仁比聡平の発言 (本会議)

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○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、憲法違反の共謀罪、組織的犯罪処罰法改定案を何が何でも押し通そうとする安倍政権に満身の怒りを持って抗議するとともに、総理及び関係大臣に質問いたします。
 まず、加計学園疑惑について伺いたい。
 格差が大きく広がる中で、政治や行政を私物化し、これが発覚すると権力ずくで隠蔽する。森友学園疑惑に国民はあきれ果て、うんざりする中、総理の腹心の友が理事長を務める加計学園の獣医学部新設問題について、前川文科省前事務次官の重大な発言がなされたのです。にもかかわらず、先ほど来の開き直った総理の答弁に国民の怒りは沸騰することでしょう。
 同学部新設を可能ならしめた規制緩和が総理の意向という一連の文書は、確実に存在した、次官として共有していた文書であり、あったものをなかったことにはできない。極めて薄弱な根拠で、公平公正であるべき行政がゆがめられたという証言です。
 事は総理自身の進退に関わる重大問題です。文科省に直ちに再調査を指示すべきです。予算委員会の集中審議と前次官の証人喚問に直ちに応じ、自ら真相を明らかにすべきであります。そこに背を向け、重大な権力の恣意的濫用が懸念される共謀罪法案を推し進めるなど、もってのほかではありませんか。
 衆議院法務委員会の強行採決に、説明不十分という国民の声は七七%に上りました。説明できない法案通すなという怒りの声は当然です。ところが、これを受けて金田大臣が、これまでどおり、丁寧な答弁に努め、理解を得ていきたいと答弁したのにはあきれ返るばかりです。
 質疑をすればするほど国民の懸念が広がる。それは、総理、そもそも法案がどんな行為を処罰の対象とするのか全く不明確で、人の生命や身体、財産などの法益を侵害する危険性が客観的にはない合意や実行準備行為を、限りなく人の内心に踏み込んで処罰するものだからではありませんか。
 その捜査の危険は重大です。恣意的濫用にどう歯止めを掛けるというのですか。内心の捜査に歯止めは掛けられない、それは、治安維持法と戦前の我が国社会の痛苦の教訓です。だからこそ定められた憲法十九条、二十一条、三十一条に法案は明らかに反し、近代刑法の大原則を根底から覆すものではありませんか。
 この国会の冒頭、総理は、テロ等準備罪であって、これを共謀罪と呼ぶのは全くの誤りであると強弁しましたが、法案が紛れもない憲法違反の共謀罪であることはもうはっきりしました。にもかかわらず強行する政府・与党に対して、この間、国際社会からも厳しい忠告が寄せられています。
 総理にお尋ねしたい。
 一つは、総理が、テロ対策のためにTOC条約締結が必要、そのために共謀罪が不可欠としてきた、条約の国連立法ガイドを起草したニコス・パッサス教授が、東京オリンピックのようなイベントの開催を脅かすようなテロなどの犯罪に対して、現在の法体系で対応できないものは見当たらないとし、条約を批准することは可能、国内法の整備は法の支配にのっとり公正でなくてはいけない、日本国民の意向を反映させるべきだと忠告していることです。この指摘をどう受け止めますか。TOC条約は、国内法原則、すなわち日本国憲法に従って国際組織犯罪対処の措置を求めているのです。既に国会承認はなされており、現行法で条約を締結すべきです。
 もう一つは、国連プライバシー権に関する特別報告者ジョセフ・ケナタッチ教授が、TOC条約批准のためという政府に対し、このことはプライバシーの権利に対する十分な保護もないこの法案を成立することを何ら正当化するものではありませんと厳しく批判していることです。政府が国連の立場を反映するものではないなどと反発するのは、独立した立場で人権理事会への報告を行う特別報告者の権限を理解しない、驚くべき姿です。外務大臣、特別報告者の任務と権限について明確に説明いただきたい。
 国連条約のために必要不可欠と言いながら、国連特別報告者からプライバシー権や表現の自由への過度の制限になると厳しく批判されたらこれを敵視する。国際社会に通用するはずもありません。総理、抗議を撤回し、特別報告者と協議を行うべきではありませんか。
 政府は、実行準備行為が行われて初めて処罰されると言いますが、今や法務大臣は、花見であればビールや弁当を持っているのに対して、下見であれば地図や双眼鏡を持っていると、荒唐無稽な答弁に至っています。幾ら実行準備行為が必要と言ってみても、結局、犯罪とは無縁な市民の日常生活と区別できないのではありませんか。
 組織的犯罪集団の計画に基づくものに限定したとも言います。総理は、一般の方々が対象となることはあり得ないと言い、大臣は、一般人とは組織的犯罪集団と関わりない人と繰り返します。しかし、法案の組織的犯罪集団とは、その言葉から多くの国民がイメージする、あらかじめ特定された暴力団やテロ組織のことではありません。結局、政府は、人々が何かを話し合い合意をしたことを警察が重大犯罪の共謀だと疑いを掛けたとき、その人々が組織的犯罪集団だと警察が判断すると言っているだけではありませんか。何の説明にもなっていないだけでなく、捜査権力を振るう国家の側が、警察に捜査対象と目されれば誰もが一般人でなくなるという態度こそ、強権姿勢にほかなりません。
 我が国の警察は、戦後も、犯罪の未然防止や任意捜査の名で、犯罪とは無縁の市民の人権、プライバシーを深く侵害する公安警察活動、司法警察活動を行い続けてきました。
 国家公安委員長、岐阜県警大垣署が、中部電力の子会社の風力発電計画について勉強会を開いた地元住民の個人情報を収集し、その会社に提供したことを通常業務の一環とした認識は今も変わらないのですか。
 昨年夏の参議院選挙で、大分県警別府署が野党統一候補を推す労働組合の事務所を隠し撮りした事件について、敷地に侵入しなければ任意捜査として許されるとした認識でこれからも行うのですか。
 GPS端末を被疑者のみならず知人や交際相手の車にもこっそり取り付けて、二十四時間三百六十五日監視しながら、裁判所の令状も取らず、警察組織全体に保秘の徹底を厳命して、国民はもちろん、検察官にさえ隠し続けてきたのが警察です。プライバシーを著しく侵害することは明らかなのに、任意捜査だとしてきた理由は何ですか。
 総理、このように秘密裏に、可能な限りの技術を用いて国民のプライバシーを侵害してきた警察の活動をなお正当化されるのでしょうか。
 四月下旬、新たに日本に関するスノーデン・ファイルが明らかになりました。Xキースコアと名付けられた監視システム、すなわち、インターネット上でやり取りされるあらゆる通信を複製、保管し、必要なときに検索、閲覧可能なスパイのグーグルと呼ばれる世界規模の通信監視システムが、二〇一三年四月には米国NSAから防衛省情報本部電波部に提供されていたというのです。総理、日本はこの提供を受けたのですか。防衛省情報本部電波部の部長は代々警察庁出身者が務めているのではありませんか。明確な答弁を求めます。
 共謀罪を新設して人々の話合いを広く処罰対象とするなら、警察権限を拡大し、情報通信技術が一層高度化する中、監視社会への危険を飛躍的に強めることになります。それは、特定秘密保護法、安保法制、戦争法、憲法九条改憲と一体に、戦争する国づくりを推し進めようとするものにほかなりません。日本共産党は、国民の皆さんと力を合わせ、断固として廃案を求めて闘う決意を表明し、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 仁比聡平

speaker_id: 18362

日付: 2017-05-29

院: 参議院

会議名: 本会議