内心を処罰するものではなく、思想、良心の自由を侵害するものではないことはもちろん、処罰範囲が明確かつ限定的なものとなっており、憲法が保障する国民の権利、自由を不当に制約するものではありません。
 次に、一般の方々がテロ等準備罪の捜査の対象となることがないと言える根拠等についてお尋ねがありました。
 テロ等準備罪についても、他の犯罪の捜査と同様に、犯罪の具体的な嫌疑がなければ捜査が行われることはありません。犯罪の主体を組織的犯罪集団に限定しない場合には、一般の方々も犯罪の嫌疑があれば捜査の対象となります。
 しかし、テロ等準備罪は、組織的犯罪集団が関与する犯罪、重大な犯罪の計画行為、その計画に基づく実行準備行為という厳格な三つの要件を設けております。テロ等準備罪の嫌疑があると認めるためには、組織的犯罪集団と関わり合いがあるという嫌疑を含むこの三つの要件についての嫌疑が必要であり、組織的犯罪集団に関わり合いがあるとの疑いがなければ、その者に対する捜査は行われません。
 さらに、組織的犯罪集団とは、一定の重大な犯罪等を行うことを構成員の結合関係の基礎としての共同の目的とする団体をいうことから、国内外の犯罪情勢等を考慮すれば、テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織などの違法行為を目的とする団体に限られ、一般の方々がこれらと関わり合いがないことはもちろん、関わり合いがあると疑われることも考えられません。
 したがって、組織的犯罪集団と関わり合いのない一般の方々、すなわち、何らかの団体に属していない人はもとより、通常の団体に属し、通常の社会生活を送っている方々はテロ等準備罪の被疑者として捜査の対象とはなりません。加えて、テロ等準備罪の新設に伴い新たな捜査手法を設けるものではなく、テロ等準備罪の新設により捜査機関が常時国民の動静を監視する監視社会になるとの御懸念は理由のないものであります。
 最後に、テロ等準備罪の対象犯罪を限定した意義についてお尋ねがありました。
 国際組織犯罪防止条約は、重大な犯罪の合意の犯罪化に当たり、締約国に対し、国内法上、組織的な犯罪集団が関与するものとの要件を付すことを認めております。この要件を付した場合には、犯罪化が義務付けられる合意の対象は組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪となることから、組織的な犯罪集団が関与することが現実的に想定される罪を重大な犯罪の合意罪の対象とすれば本条約の義務を履行することができると解されているものと承知をしております。
 このような解釈に基づき、長期四年以上の懲役、禁錮等に当たる罪のうち、犯罪の主体、客体、行為の態様、犯罪が成立し得る状況、現実の犯罪情勢等に照らし、組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定されるか否かという基準により選択をした結果、テロ等準備罪の対象犯罪は、本法案により新設することとしております証人等買収罪を除き二百七十七個になったものであります。(拍手)
   〔国務大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 119315254X02720170529_022

発言者: 金田勝年

speaker_id: 29756

日付: 2017-05-29

院: 参議院

会議名: 本会議